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31.「強情 ――マウントブック一家の護衛⑤――」
マウントブック一家のボスが地図を広げながら言った。
「まっすぐ目指せば時間が短縮できるだろがよ」
そう言って狩りの街ウェールズと釣りの街フィッツシャーを人差し指で何度も往復させる。
「迂回して行った方が安全ですよ」
ミズハが口を出す。
この二つの街を直線距離で行こうと思ったら、途中に大きな湖を通ることになる。
かつては主要道路として利用されていたが近年水位が上がり、水没。
今では東にぐるっと回って行くのが常識だ。
「それじゃ間に合わねぇっつってんの!」
「お言葉ですが、僕は先日同じように近道をしようとして森で迷子になった業者の救援に向かったことがあります」
仕方なく切り札を出す。
誘いの森で立ち往生していた業者の一件について。
あれだっていくつかあるルートの中で最も危険度の高い『真っ直ぐ目指す』ルートを選んだ結果だったのだ。
マウントブック一家のボスが返事をする。
「で?」
「だから、同じことが起きないように安全な道を…」
「そいつらがしくじったからって、俺達が同じミスをすると思ってんのか!?」
ミズハは頭が痛くなってきた。




