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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
2章 歪み
274/313

274.面倒ごと

 街道を進みながら西へと向かう最中も考え続け、それがなんとなく頭の中で形になってきた。


 料理とか基本的な衛生と医療概念はもう仕方ないとして諦める。幸い料理についてはエイケさんとアウグさんが自力で研究開発しているし、衛生医療については神様の教えとしておく。

 この辺りはもうどうしようもないし、料理はすでに自力で新規の段階、衛生医療は害にならない基礎中の基礎だから問題ないとしておく。それに料理はどれだけ頑張っても食材とか調味料と科の限界があるから、出来ないものは出来ないで終わるから良し。

 編み物とかは発想の問題だし、売ってしまった物をばらして伝わって居たらどうしようもないからもういい。もしかしたらもう広がっているかもしれないし。


 今後は次世代に影響のない、一点物や一度だけで終わってしまう物、それに関してはもう少し緩めて使おうと思う。解析できなければ何の参考にもならないし、すぐに壊れてしまえば問題ないはず。

 オーパーツやロスト技術だったけか、そういった代物でも残らなければいい。



 色々考えていると何か硬い物が砕ける音が響いた。

 何事かと思って視線を向けると、カイとイルレさんが朝の鍛錬をしている最中だったようだけど、イルレさんが握っている剣が根元から折れている。


「あ~、竜骨で出来た剣が……」


 イルレさんの剣はずっと前にカイが倒したレッドドラゴンを素材にして作った剣、恐ろしく頑丈なはずなのだけれど、どうやら材質疲労で壊れたみたい。

 まぁ、そもそも違う世界とはいえ現実で生きて存在した生物素材と、物語の中に存在するカイの魔剣じゃそもそも存在定義が違うし。


「長く耐えていたが、連日の訓練には堪えたようだな。 そろそろ新しい物を作っても良いだろう。 折れた部分は短剣にでも作り変えてもらえ」


「そうだね。 大分お世話になったし、残った部分は短剣にするよ」


 折れた剣先をイルレさんは掴むと大事に拾い上げ残った部分を鞘に納めた。




 レムルン町

 旅の途中に寄ったあんまり大きくない町だけど、ここでも買い物と新しいイルレさんの武器を購入する予定。馬車の改造や追加については、入り口でイルレさんが聞いた話では今回はいい店がないらしいのでなし。


「それじゃ鍛冶屋に寄ってくるよ」


 旅人や旅商人が留まる広場に隣接する鍛冶屋、もちろん街中にも武具屋は鍛冶屋はあるらしいけれど、イルレさんは町に入る前の兵士の人に話を聞いていた。

 街中よりも広場に隣接する方が腕がいいらしいので、そちらにオーダーするとのこと。あとデュロが使う練習用の武具も買うといっていた。

 今まで練習では木を削ったものを使っていたけれど、ちゃんとした練習用のモノを揃えると段階に達したらしい。


「イルレ、これもオーダーしてきてくれ」


 ホットサンドを作ろうとおもって、板切れに二枚の鉄板の絵を書いておいた。それをカイがイルレさんが鍛冶屋に頼んで作ってもらう。


「わかったよ。 変わったものだけど、料理用かい?」


 料理に関しては簡単な事だし、大抵の基礎だけをエイケさんが理解して、研究していってくれればいい。それにホットサンドならすごく皆が食べている硬い雑穀パンでも味がいいはずだからね。

 ホットサンドなら少しくらいは自分も作れるし、一応好物であれこれ作って、前世では一時太ったからね。


「完成すればわかる。 方法は簡単だからな」


 自分の作り方は電気式ではなくガスコンロタイプでやっていたから、焚火の直火でも大丈夫のはず。

 それらしい食材を入れて挟んで焼く、それだけだからきっとエイケさんやアウグさんがきっかけで何か思いつくとおもう。

 デュロを連れてイルレさんが出かけている間に、屋台と露店の準備を皆が進める。いつも通り広場近くのお店から木材を買いこみ、荷車と屋台車と繋がるようにお店を仕立てる。


「リョウ これを上に」


 皆も手慣れたもので時折頼まれた通り重い木材を組み合わせ、屋台と露店が少しずつ出来上がっていく。皆も古い布で覆ったり石で調理用の焚火を組んだりと、お店の準備は進む。

 そんな中突然のステアーの唸り声に視線を向けると、下卑た表情を浮かべる男が二人が居た。


「おいおい、女とガキだけとは不用心じゃねぇか」

「俺達が相手をしてやるぜ。 女だけじゃ色々不満だろ」


 久しくなかった男達による面倒な事情、普段は警戒して睨みを効かせるイルレさんが居ないから寄ってきたようだ。

 腰に剣を下げているし短めだけど槍も持っているから、傭兵か冒険者なのだろうか。それにしても服も皮の鎧っぽい物も汚れているし、肌も汚いし不衛生だなぁ。

 町や村の人達だっでもう少し小ぎれいにしているんだけど。


「なんだこの犬コロは。 じゃまだどけ」


 唸り声を上げているステアーと、いつのまにか屋台の上に移動したフサフサクラブのトーラス。

 男がステアーを蹴とばそうとした瞬間、ステアーは飛び掛かり首に噛みつくとそのまま引き倒し、噛み千切った首から血が噴き出す。


「この! なにしやがる!!」


 槍を持っていた男はステアーに突き刺そうとした瞬間、車体の上で見ていたカイが短剣を投げると手に突き刺さって槍を落とした。

 フサフサクラブのトーラスも屋台の屋根から飛び降り、大人の手よりも大い爪で腕を挟むと骨が折れるような音が響いた。


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