28.旅路と泥棒
道を進んで3日、時折すれ違う人にじろじろ見られるのも大分慣れてきた。
三日目の夕闇に周囲が覆われていく。
「今日も休もうか」
道の脇に入って止まる。車体に括りつけてある木々を集め、地面に焚火の木組みを作る。
カイは魔法で焚き木に火をつけると、干し肉と木の実を焼き始めた。
この時間になると道沿いの所々で同じように、キャンプしている人達の姿があるし、昨日は近くに旅商人が居たので食べ物や水の販売に回ってきた。
カイが食事している間も暇なので、何か便利なモノが無いか大量にある需要装備一覧を眺める。
需要装備:戦闘装着セット 11SP
陸上自衛隊が運用する被服装備の一群を指す。
いままで気付かなかったけど、これ便利なものが沢山ある。水筒もあるから皮製の水筒を使わなくていいし、一応の仮眠覆いっていうものもあるから、きっと役に立つと思う。
正直そこまで陸上自衛隊の装備に詳しくないから、実際見てみないと詳細はわからないんだけどね。
「カイ、使い勝手がよさそうなモノがあったからだすよ~」
1761―11で1750SP。車内の中に現れた大きなショルダーバックをカイの前に置くと、カイは中身を取り出しては一つ一つ確認していく。
「触れば使い道が浮かぶのは、この道具のせいなのか? 道具の中にはある程度は使えそうなものもあるようだな」
触れば使い道が分かるって便利っていうか、カイだからわかるんじゃないかな。トイレの時もカイはすぐ使い道が分かったけど、女性の冒険者達は簡単な使い方を聞いてたし。
「水筒、仮眠覆い、戦闘ゴーグル2型、これは良さそうだ。 残りはしまって置こう」
カイは手早く装備に手を加えると、戦闘ゴーグル2型だけを身につけた。思ったよりも少なかったけど、役に立てたなら何より。
もしかしたら他の装備も役に立つ日が来るかもしれない。荷物を再び車内に仕舞うと、カイも車内に入り車長席に座って眠り始めた。
今夜も一人じゃなくて戦車一台で夜番、この時間が暇でたまらないんだけど、周りに明るいものがないこの世界だと、天気がいい限り満天の星空を眺める事が出来て少し暇つぶしになる。それに車体が変わると目のよさも変わるのか、今までで一番空の星をしっかり眺める事が出来た、星空観察の趣味があったら最高かもしれないんだけどその趣味は無いんだよね。
「あれ?」
じっと星空を眺めていると、真夜中に人が歩いてくる音が聞こえる。周囲を見回してみると、道を歩く二個の人影があるけど、星の光しかない真夜中に松明も持たずに歩き回るなんて怪しい。それに剣を抜いては居ないけど、ずっと片手を添えている状態で、いつでも襲いかかれるように見える。
様子をじっと見ていると、剣を抜いてゆっくりトラックに向っていく。
強盗と言うか野盗というか、どちらにせよそちらには誰も居ないんだよね。残念だけど捕まえさせてもらおう。
念動力で掴み上げ、空中に持ち上げる。
「なっなんだこりゃ!」
「うごけねぇぞ!!」
そりゃまぁ、戦車と人間じゃ比べ物にならない馬力差があるわけで、スペック上は最高で720馬力も出せるのだから、人間が振りほどこうとしたって動けるわけ無い。地面に押さえつけるとロープでぐるぐる巻きにしてしまう。
「むぐぐぐぐ!」
真夜中で皆寝ているんだから静かに静かに。
口にロープをかませて大声を出せないようにしてその辺に転がしておく。朝になれば騒ぎになるだろうけど、泥棒なんだし別に土まみれになって夜風で風邪くらいなら引いても気にしない。




