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42.「反逆 ――マウントブック一家の護衛⑯――」
「あんた俺がヘビに襲われた時なにしてた? 真っ先に積荷の影に隠れようとしやがっただろ」
大蛇に湖へと引きずり込まれる刹那にカツオの目に映った光景。
下っ端の彼がそれをありありと口にすると、次第に野郎どもから数々の不満の言葉が噴出していった。
もはや誰もボスの言うことなど聞こうとはしない。
ゴーガとカツオが負傷者を担いで運び、残った野郎どもがトラックのギアをバックに入れる。
事の顛末を聞くに終始したミズハは頭を下げる。
「すまない。俺が不甲斐ないばかりに」
「何言ってんだ。やっぱお前すげえよ。よくあんな真っ暗な湖に迷わず飛び込めたな」
笑って話を濁される。
「でもボスに歯向かったりしたら、お前らの立場が悪くなるだろ」
その心配は杞憂に終わる。
「あいつは代理のボスなんだよ。怪我で入院してる兄さんに代わって手柄を立てたかったんだろうけど、今回の件で処分を受けるのはむしろあいつのほうさ」
それなりに大きい派閥であるはずの頭にしてはいい加減というか、不適格な感じはしていたが。
解せなかった点がようやく解消された気がした。




