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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
68/313

68.建て直し

 二日目の朝、作業を開始。まずは壁の一部を念動力で撤去し、カイはそこから丁寧に祭壇を運び出した。

 自分は僅かにはえているコケや雑草を取り除き、崩れた屋根の残骸を引っ張り出す。長い事雨ざらしだったみたいで、屋根の木材は腐っていてぼろぼろ、これじゃ屋根を作り直すことは出来そうにもない。

 その間にカイは祭壇の汚れを落としたり、一部壊れた箇所を直したりしている。自分も頑張らないと。

 見よう見まねで撤去した壁の一部の石を積み上げては見るけど、石組みって結構難しい。どこかの小説みたいに本で読んだり、なんとかセンターみたいに、あっさり石組みで防壁なんてつくれるわけもないし。

 とりあえず地震が起きない事を願って、取り壊さなかった他の壁を参考に、軽く叩いたり揺すったりしながら、少しずつ噛み合わせながら組んでいく。


「リョウ 直すなら宿舎も作ってくれ。 それと井戸も直したほうが良い」


 宿舎、なんで必要なのかはわからないけど、とりあえず積み上げたばかりの石を崩して、目測で4人くらい人が入れそうな広さに石を積み直す。叩いたり揺すったりしているから、突風くらいで倒れないと良いけど、所詮は素人作りだからなぁ。出来れば専門家に頼みたいけど、こんなところにいないし。

 悪戦苦闘しながら石を積み上げて教会と繋がる宿舎を立てていると、その日は半分くらいで夜が来てしまった。食事を終えるとカイは車体の中で眠りについた。今夜も一人というか一台で静かに火を絶やさずにいると、遠めに白い煙のような人のような影が動いているのが見えた。


「幽霊……かな」


 焚き木に少し多めに薪を加えて明かりを大きくすると、白い影は遠くに離れていった。カイの言ったとおりゴーストは光に弱いみたい。それでも教会以外建物を無くしたから、これでも減っているんだと思うんだけど、やっぱり人気や神様が居ないとああいうのが集まってくるのかなぁ。


 三日目の朝、昼過ぎまでずっと石を積んでは揺らしたり叩いたりして様子を見て、がっちり組み合ったのを確認しながら積み上げていく。念動力で重さを感じず次々積み上げて組み合わせられるから早いけど、これ人間がやったら何週間もかかってしまうんじゃ、やっぱりこの村に居た人たちも、維持や修復が大変だから居なくなってしまったのかな。時折強く吹く山風で中途半端な石積みじゃ崩れてしまいそうだし。

 宿舎部分も夕暮れになる頃には出来上がり次は井戸に取り掛かる。

 神殿のすぐ横に井戸があるにはあるけど、もう半分くらい土や崩れた石で埋まっていて水が全く見えない。

 井戸を掘るには確か専用の器具があった気がするけど、自衛隊にそんなものはないし、取り合えず井戸は元々ここにあったんだから、ひたすら深く掘りなおしてみるしかない。

 施設作業車に車体を変更し、ショベルでどんどん深く掘っていく。やっぱり岩とかは念動力よりショベルの方が除去しやすい。


「リョウ 静かに」


 突然の言葉に作業を止め、カイの方を見る。直された祭壇に白い蛇が現れると器の酒を飲み干し、台座の上で小さくとぐろを巻いている。


「蛇神か。 まぁいい」


 蛇の神様かぁ。そう言えば日本にも白蛇を崇めている地域があったっけ。一応人間に害がないならいいのかな。山とかも神様が居た方が都合がいいはずだし、何よりも山を管理できる何かがいるのならそれでいいと思う。

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