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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
2章 歪み
251/313

251.ダンジョン破壊へ

 部屋をまるまる引っ掻き回すつもりで調べまわり、何枚か地図を見つける事が出来た。

 カイと一緒に内容を確認すると、手書きで理解しにくいものの5箇所の支部の場所がわかる。


「大体の情報は集まった。 この周辺の教団支部は布教中でまだ少なく、思ったよりも南部は楽にいけそうだ」


「布教中なのは良かった。 少なくともまだ教団員になる前に止められる」


 教団員になってしまえばそれまで、布教中ならまだ間に合う。

 といっても、どこに居るかわからないので、一つずつ支部を潰していくしかないのだけれど。

 荷物をまとめたあと、金貨だけをかき集めて袋に詰める。このお金は被害にあった女性達に使うのだけれど、これで足りるだろうか。


「念のためダンジョンも潰しておく。 大量の死体のせいでアンデッドダンジョンになり、溢れ出ても迷惑をかけるからな」


「……そんなことになるんだ。 それは確かに迷惑をかけるわけにはいかないかな」


 部屋の隅に閉じられている階段の封鎖をこじ開け、階下へと降りていく。

 相変わらず石造りの通路なのだけれど、今までとは異なり何かがうごめくような音が響いている。


「これ、ずっと前にダンジョンに落ちた時も何か音がしていたような」


 ダンジョンの暗い通路の先をじっと見ながら進むと、通路の奥から全身に鱗を持つ人型のモノが現れた。


「リザードマン?」


 体長2メートル50センチくらいあるリザードマンは、三つ又の槍を大きく振り上げ向かってくる。

 目の前のリザードマンを念動力で捕まえたのだけれど、背後に隠れていたもう一体から突き出された槍は装甲に突き刺さり止まった。

 念動力でつかんでいたリザードマンをダンジョンの壁に叩きつけて倒すと、カイは一刀のもとに槍を突き出していたリザードマンの首を切り落として片が付いた。

 倒されたリザードマンは徐々にダンジョンの床に溶けていくのだけれど、車体に突き刺さったままの槍は消える様子がない。


「この槍、どうしよう?」


 鉄製とは思えないのだけれど、いったいなんで出来ているのだろう。60式自走無反動砲の薄いアルミ合金といっても、そう簡単に貫けるはずもないんだけど。

 力任せに念動力で引き抜くけれど、三つ又の槍は先端も歪んでいない。


「いつも背負っている丸太と一緒に積んでおけばいいだろう。 丈夫なら丸太よりマシに使えるはずだ」


 丸太はなんでも使えるけれど、確かになんでも使えてしまうし、盗賊の人達に対して威圧にもならない。

 所詮丸太は丸太、されどなんにでも使える丸太なんだけれど、やはり武器として使うには苦しい。過剰な戦車砲や機銃を使うよりかは、まだ威圧としても使う事を躊躇しないかな。


「確かに。 それじゃ背負っておくよ」


 車体に三つ又の槍を載せ、カイと共にさらにダンジョンを進み階段を探しては階下に降りていく。

 三階ほど階下に降りた時、突然霧に覆われた広い階に到着し天井が高さ10mくらいはありそう。


「……なにこれ、天井も妙に高いし」


 周囲を見回していると、投げられたらしい大きな斧が眼前に迫り車体の左側上部をえぐり取っていった。

 そして降りたばかりの後ろの階段にめり込み、階段を打ち崩してしまう。


「油断するな。 どうやらダンジョンの最深部のようだ」


 カイも剣を構えていると、霧が晴れていき鋼鉄の鎧をまとった巨人が見えてきた。

 人間よりもずっと大きい両刃の斧、それを握り締めこちらに向かって歩いてくる。凄まじい威圧感と言うか、ダンジョンの魔物と違う、生き物ではなく自分と同じ異形のナニかを感じる。


「巨大な鋼鉄の騎士か。 久しぶりにまともな戦いができそうだ。 リョウ 手を出すなよ」


 カイは嬉々とした表情で鋼鉄の巨人騎士に向かっていった。

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