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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 8000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊種 ㉘

「・・・ああ、いえ。ドラゴンのお肉って美味しいのかと考えていたので、食べちゃ拙いのかなと」

 王国は精霊信仰を持つ地域で、ご祈祷での発光体事件から私自身を精霊と関連付けている人たちも居るのに、精霊種といわれるドラゴンを私が食べると共食い扱いされて排斥運動に繋がったりしない?


 だってさぁ。排斥運動って、誤解と拡大解釈から始まるものも有るんだよ。

 魔女裁判なんて、無知から発生した犯人捜しと誤解や迷信が繋がって、こじつけと拡大解釈で無実の人々が迫害や虐殺の対象になったんだしね。


 野生児扱いや蛮族扱いされるのには慣れたものだけど、治安維持を行うべき立場の私が治安悪化の原因になるのは拙いよね。

 野望と憂慮の間に挟まって悩んでいる私に、レイクスさんがからかうような目を向けてくる。


「美味しいらしいよ。とはいえ、長く生きる龍種は人間よりも知能が高くて、遠い昔には交流を持っていた人間もいたそうでね。龍種を人間と変わらない“龍族”と呼ぶことも有ったと聞くけど」

 なるほどなぁ。レイクスさんが向けてきているこの目は、「お前、人間を食うの?」って意味か。

 言いたいことは分かるけど、もの申しておかねばなるまい。


「・・・それも教わったことが有ります。でも、ドラゴンなんですよね?」

「すごく賢くて言葉を話す相手でも食べるの?」

 ハハッ。私は元日本人だよ?


 “食べる”という行為に並々ならない執念を燃やして、猛毒を持つ魚類さえも研究し倒して安全に食べられる技術を確立した民族が日本人だ。

 なぜ日本人はクジラを食うのか?

 そこにクジラが居るからだよ。


 日本人のテリトリーに入った者は、敵か、食料か、それ以外かの3択で分類が行われんじゃないかと私は推測している。

 そこにドラゴンが居るなら食うに決まってるじゃん。

 ゆえに問おう。


「・・・その辺にいる動物や魚と言葉が通じたら、お肉を食べないのですか?」

「食べるだろうね」

 ヨシ。私たちは同胞だよ。

 手を取り合って共に未来を目指す同志だ。

 ただまあ、ちょっとね。


「・・・線引きが難しいですね?」

「そうだね。判断が難しそうだ」

 レイクスさんと頷き合う。


 お肉が喋ったところでお肉には違いないから食べるに決まってるんだけど、それが親しいお友だちだとすれば一考する他ない。

 お友だちと手を挙げ合って、「おはよう! 君、今日も美味しいね!」なんて齧り付くわけにはいかないだろう。

 私たちを横目に眺めてケイナちゃんが首を傾げる。


「食べるんですか?」

「要検討?」

「・・・ですよね」

 レイクスさんの回答に、私もウンウンと同意する。


 この世は弱肉強食だけど、諸行無常なんだよ。

 絶対不変のものなんて無くって因果律すらねじ曲がることは有り得る。

 私たちの前では、獲物たちの生死は話術と交渉術のワザマエに懸かっている。


 上手く私たちを説得できれば生き延びられる可能性はゼロではないと思うよ?

 説得できなかったときには観念して貰うしかないね。

 ケイナちゃんの反応の薄さにレイクスさんが問い返す。


「ケイナはどうなのさ」

「テツさんが食べるなら、でしょうか」

 ケイナちゃんの回答に全員の視線が一斉に1人へ集まった。


「・・・テツさんか」

「何だよ」

 自分が視線を集めていることに気付いたテツさんが怪訝な表情になる。

 みんなが思っているのだろうことをレイクスさんが口にした。


「テツなら食べるよね」

「俺が黒トカゲを追ってるのは食うためじゃねえぞ?」

「「そうだった」」

 テツさんの返事に私とレイクスさんの声がハモる。


 巫山戯ても良い話題とそうじゃない話題という分類は有るね。

 この程度のことで怒る人ではないだろうけど、私たちの気遣いが足りていなかったのは間違いない。

 悪ノリを反省しつつ横目に見れば、レイクスさんも反省しているようだった。

 仕切り直そう。脱線したけどここからが本番だ。


「・・・ドラゴンのお肉は保留で良いです。そんなことよりも、魔力の“質”の違いは分かりますか?」

「魔素で触れてみるという発想は無かったが、言われてみれば、確かに違うな」

「うん。グニグニと弾力が有るような感じで、固くなった燻製肉みたいな感触に思えるね」

 真面目に話を振れば、手元の魔石をジッと見下ろしてロブウッドさんとレイクスさんが頷いた。


 ケイナちゃんとリットちゃんも頷いている。

 確かめては居ないけど、4人の手のひらからは自前の魔力が放出されて魔石に接触しているのだろう。

 ミセラさんたちも表情を見れば“質”の違いを感じ取れているのだろうことは分かる。


「・・・それです。それが“他者の魔力”の感触です。“質”の違いが分かったら、今度はその“質”に自分の魔力の“質”を似せていってください」

「“質を似せる”ってのは、どうすりゃ良いんだ?」

 私の指示にロブウッドさんが首を傾げる。

 このオジサン、脳筋的な感覚派だと勝手にイメージしていたけど、意外と論理派なのかも。


「・・・術式を使うときと同じだよ。似せようとすれば魔力は質感が変化するから」

「術式と同じ?」

 今度は論理派のレイクスさんが首を傾げる。

 感覚的な部分も有ると思うから、あんまり難しく考えすぎるのも良くないんだよね。

 もうちょっとヒントは必要かな?



精霊種㉘です。


ワザマエ!?

次回、クリティカル!?

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― 新着の感想 ―
人間ではない生き物が意思疎通出来て言語も通じる相手を食糧と捉えられるのか? 藤子・F・不二雄のSF漫画でその話があったね。
食うのを否定はしないけど 意思疎通出来る相手を食べたくはないかなぁ ただし敵対的なら話は別だ
こんにちは。 まぁ軽く線引きするなら、人間側に無関心~友好的なドラゴンはスルー・我ドラゴン、他種族殺すのたーのしー!的な『話し合いが通用しない相手』なドラゴンはぶっ殺して食べても良いんじゃないですか…
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