2話 ヴァロワ
「ちょっ、ちょっと待ってくれ、ヴァロワ?それってどこなの、ヨーロッパ、南米、それとも北米?」
俺がそう訊くと少女は固まってしまった。
おいおいまさかその反応、アフリカなのか?
「え、えっと、エルダー大陸です」
「……どこ?」
「え、あ、うん、どこと言われても……それよりも、しょ、食料を」
『パタン』
そうして金髪少女は気を失ってしまった。
まずい、エルダー大陸なんて知らないぞ、もしやこの8年で地上に何かあったのでは……色々聞きたいが、とりあえず何か作って食わせよう。
「スキル発動錬成【鉄鍋】と【おたま】」
俺はスキル錬成を使い鉄鍋とおたまを作った。
えーっと、あとは水球出して鍋に水入れて、火はフレイムで出してっと。
そうして俺はスキルを上手く使い、さっき仕留めた熊と採れたての龍草を鍋に入れぐつぐつ煮込み始めた。
「よしいい感じだ、あとはこの常備している塩虫を入れてっと」
『チャポンッ』
「おし!完成ダンジョン熊鍋!」
俺はできた熊鍋のスープをおたまで掬い、金髪少女の口元へと運ぶ。
「おいほら、口開けろよ」
「ん、んん、これは」
そうしてゆっくりと開いた口に少しずつスープを流し込んだ。
まったく世話の焼けるやつだな。
「お、おいしいですねこれ」
「そりゃどうも、肉もあるしとりあえず食えよ」
「ああ、助かります」
金髪少女はそう言って起き上がった。
さてさて、スキルで俺とこの子のお椀を出して、よそって。
「ほらよ」
「ど、どうも」
そう言って金髪少女は熊鍋を食べ始めた。
色々聞きたいけど、食べてから聞こう。
そうして俺も熊鍋を頂いた。
「あー、食った食った、満足だー」
「あ、あのぉ、先ほどの続きなのですが」
熊鍋を食べ終えると金髪少女はさっきの国の話の続きを始めた。
「ああさっきのね、えっとそもそもエルダー大陸ってなんなの?」
俺がそう言うと、金髪少女は小首を傾けキョトンとした。
いやいや、だからその反応されてもわからないものはわからないんだって。
ちゃんと説明をくれよ。
「えっと、色々言いたいのですが……まず一つ目から、ここがそのエルダー大陸です」
「え?」
いやいや何言ってんだ、ここはアメリカの、グランドキャニオンにあるダンジョンだろ。
だって8年前俺はそこでここに落ちているんだし。
「いやいやここはアメリカだろ」
「いえここはエルダー大陸にある、ヴァロワ王国ですよ」
そう話す金髪少女はとても真面目な顔をしていた。
ちょっと待てこの子、よく見たら耳長くないか?
も、もしかして……。
「すまん、君ってもしかして人ではない感じ?」
「はい、私はエルフですよ」
そう言って目をぱっちりさせて、金髪少女は答えた。
おいおい、もしかしてこれダンジョン内を突き進むうちに気がついたら異世界に行ってた感じか。




