30.分類は盗難未遂
ロープを持ち出して何するのかと思ったけど、自分に巻きつけて馬で引こうとしている。
この人達何考えてるんだろう。あれだけ膨大な量の荷物を運べたんだから、そんな馬数頭で自分を引っ張れる訳がないでしょうに。
後ろから押したりしても無駄。38トンもある戦車を馬四頭と人力で動かせるわけがない。
とりあえず、自分が言う事を聞くだけのゴーレムとでも思っているのかもしれないけど、この人たちには一度お帰りを願ってみよう。
エンジンを最大まで回転させ唸り声を上げてみると、突然の音に驚いた三人の盗人は離れる。
なんとなく分かったけど、自分自身の音だからエンジン音が余りしないように感じるだけで、回転数を上げると自覚できるほど煩い。最大回転数2200 V6 10気筒のターボ付きディーゼルエンジンは伊達じゃない。唸り声を超えて咆哮みたいなほどの騒音。
「どうした リョウ!」
凄まじい騒音に気付いたカイとギルドの面々が表に出てくる。
ロープを結び付けられた自分を見て、カイの表情に怒りが満ちていく。
「おい、これはどういうことだ」
カイの怒気の含んだ声に三人が逃げ出そうとした瞬間、一つの影がギルドの入り口から飛び出し三人を叩き伏せてしまった。
「まったく、うちのギルドの前で従魔を盗もうなんて、なめられたもんだねぇ」
蒼転の剣のギルド長も女性、悪役女子プロレスラーっぽく大柄で顔にペイントもしてる。剃りあげてないけどソフトモヒカンっぽいし、これは睨まれたら怖そう。
「この町は治安に問題があるんじゃないか」
「旅行商で入り込んでく馬鹿共は前々から問題を起こしてるが、白昼堂々盗もうとするほど町の連中は馬鹿じゃない」
捕らえた三人を縛り上げ、騒ぎを聞きつけて遅れて到着した衛兵に突き出す。
白昼堂々じゃなければ盗みがあるのは仕方ない気がする。日本だって泥棒や強盗、それこそニュースにならないよう、被害者が黙殺したり、握りつぶされているだけで相応の犯罪は日々起きているし。
交番とか警察署の張り紙見ると、地味に交通事故じゃない死亡者掲示が増えてるのを自分は知ってる。
「リョウといったな。 裏の広場に回りな。 広いし、まぁ安全だ」
とってもヘビーなハスキーボイスなギルド長に言われ、カイと一緒に裏の広場に回ると、数人が的や案山子を相手に鍛錬をしていた。自分でも理解できる魔法や剣は感動もの。
「話の続きはそこでするか」
庭におかれているテーブルに移動し、ギルド長とカイが座り、自分も近くに移動して停車。今回は自分も話を聞くことができるっぽい。




