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50.「解決 ――賞金首『辞典泥棒』捕縛②――」
「動くと撃つ」
ミズハが背後から目標の背中を狙う。
その声に驚いて体をビクンと震わせた痩せた男は、ビクビクした様子で恐る恐る両手を上げようとする。
その時痩せた男の懐から小包大のサイズのなにかがボトンと地面に落ちた。
男は再び体を震わす。
ミズハは依然として背中を向けたままの男に向かって言い放つ。
「俺はハンターだ。えっと。確認するが、お前はこの街で貴重な書物を盗んだ泥棒で間違いないな?」
拳銃を向けられただけでこのビビリようでミズハは当てが外れたと思っていた。
あるいは油断させるためのビビってる演技かもしれないが、その思考は男の返答で中断された。
「はいそうです」
「配送?」
ミズハが今一度聞き返すと、声のトーンを一つ上げて男が言い直す。
「はいっ! 私が犯人ですー!」
「…………え?」
初めての経験だった。
泥棒に泥棒かと尋ねて「泥棒です」なんて言うやつに出会う確率はどれくらいのものなのだろうか。
それともこれも油断させるための演技なのだろうか。
という思考も再び、男が返答で中断する。
「お願いします。もう悪いことはしないんで、私を牢にぶちこんでくださいーっ!」
「なんだこいつ」
不思議に思いながらもミズハはこうして、男の両手首に縄をかけることに見事成功したのであった。




