表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を戦車として進む  作者: 赤崎巧
1章 旅立ち
25/313

25.帰り道


「気分が悪い・・・・・・」


 余りの嘔吐感に砲身を下に向けると、主砲弾が音もなく一発地面に落下。吐けないわけじゃなかったみたい。吐き出した砲弾は1分くらいで消滅していった。

 追加で2発ほど吐いた後、少しだけ嘔吐感が治まり落ち着いてくる。

 もしかしたらPTSDというものになるかと思ったけど、鋼鉄の体と一緒に精神もやっぱり強くなっていると思う。辛いけど、なんというか耐えられないわけじゃない。

 

「落ち着いたなら埋めるぞ。 このままにしておくと獣が集まるし病気も広まる。 人の味を覚えた獣は厄介だからな」


 カイは吊るされていた人々を降ろし、飛び出していた目や舌を戻している。

 自分も念動力で広く深く穴を掘り、機銃でばらばらにした教団員達を放り込んで埋めてしまう。

 その間にカイが教会の中や吊られていた死体を引き摺ってくると、新しく穴を掘りなおし、一緒に集めて埋めていく。

 全てが終わるくらいには夕暮れになり、3人の女性はほとんどその場から動かず、怯えながらじっとしていた。


「リョウ、車内に仕舞ってある食べ物を出してくれ」


 ハッチを開き、中からカイが買って置いた皮袋を取り出す。

 カイは皮袋を受け取ると、中から水袋と乾燥したパンを取り出し、三人の女性に差し出した。恐る恐るながら受け取ると、すぐには口につけなかったが、飢えていたのか一人が食べ始めると、後の二人も食べ始めた。

 カイはその様子を見たあと再びその場を離れ、往復して教会から食べ物や布類を持ってくる。


「リョウ、教会周辺の崖を崩してくれ。 入り口を塞がないと盗賊のネグラにされてしまうからな」


「わかった」


 主砲弾を榴弾に切り替え、教会周辺の壁を砲撃し入り口周辺を完全に塞いでしまう。飛び散り落下した岩石で、すこし教会が壊れてしまったけれど、これ以上誰かに壊され汚されてしまうよりは良いと思う。


「お前達」


 三人は集まって怯えながらカイを見ている。酷い目に会ったのだとは思うけど、本の知識以上にどんなめに会ったのかは自分には分からない。


「安心しろ。 オレも女だ。 カンドの村まで送ってやる」


 驚き信じられないような顔をしている。普通に見ればカイは中世的な美形、女と言われてもそう簡単には納得できないと思う。

 珍しく鎧と上着を脱いで、カイが女性らしい体格を見せると、やっと安心したらしく、その場で気絶するように三人は眠り始めた。

 随分と精神的に追い詰められていたみたい。


「カイ、その三人どうする?」


「硬殻のギルド長にでも話してみよう。 リョウ、何か載せられるモノに変われるか?」


「M24軽戦車を出して牽引するよ。 木で囲えば3人くらいは大丈夫だと思う」


 74式戦車から光が分裂するように離れていくと、後方1m離れた場所にM24軽戦車が現れた。

 体は一つ、74式が基本なのに視界の感覚が二つあって凄く妙な感じがする。

 74戦車なら体のようにあれこれできたけど、牽引していると外部操作をしているみたいで、なんとなくおぼつかない。


「今ロープを集めてくる。 その間に木でも集めていてくれ」


 念動力が届く範囲の木を掴んでは適当なサイズに整える。念動力が思ったよりも便利、手と同じ感覚で扱えるのに、怪我をする事無く木材加工が出来てしまう。

 そこそこ器用だったのもあるし、枝を取り除いて形を力で整え、M24軽戦車の上に簡単に組みつけていく。後はロープでしっかりと括りつけてしまえば、たぶん崩れることはないと思う。

  

「できたのか」


 カイが集めてきたロープで、木枠をぐるぐるに縛り上げると、教会から持ってきた布や毛皮を敷き詰め一応出来上がる。


「リョウ、三人を載せてくれ。 村に戻る」


 丁寧に三人を持ち上げ、M24軽戦車の上に作った木台の上に載せ、出来る限り丁寧に山道を下る。暗闇に周囲が覆われる中、眠る女性達をカイはどこか優しく見ていた。

ざっくりとした説明

PTSD:

精神的傷を負うほどのきつい体験で、何度も何度も思い出して苦しむ。簡単には直らず、投薬にカウンセリングなどが必要。

気合とか根性とか素人の慰めなんてなんの役目にも立ちません


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ