79.「また明日 ――暴走ハンターを取り押さえよ⑲――」
「ファルちゃんおやすみ。院のみんなにもよろしくね」
帰路に着く二人を玄関で見送るミズハ。
「うんおやすみ」とファルが振り返ってバイバイをする。
一歩先を行くドナが振り向いて言う。
「アタシもしばらくこの街で活動するんでよろしくっす」
「私の家あそこだから、いつでも遊びにきてね」
ファルが指差す方向に白い外壁の一際大きい家がある。
玄関先の灯りが点り、主役の帰りを今か今かと待ち構えている。
「ファルちゃん。その本のことはなるべく内緒だよ」
すっかり忘れかけていたかもしれないが例の辞典は今はファルの手中にある。
家を元に戻す方法は記載されていたが、手に張り付いた本書を外す方法は見つけることができなかった。
彼女は気にしていない様子だったがやはり得体の知れない物だけに回収を諦める気にはなれない。
「うんわかった」という彼女のことが心配でしょうがないのだ。
「アタシにもなにか一声かけてほしいっす」
ドナの突然の要求。
「え? あったかくして寝ろよ」
ミズハもとっさに優しい言葉をかけるがいまいち不発に終わった。
「この暴走娘、早く帰れ」
ミズハの一声で二人はキャーと叫びながら階段を駆け足で下りていった。
ドアを閉めようとするミズハに、地上から二人がブンブンと手を振っている。
本当に細かい仕草が姉妹のようにそっくりだ。
やがて二人が手を繋いで歩き出す姿を確認し、ミズハはそっと玄関のドアを閉じた。
土日単発だったので、明日AMPMの二回更新します。




