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30.「迷惑 ――マウントブック一家の護衛④――」
ギルドの責任者ヤマトが依頼について簡単に説明する。
「おかえりミズハ。依頼の事なんだが、釣りの街フィッツシャーまで護衛の任務についてもらいたい。出発は今夜だそうだ」
「今夜って急だな」
ミズハが愚痴をこぼすとゴーガが申し訳なさそうに言った。
「急ぎの荷物があってさ。金は上乗せするから頼むぜ」
釣りの街フィッツシャーはここより北東に位置する海に面した港街である。
人口はウェールズより多く観光客で賑わう、この辺りでは一番大きな繁華街がある。
「フィッツシャーなら今夜中に出れば明日の昼には着くな」
ミズハが道中の段取りを立てていると横から怒号が飛んできた。
「だから明日の昼じゃ間に合わねっつってんだろが!」
ミズハにとっては初耳だった情報の件で理不尽に怒鳴られた。
マウントブック一家のボスは声をあらげながらヤマトに食って掛かる。
「こっちは明日の十時までに届けにゃならん荷物があんだよ!」
「そんな無茶な仕事を引き受けたアンタの責任でしょうが。怒鳴れば無理が通ると思ったら大間違いだよ。
だいたいね、来たばかりのミズハに怒鳴るのはお門違いってもんだよ。謝りな」
今回の迷惑な依頼人に、普段は温厚なヤマトもかなり頭にきている様子だった。




