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1392話





〜〜〜〜〜

船上でエニアグランがそう予想していたその時、都市国家同盟北東の港町オズディアでは、朝早くから武装した兵士達が右往左往していた。

それというのも少し前に入港し、見た目のみ珍しい『動かない帆船』と同じ船が、無数の船舶を押し退けて入港して来たからだ。


その帆船は、あり得ない程の操船技術を持って船の間をすり抜け、他の船に当たるどころか擦れる事すら無く進み、空いていた木製の桟橋にスルリと滑り込んだ。

その操船技術に、朝早くから出航準備をしていた船乗り達から驚きの目を向けられていた。


だが、その目も謎の船からフワリと降り立った人物へと移動していた。

何しろその人物、朝日によってキラキラと輝く銀色の鎧を纏い、背中には真っ白な羽を生やしていたからだ。


右手にはその身に似合わない程巨大な斧槍ハルバード、左手には巨大な半円筒盾スキュータムを装備している。

防具の方も、一目で上質な布地と思われる白い防護服ギャンベゾンを着込み、銀色に輝く鎧を一層際立たせていた。


鎧の細かい部分には、青い色の小さな宝石が埋め込まれており、その周囲も精巧な銀細工が描き込まれていたりする。

心臓付近を重点的に護るような形状をした胸当てに、動きを阻害しないよう細かい部品で編み上げられている腰鎧、しっかりとした造りの肩当てに籠手、複雑な曲線を持った脛当てに鉄靴、全てがまるで芸術作品のような造りをしていた。


周りの人間達も、その豪華な装備とそれを着る人物の姿に、作業の手を止めて見惚れてしまっていた。

兜部分は顔全体を覆うタイプでは無く、上部に帽子のように被るタイプで、鳥の嘴のように先に向かって尖った競女がをしている。


兜表面にも細かい細工が施されており、何かしらの色を混ぜているのか、光の移具合によっては神秘的な模様を浮かび上がらせていた。

更に、所々に湾曲した隙間があり、そこから銀色の髪の毛が海風に揺られて舞っている。


日の光によって映し出された顔は、無表情でありながらもグレーの瞳が冷たく周りを見渡していた。

その眼力に押され、突然の珍客に鼻息荒く武器を持って集まった人間達が皆、顔を見合わせてたじろいでいる。


その人物は、浮遊大陸の十三将のトップであり北斗の七将の長、有翼族のリリーナ·ドゥーベだ。

普段であれば使用しない完全武装状態で、港町オズディアへと無断上陸していたのだった。


最初、見た事も無い船から飛び降りてきた人物、しかもその人物が一目で人間とは思えない姿であったが、この港町の荒くれ者達は怯まなかった。

寧ろ、『珍しい得物が来た』とまで思っていた。


そう思った理由として、少し前に『輸入された異世界の人モドキの奴隷』を見たからだ。

とある商人が持ち込んだその奴隷達は、人というより『獣が二足歩行しているようにしか見えない』珍しい品物だった。


獣のような耳や鼻を持ち、更に尻尾まで生えている、そんな珍しい生き物。

近々行うオークションにて、高値で取引きされる事は既に決まっているとまで言われていた。


そんな連中より更に珍しい『羽の生えた人モドキ』が現れればどうなるか、金に汚い連中からすれば最早言うまでもない。

何者かは知らないが、さっさと捕まえて高値で売り飛ばす、そう短絡的に考えるような連中しかこの場にはいない。


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