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71.「好きになる ――暴走ハンターを取り押さえよ⑪――」
「なんでお前まで部屋に上がってんの?」
帰宅したミズハを出迎えるファル。
そしてドナ。
「いいじゃないっすか。ねー」と言いながら笑顔を振りまく。
するとこれまでずっと閉ざしがちだったあの子の口が開いた。
「ねー」
ミズハが迷惑をかけた住民たちに説明し、謝って回っていた間に二人はすっかり打ち解けていた。
最初に手をつないでギルドを訪れる姿を目撃されて大声を出された。
その時にファルの頭には彼女が怖い人物であるという情報が刷り込まれてしまっていたのだ。
日中三人で行動している間、ずっと口が重たかったのはそのせいだ。
「やっぱりそうか」
もちろん言われなくても分かっていた事なのだが。
「もしかしたらその本の事で悩んでるのかと思ったからさ」と、手元の辞典を指差して付け加えた。
「それよりお兄ちゃん。この本凄いんだよ!」
手から離れなくなった辞典のことを特に気にする様子もないファルの姿を見て、ミズハの心の中にあったもう一つの問題も解決した。
当分、土日も一話ずつの更新になりそうです。




