48.レベル2になった女
「自己紹介します! アタシ、ドナ=ハイブリッジ。ハンター歴は三週間です」
元気いっぱいに敬礼しながら日焼け肌の女が言った。
ミズハは、ギルドのおじさんが若いチャラチャラしたハンターが増えているとぼやいていたのを思い出す。
「君もハンターのはしくれなら、自分の匂いには特に注意を払うことだ。自分じゃ気づきにくい部分だからな」
「はい先輩。勉強になります」
「それから。堅気の人間とは極力問題を起こさないことだ。フィッシャーでもフィッツシャーでもどっちでもいいだろ」
先ほど漏れ聞こえた言い争いの一端。
この街に観光にやってきた名無しの三人組が『言い難い』などの理由からフィッシャーフィッシャー言ってたのを彼女が耳にしたのが事の始まりだったのだ。
「ここはアタシの生まれ育った街だ。名前間違えられるとか屈辱だっての」
ドナは敬語も忘れてミズハに詰め寄る。
「そうか? 俺は間違えられてもなんとも思わないけどな」
体ごと顔を背けてミズハはその場を後にする。
「あ待ってよ先輩。名前教えてよー」
すかさず正面に回りこんできたドナにミズハは言った。
「俺はミズハだ」
「苗字も教えてほしいっす」
「やだ」
「えーっ」と残念がるドナを置き去りにしてスタスタとミズハは人混みにまぎれる。
ミズハはあまり自分の苗字を人に教えたがらない。
それは彼の苗字が珍しいのと同時に、ちょっと間の抜けた感じでもあるからだ。
「ハイブリッジとかちょっとかっこいいじゃねーか」とドナの苗字をひそかに羨ましがりながら、宿に足を向ける。
ミズハの苗字は追々明かされます。特に伏線とかはありません。




