69.信仰と神様の種類
白蛇が祭壇を降りると突然大きくなり、カイを締め付けるように巻きつき絞め殺そうとしているみたい。慌てて引き剥がそうとするけど、その前に巻きつかれていた状態からカイは腕をひっぱりだし、白蛇の頭を掴むと地面に叩きつけた。
神様を叩き付けるって不敬にも程がある。
「神の使い程度が間違えるな。 この地を任せるが貴様の食料場を提供するわけではない」
神様じゃなくて神の使いだったのね。ちょっと驚きと肩の力が抜けたけど、巨大な蛇を片手でねじ伏せるって、カイはどれだけ強いんだろう。どうみても体長10m太さ30cmくらいはあるんだけど。
頭を押さえつけられ、暴れまわる蛇の尾が車体を叩き付けるけど、その程度痛くもなんともない。ただ暴れまわった尾が建てたばかりの宿舎の積み石を崩してしまう。
「せっかく建てたのに……」
これくらいの衝撃で崩れてしまうのだから、先に崩れてしまったほうが良いのかもしれないけども。ちょっと絶望、三人入れる程度の宿舎の壁だけど、それでもほぼ一日掛けて作った努力が水の泡に。
カイがそのまま頭を押さえ続けていると、徐々に大人しくなり最後は動かなくなった。上下関係が決まったのかな。
ゆっくりカイが手を離すと、大人しく小さくなり祭壇の上に上り小さくとぐろを巻いている。
「これでいい。 少なくとも山を守りはするだろう」
盲点だった。別に人間に良くする神様である必要はないんだ。荒神というものでも、山なり川なりを守って、信仰の対象になればなんでもいいんだ。もちろん将来有害になるのは個人的に問題だけど、今はとりあえずそこそこで神の信仰が復活すれば良いのかな。一から全部作るんじゃなくて、生まれるきっかけをつくるだけでも、良いんだと思う。
再び崩れた石を積みなおして宿舎を作り直し、今度は壊れないように崩した家々の石材も使って丈夫に組み上げないと。
カイはその間に祭壇を白蛇用に作り直しているみたい。
結局四日くらいかかったけれど、宿舎側の石を積みなおして屋根を作って神殿は出来上がった。
屋根はありあわせの木材でそれなりの形になるように作ったけど、崩した家々の中でまともっぽい木材を使って、段々に組み合わせたからどれくらい持つかはさっぱりわからない。
一応は白蛇が神の使いとして神殿に居る事になったみたい。これで山崩れや荒れた木々の倒木が減って、山が豊かになればいいなぁ。それだけで少しは山道も使われるようになるだろうし、神の使いの立ち振る舞い次第で信仰も生まれるだろうし、山が豊かなら動物や人も集まるだろうし。




