80.グリーンリバー
そして十八年の月日が流れた。
…とか書いて終わらせようかという思いがよぎりもしましたが、まだ全体の30%くらいしか進んでいないので続きます。
そして一週間の月日が流れた。
その一週間は嵐のような大雨がウェールズの街に降り注いでいた。
運送業の野郎どもはずぶ濡れになりながらも、外を出歩きたくない人々のために荷物を配達する仕事に追われ、色黒の男は洗濯物が乾かないという連れ合いの愚痴を聞かされ続けている。
河川が一時氾濫寸前まで増水したことにより学校は休みになり、それでも外に遊びにも行けない状況下で学生たちは家で思い思いのことをしていた。
一週間前に誕生日を迎えた少女の家には褐色肌の女が訪ねてきていて、次々情報が書き足されていく不思議な辞典を眺めて談笑している。
住民たちの生活を守るために河に呼び出された大人たちに混じってハンターの姿がちらほら確認された。
その中に、銀髪の若いハンターもいた。
彼らは有志でギルドに集い、街のパトロールや雨量の監視をボランティアで行なっている。
一区切りがついた彼らを赤い髪の女が温かいココアと毛布で出迎えている頃。
茶色く濁った河の水はとめどなく下流にある深い森へとなだれ込んでいく。
木はなぎ倒され、崖は切り崩され、濃い霧を発生させたその大雨は一週間一度も止む事はなかった。
一週間ぶりの青空の下。
少女が開いた辞典に以下の記述が掲載された。
『ウェールズの街で確認された死者および行方不明者の数は21名。街の下流に位置するいざないの森に住む生き物の失われた命は、その十万倍に及ぶ』と。




