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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
29/313

29.アプルの町

 到着したアプルの町は組み合わされた石造りの壁に囲まれ、入り口には数名の兵士が巡回している。本当にファンタジーっぽい異世界に来たんだなといまさら実感がわいてきた。

 

「まて」


 門番に呼び止められ、履帯というか足をと言うかとりあえず止まる。

 

「お前の従魔達か。 登録書がないと町には入れないぞ」

 

 うぐっ、ここでもモンスター扱いとは。仕方ないけどなんとなく悔しい。

 

「ギルドで登録してある。 これが証明書だ」


 カイはいつの間にか硬殻の剣のギルドで申請したのか、門番に書類を提示する。

 

「よし、通っていいぞ」


 カイが返された書類を無言で受け取ったのを確認し、門を抜ける。大通りの中は石畳で舗装されていて、建物も石造りが多くて見ごたえがある。

 

「リョウ、あっちだ」

 

 砲塔に乗っているカイの指示に従って着いた場所は大きな商店の前だった。店頭の前にはリンド商会の名前が刻まれ、この3階建ての大きな石造りの店が目当ての場所らしい。

 カイが降りて店に入っていくのを眺め、のんびりと停車して待つ。なんていうかもう待つ間にじろじろ見られるのも大分なれてきた。

 

「リョウ、こっちだ」


 店から出てきたカイに誘導され、裏に回る。裏は工房と倉庫にもなっているらしく、そこそこ広いおかげで入ることは出来たけど、それでも半分くらいは占領してしまった。

 

「荷物は後ろ側に載っている。リョウ荷物を降ろせ」


 念動力でどんどん荷物を降ろしていくと、下働きの人達が倉庫に運んでいく。やはり人間には重いのか少しずつになってしまうけど。

 

「これは凄い量ですね。 量計算の報酬ですので少々お待ちください」


 カイは車体に座ると砲塔に寄りかかる。

 

「終ったら教えてくれ。 オレはここで待つ」

 

 6トン近い材料が計算されながら全部運び込まれるには、一時間かかってしまったけれど、下働きの人たちは汗だくのまま休んでいる。

 

「これは凄いですね。 報酬の113万4200ビタをお支払いいたします」


 大きく膨らんだ皮袋が用意され、カイが座っている車体の上に置かれた。重さの感覚はないけれど、なんというか見た目だけでもずっしりと感じてしまう。

 

「リョウ 中に仕舞っておけ。 あと牽引しているのも不要だ」


 カイに言われたとおり、ハッチを開いて報酬の入った皮袋を車内に仕舞い、牽引扱いになっていた輸送車両も身に取り込みなおしてしまう。

 

「これで依頼は完了したな」


「あの、ぜひそのゴーレムを譲っては」


「断る。 リョウいくぞ」


 カイは切り捨てるように話を断った。やはりカンドの村の支店長が言っていた言葉を気にしてるのだと思う。

 

「まずはギルドに向う。 硬殻の剣と提携しているギルドがあるそうだからな」

 

 大通りを出るとカイは案内人を捕まえ、誘導にしたがってギルドに向う。

 アプルの町は大きい町みたいで、案内している人の話では1000人位いるっぽい。大通りは活気に溢れていて、商店や露店の前にはどこも数人の人が居て景気もよさそう。

 町外れだけど、裏通りではないギルドの前に到着し、カイは車体から降りる。ギルドの看板には蒼転の剣と書いてあるけど、これが硬殻の剣と協力関係のあるギルドらしい。

 

「リョウはここでまて」

 

 ギルド硬殻の剣の時と同じように、また自分は入り口の前で待ちぼうけ。

 ただじっと待っているのも慣れたような慣れないような、それでも今回はかなりファンタジー世界っぽい町並みを眺めるのは楽しい。6割獣な人とか、全身鉄の鎧を着た人とか、沢山の馬車や人達が大通りを抜けていく。

 そんな風景を見ながら待っていると、四頭の馬が自分の前に止められ、三人の男がロープを取り出し始めた。

 

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