252.状態
丈夫なはずのダンジョンの壁や床がカイと鋼鉄の巨人騎士との戦いでえぐれ、半壊した頃に切り刻まれ鉄屑になった巨人の残骸が転がっている。
「中々いい運動になった。 まぁ丈夫なだけだったが」
怪我一つなく、かるく汗をかいた程度でカイは戻ってきた。
「戦う意味あった?」
「体が訛っていないか確認は出来た。 問題はないようだ」
「それは、えーとなによりです?」
とりあえずカイの機嫌がいいようなので、自分もそれなりにいい気分。
「それで、ダンジョンの主も倒した所で、コアを破壊して脱出するとしようか」
カイと一緒に部屋の奥まで進んでいくと、巨大な扉を開けた先に蒼く光り輝く大きなクリスタルが浮いていた。
無造作に剣を抜くとカイはクリスタルのようなコアを破壊し、大小さまざまな破片が飛び散ると光っていた天井や壁が暗くなった。
「欠片を拾っておいてくれ」
「コアクリスタル? の欠片なんてどうするの?」
言われた通りに念動力でかき集め、小さな袋に纏めて入れるのだけれど、うっすらと光り続けている。熱さも何もないのだけれど、一体どういう現象で光っているのだろう。
「まぁ 色々だな。 神を信じさせるにも、役に立つ事だろう」
「信じさせるって、まずは集めておくよ。 あとで教えて」
コアクリスタルの欠片を集め終え、真っ暗になったダンジョンの中を出口に向かって戻る。
通路全てが完全に光を失い、いままで僅かに聞こえていた歩く音も消え、スライムさえも出てくることもなく、ただ暗闇に覆われているだけ。
埋まった出入り口には人気もなく、教団員も誰一人いない。ダンジョン内で全員仕留める事が出来たみたい。
念動力で出入口を産めて塞いでいた岩の山をどかし、外に出ると丁寧に埋め戻しておく。中のどこかに隠れていたとしても、出る事が出来ないように。
崩れた崖から少し離れたところに、カイの言う通り光のドームのようなもので覆われ、女の人達はその中でくっつきあって眠っていた。
「さて、起こしてくる。 リョウは移動する準備をしておけ」
とりあえず姿をAAV7に変更し、リアカーを複数取り出して引っ張り出したレッドドラゴンの死骸を載せる。これだって立派な売り物、みんなの生活費の足しにできる。
他にも集めたダンジョンコアクリスタルの欠片や、金貨の袋を車内に片付け、集めていた置いた教団内で集めた布を空いたリヤカーに積む。
「これに乗れ、町まで連れて行く」
カイに言われて恐る恐る4人は布が積まれているリヤカーに乗り、ゆっくりと念動力で牽きながら町に向かう。リヤカーの中にはアルスト教団施設内からかき集めた布があるので、夜は敷いてさらにくるまってもらう。
町までは遠いので、時折休みながら進んでいるとすぐに夜になってしまう。皆が眠っているので警戒していると、時折悲鳴のような声が聞こえ、目が覚めてしまっているみたい。
カイの魔法で深く眠ってしまえば、悪夢も見ないで済むのかもしれないけれど、そればかりをするわけにも行かないし、少しずつ、エイケさん達の様に仲間と時が解決していくのを待つしかない。




