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84.「ラブライフ ――獣人探索+④――」
これまでミズハはずっと生き物の命を奪うことを拒み続けてきた。
船の上で海竜に遭遇した時も。
いざないの森で動物に囲まれた時も。
フィッツシャーまでの道中の湖で大蛇に首筋を噛まれた時も。
特に理由があるわけではない。
かつて動物に命を救われたことがあるわけでもなく、ましてや命を奪う行為が怖いわけでもない。
暗殺の依頼があればヒトだって殺す男だ。
それでも強いてなにか理由を挙げるとすれば、やはり二年前のクリスタル事件が関わってくるのだろう。
当時の仲間に、姉にそっくりの少女がいた。
幼少期に殺された姉の生まれ変わりとも呼べるほどに瓜二つだったその少女は生き物の傷を癒す不思議な力を持っていた。
優しい力を反映するかのように性格も優しく、怪我をしている動物は手当たり次第に治療していくような子だった。
「完全にヒメの影響だな」
改めて思い出した。
大好きだった仲間の信念。
もうこの世にいない仲間の意思を尊重するために彼は殺さずの精神を掲げていることを。
白状すると構想当時は「烈火の炎」にハマってて。ミズハはかなり水鏡凍季也っすよ。殺された姉にそっくりの仲間の治癒能力とかも。




