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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
37/313

37.やっぱり慣れない

 到着した先で見えるのは、石積みで作られた壁に木の扉。砦っていうより、今まで見てきた村をそのまま流用したような感じにみえるんだけど、もしかして盗賊団に村が乗っ取られた感じなのかな。


「よし、それじゃ作戦通り行くぞ。 補給部隊はこのまま待機だ」


 一応補給部隊なので自分を含めて8人は待機、逃げてくるのがいたら捕まえるか倒してしまえばいいらしいんだけど、逃げてきた人数によってはこっちが危ないんじゃないかなぁ。

 主砲弾を榴弾に切り替え、機銃は非致死性ゴム弾に変える。できれば殺さないで捕まえたい。たぶんその後処刑されることになっても、せめて未熟な法律でもそれに裁かれて欲しい。


「リョウ、妙な事を考えていると危険だ。 命懸けの相手に油断や情けは他の者にとって死を招く」


 言葉に妙な重みを感じるのは、設定上とはいえカイが体験した戦場の経験からなのだろうけど、いま他の冒険者達を危険にさらすわけにはいかないし、機銃弾は容赦なく撃つしか。


「きた」


 どうみても盗賊ですって見た目の5人がこちらに向ってくるんだけど、必死の表情で目が血走っていて、話し合いとか通じる気がまったくしない。

 なんか人間の盾とか話して平和的解決とか、TVとかで声高々に叫んでいた人達が、なにも現実を見ていないって言うのが、こう現場というか目の前で体験してみると嘘っぱちで夢物語って分かってしまう。

 生身であの集団が向ってくるのを見て、平和的解決とかないわ。海外じゃゴム弾とか放水とか催涙ガスとか使うっていうのも納得。

 機銃の非致死性ゴム弾を掃射、盗賊達はうめき声をあげ昏倒、手早く縛り上げる。

 冒険者達も驚いているようだけど、撃ったゴム弾も少ししたら消えるから、衝撃魔法とでも思ってくれると思う。たぶん。

 悲鳴や絶叫が響く中、逃げてくる人達だけを捕らえていると、30分ほどでようやく静かになった。


「捕まってる奴はなしだが、荷物は沢山あるぞ。 随分溜め込んでやがった」


 リーダーの男が扉を開けて出てくるけど、全身血まみれで想像したくない戦いがあったんだと思う。

 

「こちらは15人ほど捕らえた。 よし荷物を回収しにいくぞ」


 補給部隊は荷物部隊でもあるので、盗賊から回収した荷物を受け取る役割がある。

 開かれた扉の中に入ると、積み上げられた死体、家から引きずり出される荷物など、見たくもない情景が砦の中に広まっていた。


「よし、荷馬車に積み込んでいくぞ」


 盗賊が集めていた宝物や武具がどんどん荷車に詰まれ、かなり溜め込んでいた事が分かる。

 それだけに冒険者にもけが人が出ているみたいで、隅の方で傷の手当も行われている。なんか痛々しくて見ているのも辛い。

 

「おーい、こっちの馬と荷馬車も持っていこうぜ」


 冒険者達は砦のあるものは根こそぎ持っていくっぽい。

 詳細な依頼内容は知らないけど、カイは何も手を貸さずにいるし、たぶん自分達は輸送と防衛だけの依頼なんだと思う。

 

「死体集めて埋めるのを忘れるなよ! そこまでが依頼なんだからな!」


 リーダーの男が怒鳴ると、冒険者達は渋々と大きな穴を掘り始め、そこに死体を放り込んでいく。

 この世界でも一応の埋葬手段は埋めるものらしい。それでもカイと一緒に以前掘ったときよりも浅く、とりあえず掘って埋めましたという感じ、これだとあんまり意味がないような。


「油は持ち帰らず全部ぶちまけろ。 全部投げ込む前に火をつけるなよ!」


 あぁ、埋める前に一応燃やすわけね。それはともかく盗賊だけじゃない死体も、かなり混ざっている気がする。やはりここに到着する前に襲われた人々のものなのだろうか。

 盛大な火葬が行われているのを見届け、荷物を満載した荷馬車と共に討伐部隊は砦を後にした。



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