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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
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46.協力活動 井戸の手直し

 コフルの町まで街道を進んでいく。時折すれ違う人が入るけど、ダンジョンがあった村とは余り交易が盛んじゃないみたい。人もまばらだし旅人みたいな人達だけで、商人とは出会っていない。

 道も踏み固められた砂利と土が混じった道じゃないし、M41軽戦車で思いっきり轍を作りながら進んでいるんだけど、雑草道を耕しているほうが少し多いくらい。

 村が見えてきたので少し速度を落とし、ゆっくり村の街道を進む。


「この村で水の補給をしたい。 少し寄る」


 街道に面する小さな村みたいで、木の柵の囲いがあるだけの簡素な村。もしかしたらこの周辺には盗賊も危険な動物も滅多にいないのかも。

 旅人も使用可能と書かれている井戸の近くに停車、子供が一生懸命滑車のロープを引っ張って水桶を引き上げている。

 カイは砲塔から降りると、滑車のロープを掴み一気に引き上げ、子供の壺に水を入れてあげた。 

 

「ありがとう」


 子供はお礼いって壺を持って歩いていった。

 そう言えば、カイは孤児院出身で子供にもそれなりに優しいんだっけ。

 

「酷い作りだ。 これでは滑車の意味がない」

 

 カイの言葉によく見てみると、滑車を支えている鉄の軸棒が酷くサビ付いている。これじゃ木製の滑車の動きが非常に悪くても仕方が無い。これだと子供もこぼさずにくみ上げられるだけで、余計力がいるんじゃないかな。

 カイは水をくみ上げると、水筒と水の皮袋に移している。そこそこ量は入るんだけど、やっぱり村とか町の間となると水筒だけじゃ不足になるみたい。

 それにしても滑車の作りも悪いし、ほんの少しだけ子供が楽を出来る手助けをしようと思う。村人達で直せなきゃいけないし、見てなんとなく分かるほど極めて単純な作りで。

 それに、確か昔は子供は労働力で、仕事がない子供に用は無い、食事を減らしたり、酷い時は捨てることもある。便利にするって事がいいんじゃなくて、基本的考え方を変える事が大事だと思う。だから少しだけ現状よりも楽をできるようにする。ほんの少しだけね。


 戻ってきたカイが水筒と皮袋を車内に入れた所で、小声で要件を伝える。


「カイ、ちょっとこの井戸改良したいから、木の棒を買ってきて欲しいんだけど」


「構わないが、何をするつもりだ?」


「つるべおとしっていうてこの原理を使った奴」


「あれか。 少し待っていろ」


 あれかって、本当にカイはどこまで知っているのだろう。確かに生きていた頃、TVでみた事あるけどさ。画面で見たことはほとんど覚えているんじゃ。

 それからカイはロープと長い木材を買ってきてくれた。長くて丈夫な木材を二本を交差させて、2mくらいの高さで固くロープで縛る。残る一本の片側に桶とロープを繋げて、最初に作った交差させた棒の交点に乗せる。

 そして桶のない反対側に適度に重りをつけてこれでおしまい。

 桶を下ろすときに少し力が要るけど、上げる時には反対側の重りのおかげでとても軽く持ち上げられる。今の滑車で引っ張り上げるよりずっと楽だし、作りも簡単だから村の人たちでも直せる。

 でも、結局は子供の労働はなくならないんだよなぁ。実際には何の解決にもならないし、どの世界でも子供の労働は難しい問題で、頭を抱えても一人ではどうしようもない。


「随分マシになった。 これなら子供でも楽だろう」


 カイがなんどか桶を上げ下げして試しているけど、重量バランスも良いみたい。

 それじゃ何か騒ぎになる前に村を出よう。

 

「用も済んだしコフルの町に向かう。 リョウ、少し早めにな」


 了解、言葉には出さないけど、カイが砲塔に乗ったのを確認して走り出した。

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