39.ダンジョン イン フォール
アプルの町に着いてすぐ、依頼完了を報告にリーダーの男が赴くと、10人近い人達がリーダーの後に続いて戻ってきた。
「今回は随分と荷物が多いですね。 分類わけをしますので、そのままお待ちください」
蒼転の剣のギルドリーダーは居ない様だけど、確認の為に各ギルドの受付の人が来ているみたい。
何人かで手分けして荷車の中身を確認してる。一人当たりの割り増し報酬にでもなるのかな。
「よーし、捕らえた連中はこちらで引き取る。 一人当たりの追加報酬はギルド付けで出しておく」
衛兵の人たちも、捕らた盗賊を引き取り連行していく。
結構な儲けになるみたいで、ギルド受付の人達がもつ報酬の入った皮袋は結構膨らんでみえる。
「ギルド 蒼転の剣のカイさんですね。 報酬はこちらになります」
カイが報酬を受け取ると、ギルドの人は何か紙に書き込み、また他の冒険者の人達の所に向った。
「当分の旅費はこれでいいだろう。 物資を買ったらコフルの町に向おう」
その足で露店が沢山ある場所に行くと、食料とコフルの町への地図を買った。
でも、地図と言うか手書きの絵みたいで、なんとなく分かるけど詳細な道なのか良く分からない。
「よぉ、あんた」
声の方を向くと、一緒に盗賊団の討伐に赴いた冒険者の男がいる。
「うちのパーティーに入らないか。 これでも結構実績が」
「断る。 オレは誰とも組まない」
勧誘、そりゃまぁあれだけの実力を見せたわけだし、カイを仲間に引きこみたい気持ちはわかる。
それから次々来る勧誘に面倒になったのか、もう夜だというのに急いで町を出ることになった。
翌朝、
ダンジョンに落ちました。ちょっと現実逃避したい。
「生きているダンジョンとは珍しい。 天井も直ってしまったが、なんとかなるだろう」
カイが天井を見上げる。ぶち抜いたはずの天井はすでに塞がり、今は薄暗いダンジョンの真っ只中にいた。
露店であった地図に従い、コフルの町へのたぶん最短ルートを進んでいたところ、地下ダンジョンの天井を重みで次々ぶち抜き、一気に地下10階まで落っこちました。とにかくカイにも私にも落ち度は無い。
結果として、カイに怪我はないけど、自分は履帯どころか足回りは全部壊れるし、ぶち抜いた衝撃で砲身は歪むし、全身が痛くてたまらない。
「リョウ、出来る限り小さくなれ。 その身では動きにくいだろう」
「そうする。 74式は修復しないと動けないし」
一番小さいのが60式自走無反動砲、それでも。
全長4.3m
全幅2.23m
重量 8t
と結構大きい。天井をぶち抜いた74式よりはずっと小さいけど。
光が体を包み、久しぶりに60式になってるみと、重量的には軽くなったはずの身が重い。
瓦礫の山から下りると、かなりの魔物みたいなものが巻き込まれて死んでいた。落下してくる32トンプラス瓦礫に耐えられた魔物は居ないみたい。
ライトをつけて周囲を照らし出す。ダンジョンの壁は石造りで、4X4メートルくらいで結構広い通路。
「警戒しながら進む。 ダンジョンに詳しくは無いが、魔物の気配はかなりある」
正直怖いし心細い。たぶん、60式自走無反動砲でもよほどの事がない限り大破することはないけど、武器は無反動砲2門だけだし。
上り階段を探してゆっくり進んでいると、大きな足音が前から響いて来るのに気付いた。
「何か来る。 リョウ、備えておけ」
停車し、ダンジョンの角から出てくるモノに意識を集中する。薄暗い中、ライトで照らし出されているだけで正直とても怖い。
停車したまま無反動砲の狙いを、通路の角に定めていると、雄牛の頭を持った人に似た体躯を持つ魔物、ファンタジーで言うところのミノタウロスが姿を現した。
「ぎゃぁぁぁ! ミノタウロスゥゥゥ!」
反射的に無反動砲2門をぶっぱなし、爆発音がダンジョンに響き渡る。
噴煙が収まった後には、削られた壁とミノタウロスだっただろう肉塊が飛び散った跡だけが残っていた。
「リョウ、狭い通路内でそれを使うな。 耳に響く」
さすがのカイも、狭い通路内での反響する爆発音はきつかったらしく、片手で耳を押さえながら軽く頭を振っている。
「ごめん。 ちょっと驚いてしまって」
ミノタウロスくらいなら、無反動砲で楽なのは分かったけど、あの凶悪な姿は生で見ると怖い。ゲームや映画の表現がマイルドかつ、安全な所でみるだけの傍観者の立場っていうのが良く分かる。
気をつけないとまた見た瞬間ぶっぱなしそう。次からは気をつけて12.7mmスポットライフルを使っていこうと思う。非致死弾と思っていたけど、じっくり説明表示を眺めていたら、弾道が光るだけで普通の弾丸と大差ないことも分かったし。
簡単な説明
無反動砲:
当たれば普通乗用車くらいなら爆発炎上してふっとぶくらい威力はある




