277.王都クラウディ
街道の人通りが多くなり、畑と民家が多くなってきたところで大きな壁が見えてきた。
コンクリートみたいだけど違うみたいにみえるけれど、ローマコンクリートみたいなものなのだろうか。
正直ローマコンクリートがどんなものなのかは分からないけれど、少なくとも石組みやレンガ積みじゃないことくらいは目で見て分かる。
お城を守る大きな城壁、それとは異なるレンガ積みで出来た町を囲う防壁を越えた先は、今まで通った町や村とは異なる綺麗で整った建物ばかり。石畳で整えられた道に露店などなく、お店が並び活気に溢れている。
「2000ビタで町を案内するよ」
「うちは2200ビタだけど、サービスもあるよ」
王都でもやっぱり案内をしている人達がいた。その中からイルレさんが一人選び、案内を頼むと大通り沿いの店の説明や各種ギルドという主要な場所も教えてくれる。
「ありがとう。 これがお代ね」
イルレさんは案内料を支払うとそのまま商業ギルドの中に入っていく。
いくら保証があったとしても、ちゃんとした滞在理由や権利が合ったほうが怪しまれないから、ここでもギルドでちゃんと商業活動するための許可証を買うとのこと。
「オレは蒼転の剣に行ってくる」
カイはほぼ隣接していて3件隣の蒼転の剣に向かった。
カイが登録しているのはギルド硬殻の剣と言う小さなところ、だけど提携しているギルドが蒼転の剣、それなりに大きい規模らしいのでこの王都にも広域ギルドだけあって、あんまり大きくない建物だけれどここでもちゃんとある。
また入口から人が叩き出されてこなければいいのだけれど。
まずはイルレさんが手形らしい板を複数持って出てきた。それから少し待ってからカイが何事も起きずにほっとした。
王都でも大騒ぎになったらただでは済まないだろうし。
「広場は町の外側にある場所だけで、4か所あるうちの一番いい場所を取ってきたよ」
「オレは長期間の護衛依頼を出してきたが、あまり期待は出来ないだろう」
正確な理由は良く分からないのだけれど、長期間の護衛は期待できないのかぁ。
そうなると冒険者とかじゃなくて、正式に雇う形しかないのだろうか。その辺も一度考えないと。
「まずは広場に行こう。 このままだと邪魔になるからね」
イルレさんとカイが乗り込むと滞在する広場に向かう。
石畳で整えられた広場には同じように留まっている荷車がちらほら見える。それでも数は少ないし、どの荷車も一つ一つが大きくて屋台と露店も立派なものが出来ていた。
「なんか、少し場違いな気がするね」
「気にする事ないですよ。 準備しましょう」
普段通り屋台車と繋げるように、屋台車から荷物や木材を下ろしてお店を作っていく。
何も急ぐ必要はないのだから、今日は準備をしながら食材や道具を買い集めておしまい。でも、買い出しが終わった後イルレさんは木板を持って広場に面する馬車屋を訪れていた。
「これは、ちょっと時間がかかるな。 馬20頭牽きくらいになるし、ろくなもんでもないぞ」
馬車屋の人がアレコレと言っているのが聞こえてくるのだけれどそれも仕方ない。
前・前より中間・後ろより中間・後ろと、八輪にもなるかなり大きな馬車になることを、木板に掛かれたことで自分にはわかっていた。
それでも皆が中で眠れて荷物を積める上に、ある程度の広さを考慮すると仕方ない。
「もう一つのほうも、馬6頭牽きになるだろうし、なんだこの壁みたいな物を一か所だけ設けるのか? それに車輪周辺は鉄製だと? 高く付くぞ」
いくつもの木板に書いたものを見ては、複数の個所に疑問をもったりしている。
鉄製とか高く付いたとしても、使わないとすぐに壊れてしまうし、大型だからどうしても必要となるのは、馬車屋の人もわかって居るとは思う。だからこそ高く付くとか時間がかかると言っているのだろう。
「時間もかかっても仕方ないのは分かっているし、費用は先払いをするから頼むよ」
イルレさんが先払いにすると言ったり、用意してあった革袋から金貨を何枚か出したりして、なんとか頷いてもらおうとしている。
「いや、うちだけじゃ受けられんな。 鍛冶屋にも話して了解をもらわんと作れん。 出来るかどうかだけでも二三日はもらわんとな」
鍛冶屋さんにまで声をかけるとか、結構大変な作業になりそう。
それでもこれがないと皆を連れて旅を続行できない。屋台車だって必要なモノをまとめた上で、板に掛かれているサイズなので、時間がお金がかかるだけの問題なら作ってほしい。
「それでも構わないよ。 これがないと困ってしまうし、王都の馬車屋くらいじゃないと作れないと思うんだよ」
「う~む。 時間は貰うぞ。 それに前払いで金貨4枚で鍛冶屋に話を付けてみよう」
一応理解してくれたみたいで、イルレさんから先払いで金貨を受け取って仕事を請け負ってくれた。
「無理を言ってすまないね。 追加で先払いが必要なら言ってくれれば出すから頼むよ。 これは迷惑をかける分だから」
イルレさんは多めに追加で金貨を渡すと皆の元に戻ってきた。
豪気な支払いの仕方に見えるけれど、無理を押して頼むのだからイルレさんがするくらいお金を出さないと、ちゃんと出来上がらなかったり時間がかかり過ぎてしまうかも。




