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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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開眼 ㉕

「・・・向き不向きは有るからね。近いうちに孤児院の子たちも携わらせようと考えてるんだけど」

「領軍に入るまでの下積みですかい?」

 これは位置付けの確認かな?

 猟師さんの問いに首を振る。


 体内保有魔力量を増やすことの有用性を子供たち自身が理解してくれれば良いけど、強制したいわけでは無いからね。

 成人に近い年齢の子たちは、ジアンさんやエターナさんというお手本が有って、エイラさんという先駆者が目の前に居れば、体内保有魔力量を増やす必要性に気付くだろう。

 そこから先は本人たち次第だ。


「・・・大多数はそうなるかも知れないけど、兵士になることを選ぶ子ばかりでは無いんじゃないかな」

「兵士になれ、というわけでは無いんですね」

 頷く私に、兵士になる道を選ばなかった猟師さんたちが目を細める。


 分かってくれたかな?

 子供たちには、なりたいものになれる環境を与えてあげたいと私は考えている。

 領軍に入るという選択肢は、数ある選択肢の一つでしかない。

 領軍に入らなくたって、猟師さんたちのように非常呼集要員にはなれる。

 家族の仇を討ちたいのだとしても、領軍に入らなくともその機会は有るだろう。


 なんなら、治癒魔法術師になってくれたって良い。

 治癒魔法術師も有事には確実に非常呼集要員になるだろうし。

 猟師さんたちが子供たちの領軍入りを止めたとしても、私は咎めないよ。

 生きる道は一つじゃない。


 余裕が無くて生活に追われるから選択肢が狭くなる。

 人々の生活に余裕が生まれるように、環境を作ってあげるのは私たち為政者の仕事だ。

 お肉という実利を兼ねて体内保有魔力量を増やさせるのは、人生の機会に突破口を与える強力なカードになるからだよ。


 今までの常識になかった「血を飲む」という行為に、まだまだ領民は馴染んでいない。

 狩猟に携わろうという領民がそんなに増えていない現状が、それを示している。

 新しい常識に直面して、まだ3ヶ月ちょっとしか経っていないからね。


 落ち着いているように見えて、ウォーレス領も内面では混乱が続いているのだろう。

 この現状を突破する鍵となるのが先駆者の存在だと、エターナさんとエイラさんを見ていて改めて感じた。

 先駆者が増えて見慣れれば、新たな常識も定着しやすいはずだ。


 先駆者が成功者となって、その背中を見れば、後に続く人は必ず現れる。

 それは「兵士」とういう分野に限ったことじゃない。

 あらゆる分野での人間の層の厚さが、きっと、ウォーレス領をさらに強くしてくれる。

 だから、「兵士になれ」だなんて、ことさら強制するつもりは無い。


 我欲に忠実な私は、自由だの平等だの慈悲だの博愛精神だのと綺麗事で言っているわけじゃないんだよ。

 エクラーダの民みたいに生きる場所を奪われたら、生っちょろい寝言は言っていられないんだから。

 そんな腹の内までは教えないけどね。

 そういうわけだから、子供たちにも先駆者の一人になって貰いたい。


「・・・そうするつもりなら、兵士さんたちにお願いしてるよ」

「お考えは解りやした。それじゃあ、早速、取り掛かるとします」

「・・・お願いね」

 ニッと笑った先駆者のオジサンさんたちが、エクラーダ人の子供たちが集まっている場所へと向かう。

 これで子供たちとの約束は果たしたよ。


 こっちはみんなが上手くやってくれるだろう。

 その結果、猟師さんが増えてもヨシ。

 子供たちの希望通り兵士が増えてもヨシ。


 猟師さんたちの背中を見送った私は振り返る。

 こっちは任せておいて、私たちは私たちの仕事をしに取り掛かろう。

 振り返った先に居るのは、黙って見守ってくれていたルナリアだ。


「・・・行こっか」

「そうね! 行くわよ!」

「「「「「はっ」」」」」

 ピーシーズとディディエさんたちを引き連れて厩舎へ向かえば、イディアさんたちが馬の準備をしていた。


 ノイエラさんに手綱を渡していた厩舎の兵士さんが、私たちの姿を認めて厩舎へ駆け込んでいく。

 私たちの馬が出揃うまで10分間ぐらいは掛かりそうかな。

 予想通り、真っ先に私たちの接近に気付いたのはイディアさんだ。


「・・・おはよう」

「おはよう! あなたたち!」

「おはようございます。今日は一緒に作業ですね」

 声を掛けると、愛馬の鼻先を撫でていたイディアさんが挨拶を返してくれる。


 目が良いイディアさんは早期警戒担当だから、少し離れた立ち位置で全体を眺めていることが多いんだよね。

 お仕事として一緒の作業をするのは何気に初めてかも?

 ピーシーズでイディアさんと同じポジションのナンナちゃんは、人見知りで距離を取っていることが多いけど、イディアさんは人懐っこい感じの人だから、話し掛けると話し相手になってくれる。


「夜中は大変だったようですね?」

「・・・うん。まあ。イディアさんたちこそ、昨夜は帰るのが遅かったんじゃ?」

 何時に帰ってきたのか知らないけど、少なくとも夜9時以降とか、そんな時間の帰還だったはずだ。


 そこから晩ご飯を食べて、お風呂に入って、朝5時には起きていたはず。

 睡眠時間は6時間ぐらいかな?

 OLをしていた頃の私だったら普通のことだったけど、8時間は寝るのが当たり前になっている今の私からすると6時間睡眠は短かく思えてしまう。


「私たちは慣れて―――、あら? フィオレ様、ちゃんと寝直しました?」

「・・・目が冴えちゃって、実はあんまり」

 私の顔を覗き込んできたエレーナさんに見破られて睡眠不足を申告する。



開眼㉕です。


各々の仕事!

次回、腹芸!?

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