21.蜥蜴種でも怖いものは怖い
警戒しながら空中にいる多数のワイバーンに機銃を撃っても全然当たらず、無数のワイバーンに群がられ、思わず絶叫を上げてしまう。
「ぎゃぁぁぁ!」
爪と牙によって装甲が少しだけ歪み、引き千切ろうとする力で砲塔と車体の間が軋み音を上げている。
ドラゴンのときよりも車体は全然平気だけど、どの方向を見ても大口を開け、噛みつくワイバーンが居て怖くて仕方がない。
砲塔の上部にあった12.7mm重機銃は、噛み付いたワイバーンに引き千切られ、砲身横についている同軸の7.62mm機銃2門を連射。
ある程度は倒れていくのだけど、車体の後ろに回られたり、上に乗られたワイバーンには効果がない。
「ちょっ、さすがにこれは!」
砲塔を回転させたり、前進や後進しながら振り落とそうとするけど、ほとんど効果がない。
「いだだだだだ!」
2体のワイバーンは砲身に噛み付き、へし折ろうとしているのか、変な砲口に曲げられそうになり痛みが走る。
「このっ!」
砲塔を旋回させながら岩に叩き付けると、何体かのワイバーンが振り落とされた。
「痛ったぁぁぁぁぁ!!」
まるで足の小指を角にぶつけたような痛み、それが砲塔から全身に響く。振り落とされなかったワイバーンが砲身に噛み付き、変な方向にゆがみ始めている。
2体のワイバーンが群がったまま全速力で前進し、後方を向きながら機銃を連射、襲いかかろうと群がるワイバーンを倒していく。
一匹のワイバーンが道を塞ぐように進行方向に立ちふさがるが、構わず車体をぶつけその身に乗り上げ押しつぶす。
「このぉ!」
ワイバーンに激突し乗り上げた衝撃で、振り落とされたワイバーンに向け機銃を連射、絶叫を上げて動かなくなる。
もし息が出来るなら、肩で息をするように呼吸が乱れているはずだけど、代わりにエンジン音が不安定になっている気がする。
「随分無茶をしたな」
カイの声に視線を向けると、余裕の表情で剣に着いた汚れを拭っていた。
相変わらず服はまったく汚れておらず、それどころか汗一つかいている様子もないし、ワイバーン相手でも全く問題なかったみたい。
美しく最強、欠点を思い出せないカイがいるのはとても助かる。
正直自分自身の事で結構一杯一杯、もし戦車じゃなくて、人の姿のままチートが得られても精神的にダメだったかもしれない。
「もうワイバーンにもう襲われることはないだろう。 あれを見てみろ」
カイに言われ指差された方向を見ると、生き残ったワイバーン達は逃げるように飛び去っており、もうこちらに襲い掛かってくることはなさそうだ。
「はぁ・・・・・・、酷い目にあった。 もうこういうのは勘弁して欲しいよ」
車体は傷だらけ、ぶつけた砲身も少し歪んでいた。
「それでもSPは随分貯まったろう?」
カイに言われて意識を傾ける。1245+8000で9245、かなりポイントが貯まってる。
「74式も74式改も選べるほど貯まってる。 これで山道は大丈夫そう」
精神的にも肉体ならぬ車体的にも随分疲れてしまったけれど、とりあえず頑丈な戦車に生まれ変わった事を感謝しようと思う。




