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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
31/313

31.保証は得にくい

 

「では話を続ける。 当然だが領地内を自由に動くには領主一族からの保証がいる。 町によっては保証金を払っても、信頼がないと入れない町もあるからな。 硬殻の剣のギルド長の書面を見たが、ワイバーン討伐と荷物輸送だけじゃそれもちょいと厳しい」

 

 結構な話になってたっぽい。

 領地内というか日本だったら国内をほぼどこへでもいけたんだけど、中世とかだと自由に旅は出来なかったのかな。その辺の事はあんまり分からないけど、カルト教団をどうかにするためには、領地内を自由に動けた方が良いとは思う。

 なんていうか自分が人間の姿だったとしても、カイが居ないとこの世界で何にも出来ないんじゃ。


「ではどうすれば保証がもらえる」


「ここから北東に行った所、水を研究してる変わり者の領主の子息が居る。 綺麗にするヒントでも与えれば保証はしてくれると思うが、商人や魔道士が訪れては追い返されているから簡単ではないぞ」


 水を綺麗にするってどういうことだろう。とりあえず行ってみればわかるかな。

 

「まずは行ってみる。 ダメなら他の方法を考えれば良い」


「そうか。 せっかくだから領主の館へ新しい荷車を運ぶ依頼があるから受けていくといい。 そいつなら楽に持っていけるのだろう」


 夕刻になり、用意された荷馬車を後方に縛り付ける、出発前に蒼転の剣のギルド長が教えてくれた。昼間に襲ってきたのはリンド商会に雇われた人達じゃなくて、旅商人の連中で自分が大量の荷物を運べるために、盗んで一儲けを企んだらしい。

 とことんモノ扱いにされている。確かに戦車は無機物な物なんだけどさ。

 

「領主への紹介状はこれだ。 それじゃがんばんな」


 紹介状を受け取り、見送られながら町を離れる。

 今回の道はしっかり舗装されているので、ゴム履帯でのんびり道を進んでいる。轍も作らず進めるのは精神的にも気楽。

 ただ気になるのが、道沿いの川の水が赤茶けていてあんまり綺麗じゃない。


「なんか、川が綺麗じゃないね。 魚もあんまり居なさそう」


 川沿いには木々は生えているけど、あんまり元気そうでもない。やっぱり水質がわるいのかなぁ。

 

「水は国力に直結する。 これでは農業も畜産業も結果を出せないだろう。 水を研究しているというのも、案外これを解決するためかもしれないな」



 アプルの町を出て七日、領主の息子が居るというフィルトの村に着いた。

 農村地域みたいだけど、ある程度発展しているみたいでちょっと高い所、たぶん地面から5mくらいに石造りの水路がある。むしろ農村として発展させるために石造りの水路があるのかも。


「あっ、揚水水車まである」


 直径5mはある桶がついた水車、これで河から水路の高さまで3段階を経て水をあげてるみたい。


「リョウ、領主の子息が住んでいる屋敷は恐らくアレだ」

 

 カイが示した方向には農村地域とは場違いな屋敷が立っている。

 農村の家々が木で作られているのに、3階建てでレンガか石造り、中世ヨーロッパの屋敷という感じ。


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