合格通知
まあ、そう言ってすぐに来るわけないか、となりました。いつになったら来るのやら?とりあえず、気長に待つことにします。
「見てください、レオン君!合格、合格ですよ!」
試験が終わってから、1週間後。ついに合格結果がやってきた。俺も自分のものを開いてみたのだが、結果のわかっているものを見てもあまり面白みはなかった。まあ、トラブルもなく合格したようで安心した。
で、わざわざ俺のところに、ニーナが合格通知を見せに来たというところだ。暇だな、お前。頑張ってはいたので、一応褒めておいてはやるか。
「ふーん、頑張ったじゃないか」
「はい!」
頭を撫でてやると、本当に嬉しそうにしていた。よほど誰かに褒めてほしかったんだろう。こいつらしいと言えば、こいつらしいな。と、そこで袋の中に別の紙が入っているのがわかる。疑問に思い、中の紙を出してみると、なんと点数表だった。ちゃんと点数まで入れてくれているらしい。
(どれどれ……?こいつはどんくらい取れたのかね?)
気にはなったので、勝手に袋から取り出して、見てみた。ニーナはきょとんとした顔になっている。
「あの、レオン君?それ、何の紙ですか?」
「お前の点数書いてある表。へー、こりゃいいじゃねえか」
「ええ!?勝手に見ないでくださいよ!」
「いいじゃねえかよ、別に。ひどい点数でもなかったしな」
ニーナにも見えるように、紙を広げた。ニーナも不満そうな顔ではあったが、ちゃんと覗き込んだ。そして、すぐに目を見開く。
「ええ!?筆記が86点で、実技が93点!?な、何かの間違いですか!?」
「いや、そりゃねえだろ。ちゃんとあれ使ったんだろ?なら、これも当然じゃねえか?」
実は、ニーナにもある魔法を教えてあった。それはとある漫画を参考にして、創り出した魔法だ。
「ホワイト・スノー、でしたっけ?すごいですよね、あんな魔法を思いついちゃうなんて」
「いや、別に俺が考えたわけじゃないし」
「それでもすごいですよ!」
本当にすごくねえんだけどな……俺からしたら、ただ単にパクっているだけなのだし。こっちには著作権がないし、そんなことを気にしてもいられないので、ポンポン使っているのは否定しないが。
それはさて置き、ホワイト・スノーは聖属性魔法の中でもかなり凶悪な魔法だろう。聖属性の力を雪のように変えて、ひらひらと舞わせるのだ。単に見ているだけなら、綺麗な魔法で終わる。だから、教員たちもこの点数を付けたのだと思う。
が、その効果を知れば、その評価は一変する。この魔法は聖属性を込めた魔法であるため、当たれば人間なら回復、魔族ならダメージになるのだ。つまり、味方の強化と敵の弱体化を一度に行う魔法である。敵からすれば、涙目になるだろう。
「あ、レオン様!見て見て!合格したよ!」
次に部屋へと入ってきたのは、アカネだった。自慢そうに合格通知と点数表を見せてきた。点数表を見れば、筆記は79で実技は100だった。そうか、100か………
「……アカネ、お前、何やらかした?」
「え?試験官の人倒しただけだけど?」
その言葉にため息をつく。試験官は冒険者を雇っており、少なくともBランク相当の実力を持っているのだ。それにあっさり勝ったということは、Bランクの実力を持っているかもしれないということに気付いているのだろうか?
「あ、そういえば、あの人嫌だったなー……人のこと、じろじろ見てくるんだもん。それに、胸のとこばっか」
「それは男なら当然だろ……大体、俺に襲い掛かるようなやつが何言ってんだ」
思わず半眼になるが、アカネとしては不満だったらしい。頬を膨らませている。
「レオン様はいいの!」
「どういう理屈だ、それは……んじゃ、お前、俺が胸をじろじろ見てもいいってことか?」
「むしろどんどん見て!」
「……変態かよ………」
やめろ、もう属性を詰め込もうとせんでもいい。正直、頭を抱えたい気持ちでいっぱいだった。そこで、都合よくエレナが入ってくる。
「師匠、これ」
エレナも合格通知と点数表を見せてきた。こいつは筆記が100に、実技が90だ。
「ニーナよか、実技は下だが、合計じゃお前のが高いわな。ある意味、流石と言うべきか………」
「うん」
エレナを見ると、何かを期待するような目で俺を見上げている。仕方がないので、ため息を一つつき、頭を撫でてやった。……父親がやれよ、こういうのは。
「ねね、見て見て!合格できたよ!」
最後に入ってきたのは、リースだった。こいつも合格していたらしい。ちらりと見れば、筆記が60で実技が87。まあ、いい方ではあったろう。
「あ、そうだ!魔法ありがとね!あんな使い方があるなんて驚きだったしね!」
「師匠、私からもお礼を言いたい。あれで受かることができた」
「大袈裟だな、お前らは……形にしたのはお前らだろうに。それに、リースの方はうるせえから教えてやっただけだっつの」
俺がエレナに教えたのは炎色反応による、炎の色の変化。リースに教えたのは、揚力などの航空力学からの飛行魔法だ。どっちも高校で習うような内容だし、俺からしたら大したものではないのだ。けれど、俺の言葉にニーナとアカネは苦笑していた。
「レオン君って、そうですよね。なんだかんだ口は悪いですけど、面倒見が本当にいいです」
「そうだよね。なんか、みんなのお兄ちゃんみたいな感じだね!」
「ふふん、そうでしょ!レオンはすごいんだよ!」
「なんでお前が誇ってんだ」
俺の頭の上で誇らしそうにしているシルフィをデコピンする。転がり落ちそうになりながらも、シルフィは取り消そうともしなかった。まったく、そんなに大したやつじゃねえっつーのに。
「そういえば、レオン様の点数は?どうだったの?」
「あ、それは気になりました!どうだったんですか?」
「あー、見てなかったな。どうだったんだろうな?」
袋の中に手を突っ込むと、紙を引っ張り出せた。2枚。
「ん?なんだこりゃ?」
点数表でない方の紙を手に取り、しげしげと読む。そして、読み終わる頃には顔を青くしていた。次いで、点数表を見る。……間違いようもなかった。これなら、納得できるのだ。
「レオン君、どうしたんですか?この紙は………?」
ニーナに続き、全員が俺の紙を覗き込んだ。そこにはこう書かれていたのだ。
――――首席につき、入学式での挨拶をお願いします、と。
「「「「…………」」」」
続けて、点数表を全員が見る。そこには筆記100、実技100という無慈悲な文字が書かれてあった。
「え、ええっと………」
「……これは」
「すごいねえ………」
「レオン君、すごいです!首席さんですよ!」
「こんなもん、いるかあああぁぁぁぁぁ!」
すごい勢いで、思いっ切り床に叩きつけていた。どうやら、入学式早々面倒事に会うことは確定してしまったらしい。




