56.荒れた廃村
コフルの町を出て西南に三日、勇者の二人組みから攻撃を受けてから何事も無く街道を進んでいる。暇であるのは良いのだけれど、何もする事がないのはちょっとつまらない。
体を慣らすためにティーガーⅡで走ってはいるけど、体は重いし動きが鈍いしで結構大変。暇つぶしとまでは行かないけど、車体を上手く扱う感覚はつかめてきた。
「村が見えてきたな」
街道沿いの村、なんだけど活気が全然無い。今まで街道に接する村はそれなりに旅人が訪れるので、宿屋が大きかったり、露店が出ていたりしたんだけど、旅人が多いのに誰一人立ち寄っていない。
「荒れた村だな」
街道を進みながら見てみると、どの家も壊れたり崩れかけていたり酷い有様だった。人気もないし、大事な井戸も崩れてしまっている。これじゃ旅人が誰一人立ち寄らないわけだ
「盗賊連中にでもやられたようだな」
カイは以前に盗賊はやっかいものでしかないと言っていたし、ギルドの依頼で壊滅させたけど、放っておくとこんなことになるなんて。自分の役目として与えられているわけじゃないけど、このまま放っておくには、目の前の状況は酷い。
「カイ、盗賊のアジトって近くにあると思う?」
「探す必要はあるが、奴らがいる場所は大体似たようなものだ。 この近くにあるだろうな」
関係ないし関わる必要はないけど、討伐しないとこんな村が増えてしまう。カイが前に言ったとおり、盗賊は出来る限りどうにかした方が良いんだと思う。やっぱり命を奪うのにはまだ抵抗があるけど、こんな事をする連中を、自分の個人的考えで放置しておくのは、同じ程度の人間と変わらないよ。
「盗賊を退治しに行こう」
「盗賊をか。 オレは構わないが」
カイは首をかしげているけど、問題はないと思ってくれているみたい。
「村をこんな風にする連中を放っておくわけには行かない。 カルト教団とは別だけど、見て見ぬふりは出来ないよ」
「どういう心境の変化なのかはわからないが、奴らを排除するのはいいだろう」
心境も変化したのかなぁ。あんまり変わった気はしないけど、近くで見ていたカイがそう思うのならそうかもしれないけど、どうにか出来るのにどうにかしないのは問題だと思う。
それに、壊され荒らされた村を見ていると、こんな村が増えるのはあんまり見たくないというか、知ってしまった無法に対して放置できるほど、正義感が無いわけでもないみたい。
「それじゃ、盗賊を討伐しに行こう」
「で、その盗賊はどこにいるかわかっているのか?」
あっ、この村を壊した盗賊達がどこにいるかなんて全く知らなかった。どうしよ。




