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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
48/313

48.ゴーレムにモヒカン

 ギルドからカイが出てきた。なにか紙みたいな物を二枚持っているけど、また依頼か何かかな。


「一旦広場に出る。 ここは人が多いからな」


 広場の隅に移動すると、視線はあるけど遠めに見ているだけで、誰かが近くには寄ってくる様子はない。ここなら小声で話せば大丈夫。それにしても、この町の広場なんか砂っぽいというか、あんまり水気がないみたい。走るたびに小さな砂煙があがるし。


「この町には勇者の称号を持つ者が二名居るそうだ。 妙な噂はこいつらだった」


1.見知らぬ他人の家を訪ね、情報を聞き出す

2.常時武器を携帯している

3.器物破損もする


 人はそれを 『勇者』 と呼ぶ、らしい。偏見を入れてリアルに考えてみると、なんか危険人物にしか思えない。なんにしてもカルト教団じゃないなら用はないけど。


「それでだ。 問題は二人とも、この町で人手を集めて決闘騒ぎを起こそうとしているようだ。 妙な噂もこいつらが原因の誇張だな」


 カイが広げた用紙には冒険者名が書かれ、勇者の項目には30人くらい名前がある。

 それにしても人騒がせな。その妙な噂の誇張のせいでコフルの町に来たかと思うと、ちょっといらっとしてくる。


 あれ、そういえばなんでこの世界の文字が読めるんだろう。自分は日本語とドイツ語しか読めないし、どうみても目の前の文字は該当しないんだけど。


【ドイツ語の条件を満たしました。 独逸国第二次大戦戦車のスキルを開放します】


 だから、この開放条件の適当さというか、謎さ加減はなんなのだろう。これでロシア語を使えたらソ連戦車、イギリス英語が使えたらイギリス戦車も使えるっていう条件じゃないだろうか。他の言語は無理だけどさ。

 でもドイツかぁ。あんまり詳しくないけど、でかくてごつくて重くて強い、ロマン溢れる戦車ばかりだったはず。

 

 色々考えているとカイは次に地図の紙を取り出して、次の場所を選んでいるみたい。

 

「ギルドとしては止めたいそうだが、俺達には無関係だ。 数日情報を集めて次の町か村に行こうと思う」


「それが良いと思う。 それにいま新しい戦車の」


「静かに」


 カイの言葉で黙る。視線を周囲に向けると、3人組の男達が近付いて来ていた。


「あんた冒険者かそれとも狩人か? どちらでもいいが俺達の」


「失せろ。 お前達を相手にしているほど暇ではない」


 あ~、カイが態度の悪い男なんて相手にするわけもないか。

 相手の人たちもあからさまに不快な表情を浮かべているけど、この程度で何かするほど冷静ではない人達みたい。


「言うじゃねぇか! 出来損ないのゴーレムを連れている分際で!!」


 声のしたほうを向くと、3m近い人型っぽいゴーレムを連れている人がいた。モヒカンヘアーに棘の付いた肩当、服装に世紀末みたいなモノを感じるなぁ。それにゴーレムを初めてみたけど、角張った石同士がくっついて手がハンマーみたい。

 

「できそこないだと? リョウ 黙らせてやれ」


 えっ、自分が戦うの?

 それになんでカイの機嫌がさらに悪くなっているんだろう。


「おもしれぇ! やれ!!」


 乗り気なのかそれとも血の気が多いのか、相手の人も怒鳴り声のような命令を与え、ゴーレムがこちらに向って走ってくる。


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