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蒼焔の魔女 ~ 幼女強い 【感謝! 9000万PV・書籍版第3巻発売&コミカライズ、もうすぐです!】  作者: 一 二三


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精霊種 ④

「ところで、何をしていたのですか?」

「・・・ん? エライワーのタネを発芽させようと思って、準備をね」

 私も目を向けると、下働きさんの1人が地面に置いた麻袋の中身を見せてくれる。

 麻袋の中に入っているのは、果肉を削ぎ落とされたオリーブの種子だ。

 麻袋を覗き込んだケイナちゃんが納得顔で頷く。


「ああ。エライワーは芽を出しにくいそうですからね」

「・・・知ってるの?」

 考える様子も驚く様子も無かったってことは、知識を持っているってことだよね?

 西方諸国から王都へ入ってきたんじゃないかって予想が有っただけで、どこから運ばれてきた果実かも分かっていなかったけど、オリーブの出所が分かるかも。


「エライワーですか? まだ国が有った頃は育てていたと聞きましたよ」

「・・・おおっ! もしや栽培経験者が!?」

 やっぱり!

 旧エルフ国で栽培されていたってことは、ケイナちゃんのお爺さんは知ってたりしないかな!?


 お爺さんは知らななくても、他の誰かが知ってたりしない!?

 当時の栽培技術を知っている人が残っていなくても、伝承か文献なら育て方のコツが伝わっているかも知れない!

 1人で盛り上がっている私を鎮静化させたのはミセラさんだ。


「フィオレ様。そろそろお時間が」

「・・・あ。そうだね」

 時間切れを告げるミセラさんの声にスゥッと頭が冷める。


 案内する予定のお客様がいるのに、朝食の時間に遅れたらお説教コースは間違いない。

 正座させられるのもチクチクと責められるのも勘弁して欲しい。

 急に落ち着いた私の様子にケイナちゃんが首を傾げる。


「何か有るのですか?」

「・・・運動したから朝食前に身支度をしなきゃいけなくて」

 私たちは穢れなき幼女だから、そんなに汗臭くはならないだろうと思うよ? 


 でも、基本的に汗というものは時間が経って酸化が進むとニオイを発するものだ。

 私たちは髪も長いから、洗った髪を乾かすのにも時間が掛かる。

 事情を察してくれたケイナちゃんが護衛に就いているアルケマイオスさんを見上げる。


「そうですか。では、私は馬たちの様子を見に行きましょうか」

「はい」

 ケイナちゃんを見下ろしてアルケマイオスさんが頷く。

 ケイナちゃんがアルケマイオスさんだけを連れて領主館の裏手へ出てきたのは、どうやら、可愛がっている馬たちが気になってのことだったみたいだね。


 いけない。

 テレサのときもそうだったけど、話したいことがたくさん有り過ぎて、顔を合わせると一瞬で時間が溶けちゃう。

 自分を戒めて会話を切り上げる。


「・・・じゃあ、朝食でね」

「また後で!」

「ええ。―――あ。フィオレには植物の子が憑いているのですから、手伝ってくれるように頼んでみると良いですよ」

 小さく手を振り合っての別れ際に、ケイナちゃんが思い出したように爆弾を投下した。


「・・・頼んでみる・・・? ―――ハッ!! そっか! やってみるよ!」

 そうじゃん!

 私の脳内に自動再生されたのは、何かのアニメで樹木がニュルニュルと枝や根を伸ばすシーンだった。

 植物の精霊ってことは、農作物の生長を早めたり、収穫を多くしたり出来るのかも知れない!


 うおおおおっ!! 盛り上がってきた―――っ!!

 ケイナちゃんに手を振って後ろ姿を見送る間にも私の脳内はお祭り騒ぎになっていて、盛り上がりが伝わったのか胸の中で魔力がモゾモゾと蠢く。

 力を貸してね、とモゾモゾに心の中でお願いして、麻袋の上へと手のひらを翳してみた。


「・・・みんな、頑張って芽を出してね―――、って、ふわっ!?」

 ゴソッと体内保有魔力が減った感覚が有って、くらりと視界が回りかけて足元が揺らぐ。

 グッと両足を踏ん張って耐えたけど、危なかったぁ。

 突然のことで鼓動もドキドキしている。


「・・・び、びっくりしたぁ」

「今、何してたの?」

 私が奇声を上げたことでルナリアが私を覗き込んでくる。


 何が有ったのか、なんて考えなくても分かる。

 私のお願いに精霊が応えてくれたんだろうね。

 もちろん、精霊からは悪意なんて感じないし、むしろ喜んでいる気配が伝わってくる。


 胸の熱に意識を向ければ、一気に温度を下げた熱は、早くも徐々に暖かさを取り戻してきている。

 大丈夫。

 バッテリーで言えば、多くの放電を一気に行ったせいで、一瞬、低電圧に陥ったようなものなんだろう。

 体調を崩しそうな気配も無い。


 たぶん、精霊に魔力を持って行かれる感覚に私が不慣れなだけだろうね。

 構わないよ。

 体感の問題なら、魔力を失う感覚に私が慣れれば良いだけだ。


「・・・ケイナちゃんに教わった通り精霊にお願いしてみたら、ごっそりと魔力を持って行かれたんだよ」

「そうなの?」

 首を傾げるルナリアの様子に、精霊魔法の行使は外見から判別できるものでは無さそうだと判断する。

 これって、私に代わって精霊が魔法を使っても、誰にも分からなかったりするんだろうか?


 無詠唱行使にも同じことが言えるけど、詠唱術式みたいに魔法を使っている様子が外見から見抜けなければ、衆人環視のド真ん中でも暗殺が出来たりするのかな。

 だって、仕草に出さなければ、誰が魔法を使ったのか分かんないんだよ?

 とんでもないことに気付いて背筋が寒くなる。



精霊種④です。


精霊魔法!

次回、採掘場へ!?

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― 新着の感想 ―
精霊にお願い事したら魔力持ってかれて、多すぎて失神ししたらヤバイな。
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