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41.「SOS ――マウントブック一家の護衛⑮――」
「必要最低限の荷物を持って引き返そう」
ミズハが言おうとしていたその台詞は、ゴーガに取られてしまった。
その言葉を聞いたボスが反論しようとするも彼は有無を言わせず畳み掛ける。
「俺たちの仲間を助けるためにミズハは負傷したんだ。ミズハがこうなってしまった今、もう一度ヘビが襲ってきたらおしまいだ」
ゼロ距離からのチェーンワイヤーの射出によって大蛇は負傷し退散したが、また襲ってこないという保証はない。
同じようなのがもう一匹居ないという保証もだ。
「おい! 頼まれた荷物はどうすんだ!」
マウントブック一家のボスはあくまでも仕事を優先する姿勢を見せる。
「諦めるしかないっしょ。元々無茶なスケジュールだったんだし、謝るしか…」
「ふざけんな仕事をなんだと思ってんだ!」ボスが怒鳴る。
夜の湖に波紋が立つほどの大声が横たわるミズハの脳を揺さぶる。
「大体ハンター! てめぇがそんなだから困ってんだろうが! なんとかしろや!」
「だまりやがれ!」
ミズハでもない、ゴーガでもない。
ボスでもない、ボスに向けてキツイ一言を突きつけたのはミズハに助けられた野郎どもの一人だった。




