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第3話『カラオケデート-中編-』

 氷織と舌を絡ませるほどのキスをして体が熱くなったのもあり、俺はドリンクサーバーで注いだコーラを飲むことに。氷織もメロンソーダを飲むとのこと。

 ストローでコーラを飲むと……あぁ、コーラの甘さと炭酸の爽快さがたまらない。体が熱くなっているので、コーラの冷たさもいいなと思える。あと、氷織とキスしたのもあって、今までに飲んだコーラよりも美味しく感じられる。

 冷たくて美味しいのもあり、半分くらいのコーラを一気に飲んだ。そのおかげで、体の熱はそれなりに収まった。


「あぁ、コーラ美味い!」

「メロンソーダ美味しいです! 冷たくて美味しいのでゴクゴク飲んじゃいました」

「俺もだ」

「ふふっ。……そろそろ歌いましょうか。どちらから先に歌いますか? それとも一緒に歌いますか?」

「そうだな……一緒に歌うのも魅力的だけど、まずは氷織の歌声を聴きたいなぁ。音楽の授業で聴いているけど、氷織の好きな歌での歌声を聴きたくて」

「なるほどです。分かりました。では、最初は私が歌わせてもらいますね!」

「ありがとう」


 氷織はやる気に満ちた様子で、テーブルに置かれているタブレット端末を手に取って操作していく。氷織はどんな曲を歌うだろうか。


「はい、入れました」

「どんな曲を歌うのか楽しみだな」

「有名な曲ですから、明斗さんも知っているかと思います」


 氷織はそう言うと、マイクを持ってソファーから立ち上がる。

 モニターには女性アイドルグループのインタビュー映像が流れているけど、氷織が曲を入力したので映像が切り替わり、曲のタイトルやアーティスト名などが表示される。


「おっ、この曲か。知ってる」


 女性ボーカルの男女のユニットによる去年の大ヒット曲で、紅白でも歌われた曲だ。動画サイトで公開されているMVとかで何度も聴いているので、よく知っている曲だ。

 俺の反応を受けてか、氷織はニコッと笑う。

 この曲はイントロがない。なので、カウントが入った後、氷織は歌い始めた。


「おおっ……」


 氷織の歌声……とても綺麗で伸びもあっていいなぁ。音程も正確でとても上手い。抑揚もあって。だから、氷織の歌唱に引き込まれる。思わず声が漏れてしまった。

 この曲の歌詞がシリアスな内容なのもあってか、歌っている氷織の表情は切なげなもので。だから、歌声だけでなく歌う姿でも引き込まれていって。好きな曲だからかもしれないけど、表現力が凄いな。

 氷織の歌唱の良さもあって、歌が終わるまであっという間だった。


「ありがとうございました!」


 歌い終わると、氷織は持ち前の可愛らしい笑顔でお礼を言った。そんな氷織に俺は大きな拍手を送る。


「凄く上手だったよ、氷織! 引き込まれた。このままずっと氷織の歌を聴いていたいくらいだ」

「そう言ってもらえてとても嬉しいです。ありがとうございます」


 氷織は言葉通りの嬉しそうな笑顔でお礼を言うと、マイクを置いてソファーに座った。そして、メロンソーダを一口飲む。


「あぁっ、一曲歌い終わった後のメロンソーダは格別ですね!」

「ははっ、そうか。歌った後に飲むものって美味しいよな」

「はいっ」

「それにしても、本当に良かったよ。歌声はもちろん、表情が歌詞に合っていたし」

「大好きな曲ですし、歌詞がとても好きで。シリアスな内容ですから、自然と表情が変わっていたのだと思います」

「なるほどなぁ」


 歌詞がとても好きなのか。きっと、シリアスな歌詞の内容をよく理解しているのだろう。歌声や歌っているときの表情を思い出しながらそう思った。


「さあ、次は明斗さんお願いしますっ。明斗さんの歌声を聴きたいです」

「分かった」


 俺はテーブルに置いてあるタブレット端末を手に取る。

 氷織の前で歌うんだし、好きな曲の中でも氷織も知っている曲がいいな。そう考えて最初に歌う曲を選んだ。


「よし、歌うぞ」

「楽しみですっ!」


 氷織はワクワクとした様子で俺を見つめてきた。氷織がいいなって思えるように歌えたら何よりだ。

 マイクを持って、俺はモニターの近くに立つ。

 それから程なくして、モニターには俺が選んだ曲のタイトルやアーティスト名などが表示される。


「あっ、一緒に観ているアニメのオープニングですね」

「そうそう」


 そう言うとすぐにイントロが流れ始め、俺は歌い始める。

 俺が選んだ曲は今年発売された人気男性ロックバンドの曲で、氷織と一緒に観ているアニメのオープニング主題歌でもある。最近の曲の中ではかなり好きだし、氷織も知っている曲なのでこの曲にした。

 あと、この曲は2年生になってから発売された曲なので、カラオケで歌うのは初めてだ。その初めてを氷織の前で歌えることが嬉しい。

 氷織はうっとりとした笑顔で俺を見つめている。

 この曲にして良かったな。そう思いながら、俺は最後まで歌った。


「ありがとうございました」


 先ほどの氷織に倣い、歌い終わったときに氷織に向かってお礼を言った。初めてカラオケで歌ったけど気持ち良かったな。

 氷織は笑顔で俺に向かってパチパチと拍手を送ってくれる。


「凄く良かったです、明斗さん!」

「ありがとう、氷織。そう言ってくれて嬉しいよ。それに、この曲はかなり好きだし」

「そうですかっ。あと、歌声も歌っている姿もかっこよかったです! キュンとなりました!」

「彼氏冥利に尽きるよ。ありがとう」


 氷織にいいなとかかっこいいと思ってもらえて何よりだ。

 あと、俺が歌っているときに氷織はうっとりとした様子で俺を見つめていたけど、あれは俺をかっこいいと思って、キュンとなっていたからだったんだな。可愛い。

 マイクをテーブルに置いて、俺はソファーに戻る。

 コーラを一口飲むと……一曲歌った後だから、さっきよりも美味しく感じられる。


「一曲歌った後のコーラは格別だな」

「ですねっ。……さあ、どんどん歌っていきましょうか!」

「そうだな! 歌おう!」


 たくさん歌って、氷織との初めてのカラオケデートを楽しんでいこう。

明日公開のエピローグでこの特別編は完結します。

最後までよろしくお願いします。

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