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72.「変わっとる ――暴走ハンターを取り押さえよ⑫――」
今日は二回更新してるけど、当分一話ずつの更新になりそうです。
ファルの手招きに吸い寄せられるミズハはあっと驚く。
「ん!?」
その手の中にある辞典は、夜行バスの中で散々読み耽ったあの時の辞典と明らかに性質が異なっていた。
ひたすら文字による情報のみ書き記されていた本書が一転、イラスト付きのカラフルな内容に。
情報も持ち主の個人情報だけじゃない。
近所でよく目にする草花や動物を紹介するページが、妙にリアルな写真とともに記載されている。
「これ本当に俺が持ってた辞典?」
「そうだよ。ほら」
そのまま手を下向きにすると、本来なら手を離れて落ちていくはずの本が落ちていかない。
この時裏返しになった辞典の表紙も同様に変化していることに気が付いた。
重厚ななにかの専門書のような装丁だったはずなのに、鳥の写真が中央にドンとある今の本書はまるで百科事典のようだ。
一旦目をこすってみても変わらない。
触って確認してみても誰かがのり付け等でレイアウト変更した形跡はない。
その本ははじめからこの姿であったという他ない状態で彼女の手の中に収まっていた。




