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異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
24/313

24.信仰の狂気

 教会に近づけば近付くほどその異常さが分かってきた。

 そこら中に描かれた妙な文様や教主だろう像の数々、そして

 

「まぁ、こんなものだろうな」


 所々に異端者と描かれ吊るされた人々。カイは平然と見ているけど、吐けない吐き気に再び襲われる。

 

「これが・・・・・・、人のやることですか」


「戦争なら当然だろう。 教団という括りにしては、いささかやりすぎではあるが」


 戦争なら男も女も敵兵から逆らう住民までも処刑するか吊るす。それがカイの世界だったが、充分に訓練し律せられた兵士ならそれ以上の事はしない。地球の戦争も、一時期はそう言ったことも行われていた。

 目の前の吊るされた人々は、女性は必要以上に嬲られた痕が色濃く残っていた。


「終わったら、こいつらを埋めてやろう」


 戦争の狂気はあらゆることをさせると本やニュースで知ってはいたけど、それに対する報復だったとしても、それでも、やはり、免罪符を得たとは思わない。


「リョウ、砲撃で教会周辺を吹き飛ばしてやれ。 そうすれば慌てて飛び出してくるだろう。 その間にオレが幹部を捕縛してくる」


「分かったよ・・・・・・」


 カイは剣を抜くと素早く教会に向って走っていく。

 機銃弾を非致死性ゴム弾に切り替え、教会の近くの崖に砲弾を撃ち込む。岩が轟音を立てて派手に砕け散り、教会の近くにどんどん落ちていく。

 何事かと、大声を上げながら何人もの教団員の人達が入り口から出てくる。

 

 「外さないように・・・・・」

 

 一人ひとり狙いを定め、ゴム弾を撃ちこみ次々昏倒させていく。うめき声を上げて昏倒していく姿に教団員は混乱し、逃げ出そうと次々教会から飛び出してくる。

 非致死性といっても口径が大きいので骨折したり、打ち所が悪いと死んでしまう事もある。

 丁寧に丁寧に狙いを定め、74式のFCSは抜群で一発も狙いから外れる事はなかった。

 30名ほど昏倒させた所で、カイが1人の男を縛り上げ引き摺って出てきた。

 半裸の状況と、後ろを付いて来るボロを纏った3人の女性からして、おそらく行為の真っ最中だったのかもしれない。

 カイの表情が非常に悪いので、恐らく了承もない強姦と思うけど。


「全員死にたくなければそこに集まれ!!」


 殺気の篭ったカイの怒鳴り声に、教団員達は恐怖の表情を浮かべながら一箇所に集まる。

 対象外なのに、カイの強い意志の篭った声に反射的に移動しそうになるほど。

 

「貴様! 我々にこのような事をして神罰が下されるぞ!!」


「我々の教主様こそ神の化身なり! この異端者め!!」

 

 殺したくはないけれど、でもこのまま放逐したらきっと繰り返す。先ほどから教主の名において、異端者を殺し、嬲り、そして女を犯してたんだと思う。戦車のすぐ近くで座り込んでいる3人の女性の表情はどれも酷く、ぼろきれから見える肌にも青痣が見えるし、酷く怯えて見える。

 

「女を嬲っておいて言う言葉がそれか! 神をなんだと考えている!!」

 

 カイが言う言葉に対して、仮初でも謝罪の言葉を述べるわけでもなく、その目は真剣に異端者と叫び、自分がしてきた事に対して反省しているそぶりなど微塵もない。

 今はカイが剣を握りながら、恫喝しているのもあって大人しくしているけど、背中を向けたらすぐにでも襲い掛かってくると思う。


「アルスト神は我らと共にあり! 我らが世界を導き、人々を浄化していくのだ!!」


「穢れた異端者を浄化し、我々が世界を救うのだ!」


「もはや、話すだけ無駄なようだな。 リョウ、準備は出来ているか」


 カイが背中を向けてこちらに歩き始めると、4人が立ち上がり剣を抜いて襲い掛かってきた。

 あぶない!と声を出そうとした瞬間、カイの剣が動いたと思ったら、襲い掛かった連中動きが止まり、数秒してばらばらの残骸になって崩れ落ちた。

 何が起きたのかさっぱり分からなかったけど、カイが何かをしたんだとは思う。


「お前達の処分は決まった。 そのまま動くな」


 カイの力を見た教団員達は、恐怖で震えその場から動けなくなっている。最後のチャンスだったのに、教義を仮にでも捨てて逃げ出してくれれば。

 機銃を向け、弾種を非致死性のゴム弾から実弾に切り替える。


「教主アルスト様、どうか我々をお助けください」


「アルスト神様は我等と共にあり。 死などおそれはしません。 どうか我々にお導きを」


 思い思いに祈ってはいるが、それでも命乞いや反省の弁はない。


「おぉ親愛なる教徒たちよ。 我らがアルスト神様が微笑んでおられる。 あの異端者共を浄化し、楽園への高みへと昇りましょう」


 今更になっても撃ちたくはない。でも反省の弁はなく、それどころか背中を見せたカイに襲い掛かろうとした。

 恐らくここの責任者だろう男は、団員をけしかけ1人教会に戻り逃げようとしている。このまま見逃しても教会を再建するだけで、何も変わらない。教義を理由にして誰かを傷つけ、洗脳して支配するだけ。


『我らが神は偉大なり!』


『我らが神は偉大なり!』


 教団員達は盾になるように立ち上がり、こちらに徐々に向ってくる。盲信によって自分を見失って、本当に従う事で楽園にいけるとおもっているみたいだ。

 30人に囲まれて例え殴られようと蹴られようとも、戦車の体ならなんともないけど、真顔で神は偉大なりと叫びながら向ってくる集団が怖い。

 

 「リョウ!」


 カイの言葉に機銃を撃つ。

 自分の力で人が、目の前で人が死んでいく。機銃弾に痛みの声をあげる事もなく、体を貫かれ、血を吹き出し絶命してしまう。

 

「もう充分だ。 リョウ止めろ」

 

 1分間の掃射で全てが片付いた後、人間だった残骸が大量に転がっていた。


ざっくりとした説明

FCS:

照準補正をしてくれる機械システム

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 信望は人望や信用の類義語であって信仰とは全く別の意味です。「人望の狂気」とか「信用の狂気」なんて表現おかしいでしょ? 「信仰の狂気」が適切かと
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