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49.「発見 ――賞金首『辞典泥棒』捕縛①――」
病院に赴いたところ、大蛇に噛まれた首の傷はぎりぎり致命傷を避けていた。
毒を持つタイプでもないようなので傷跡は残るかもしれないが、一週間ほど安静にしていればすぐに完治するという。
ギルドと提携している格安の宿も確保したし、観光がてらゆっくり傷を治してウェールズに戻ればいい。
というわけにはいかなかった。
「図書館に行かなくては」
素早くベッドから飛び起きると朝の準備を手早く済ませ、二丁拳銃を灰色のマントで隠して部屋を出る。
ヤマトから助言を受けた時のことを思い出して欲しい。
この街に来たのは護衛の依頼をこなすためだけではない。
ウェールズよりも大きな図書館で、誘いの森で出会ったあの獣の少女のことを調べるためでもあるのだ。
郊外まで足を伸ばせば古書店も多いらしい。
ギルドに立ち寄って同業者から情報を交換するのも良いだろう。
「故郷よりも大きな都会という場所はつくづく便利だな」、とミズハは思った。
そして見つけた。
再度、ヤマトから助言を受けた時のことを思い出して欲しい。
この街での用事は獣の少女のことを調べる以外にもう一つあったことを。
最近珍しい書物を盗んだことで懸賞金を掛けられた泥棒。
ノートに書き留めたその特徴にぴったり符合する怪しい人物が、繁華街の一角にある貧困層達が住まう路地に消えて行った。




