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1393話

そんな連中が、得物を持って飛び掛かった。

最初の数は十人、更に話を聞いた周りの船乗りや商人、腕に自信のある連中まで集まり、船着き場は荒くれ者だらけとなっていた。


最初に飛び掛かったのは、リリーナ達の船の近くに停泊していた商船の船乗り達。

潮焼けと酒により赤黒く変色した肌を持つ大男達が、片手にナイフや湾曲した剣、もう片手に縄を持ち、誰よりも早く捕まえようと躍起になっていた。


彼らからすれば、ちょっとした商人如きに捕まるような人モドキに負けるとは思ってもいない。

リリーナの細腕やその身に似つかわない大きな武器を見ても、その考えは変わらなかった。


ヤル気のなさそうなリリーナが何かを言おうとしていたが、それよりも先に太い手を伸ばす。

一攫千金の得物を誰よりも先に捕まえる為に。


次の瞬間、船乗り達の手が数本、宙を舞っていた。

「はあっ?!」や「えっ?!」という声が聞こえたが、そんな事リリーナには関係無かった。


状況に気付いていない者達の手を次々に切断していく。

ほんの十秒程の間に、桟橋の上には多数の手が転がり、血だらけの海となっていた。


片腕を失った者達が血が噴き出る腕を押さえながらのたうち回り、両手を失った者達が虚ろな目をしながら倒れ伏す。


一瞬の間が空き、駆けつけようとしていた荒くれ者達の足が止まる。

リリーナが巨大な斧槍を振るったのだとは思ったのだが、その動きが一切見えなかった。


彼らとて海賊や同業者などを相手に、血生臭い争いをくぐり抜けてきた自負があった。

だが、リリーナの動きはそんな彼らの常識の範囲外だった。


範囲外の動きだったからこそ、戦いの経験が浅い若者達が次々に襲い掛かった。

そして、一刀の動きすら見えないまま、その手を切刻まれていった。


「貴方達、言葉を発する事すら知らないのですか?」


鈴のような声が響き渡り、その声色で相手が女性であると始めて理解した。

それと同時に、欲望の目を向けて襲い掛かる連中も数名いたが、やはり一瞬の間に手を切り裂かれていた。


「な、何てことをしやがる?!お前、ここが何処だか分かってんのかぁ!!」


大きな刃を持つ曲刀シミター片手に、怒りなのか恐怖なのか分からないが、日焼けした肌でも分かるぐらい真っ赤な顔で、海賊帽パイレーツハットを被った男が、唾を飛ばしながら大声で叫ぶ。

その男の言葉を大きなため息で聞き流しながら、ピタリと斧槍を向ける。


「私の名はリリーナ、この町に連れ去られた同胞達を救う為にやってきた。貴方達の代表は誰かしら?」


喚き散らす男の言葉に返事などせず、淡々と自身の名と言葉を伝えるが、周りを囲む荒くれ者達の雰囲気は未だに変わらない。

寧ろ殺意が一段上へと上がったかのように感じる。


もっとも、リリーナからしてみれば、この程度の殺意など微風以下にしか感じない。

ゴブリン程度の力量しかない生き物に、恐れを抱くハズも無い。


だから、さっさと話をつけて帰りたいと思っていた。

その思いが態度に出てしまい、周りの人間達への無関心に変わっていた。


メルフェンに獣人達四十人、それとエルフ二人の四十三人。

その全員を引き取れれば、最悪取られた船は放置しても良いとの指示をユウキから受けている。


船より人命、そう伝えられていた。

人間達には見えていないようだが、既に中位の精霊が空中でリリーナを案内しようと待ち構えている。


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