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91.「二つの切り札 ――獣人探索+⑩――」
重い銃声が鳴り響く。
一発の鉛弾によって光を失った怪鳥は、その大きな体をぐるぐる回転させながら森の何処かへと飛んでいった。
標的であった人間の横腹に、自慢のツノだけを残して。
「痛ってぇ…」
出血箇所を押さえながらミズハは言う。
「まさかあんな飛び道具を持ってやがるとはな」
頭上から急接近してくる鳥の存在にミズハは気付いていた。
そしてギリギリで敵の攻撃をかわすことに成功していた。
しかし相手も負けてはいなかった。
そのまま空中で身を翻してミズハに狙いをつけると、なんということだろうか。
頭部に取り付けられていた一本のツノを高速で打ち出してきたのだ。
ピストルの弾には及ばずも、樹上で回避行動を取っている人間に命中させるには十分すぎるスピードだった。
「なんとか一矢報いたが…」
移動しつつ応急処置を行う。
敵の放ったツノは、右側に装備されているチェーンワイヤーの射出装置を貫いていた。
これによって彼が被るはずだった肉体的ダメージはかなり軽減された。
しかし、その代償として機動力を著しく奪われてしまった。
血の匂いを嗅ぎ付け、手強い生き物達が続々と集まってきている最中。
この窮地を脱しつつ先を行くパートナーを追いかけるための手段は限られていた。
「仕方ない。こっちも切り札を使う!」




