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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
70/313

70.商人の町 ザイル

 山の中の神殿を作り終えてから一週間、山を降りてから次の町に向いながら進んでいると、途中で何組もの商人とすれ違った。どの商人も荷物を満載していてこれからどこかに行くみたいな感じがする。

 途中でリヤカーを出して、道中で狩った獣の皮や牙、そして仮設トイレを載せて進んでいく。大きな道に出ると同じ方向に進む商人達の荷馬車はほとんど空っぽで、すれ違う商人達とは明らかに違う。人通りがどんどん多くなっていく頃には、ようやく町の姿が遠めに見えた。


 立派な防壁に大きな門と沢山の兵士、立派なつくりはダカツの町に似ているかな。

 商人の人達が次々とチェックを受けて門をくぐっていく。その行列に並びながら、入り口のほうを見ると門の上の看板には ザイルの町 と書かれている。

 のんびり順番を待っていると、自分達の番になり兵士達の前に止まる。


「商人か? それにしては荷が変だな」


 カイが黙って保証状を見せると兵士は敬礼してくれた。


「子爵の保証書ですか。 失礼しました。 どうぞお通り下さい」


 丁寧に案内され、門をくぐると沢山の商店が大通り沿いに並んでいた。露店はほとんどなくて、道に面して大きく売り場が作られている感じ。 

 少し進みながら町の様子を眺めたけれど、今までの町とは違ってここは商人の町みたい。どこも小売っていうより、同じ商人相手に卸売りをしてる。露店もあんまりないし、どのお店もすっごく活気があって、店の前に大きな荷馬車が止まって荷の積み降ろしが行われてる。


「活気のある町だが、不思議と神の気配がある」


 神様の気配があるってことは以前の町みたいに誰かがまだ崇めているのかな。そうだとしたらまた祭事をすればいいんだけど、今回はどうなるかな。

 色々考えながら大通りを進んでいると、多くの人だかりが出来ている商店がある。どんな商品を売っているのか気になって、遠めに見てみると人混みの先には見慣れたものがおかれていた。

 仮設トイレをベースに作った簡易トイレが売られてる。リンド商会の支店みたい。


「さぁ、高級トイレは金貨2枚! 職人が工夫を凝らした新作ですよ!!」


 一つ金貨2枚!? うわぁ高値で売ってるなぁ。価格の分何かの牙を掘った装飾や一部が金で作られているみたいだけど、正直美しいというよりゴテゴテで落ち着かないと思うんだけど、金持ちの人達はそれがいいのかなぁ。

 それでも身なりの良い商人が買っていってるし、トイレが広まっていくのは良いことかなぁ。


「銀貨15枚のトイレを4個くれ!」


「こっちは6個だ!」


 銀貨15枚の安価なものもあるんだ。装飾もないし囲われているだけだから、あれが一般流通用かな。

 それにしてもリンド商会はきっちり商業活動してるなぁ。なんにせよちゃんとしたトイレが広まってくれればいいんだけど、やっぱり壺にして捨てるより、掃除も出来るトイレのほうがまだ衛生的だしね。

 それにしても、これだけ高値でも買い手が居るみたいだし、戦いに転用できない系統の物ならもう少し売ったりしても大丈夫かな。


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