表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元死神は異世界を旅行中  作者: 佐藤優馬
第4章 学園入学編
109/264

学園

総合評価200に届きました。ブックマーク登録していただいた方、本当にありがとうございます。評価点や感想などもいただけると幸いです。

 とまあ、ここまでで話について来れていない人もいるだろうから、説明しよう。

 学園には、3つの科が存在する。日本の大学でいう、学科のようなものだ。学ぶ内容はまったく違うものだし、学部と言った方がいいのかもしれないが。選べる科は戦闘科、魔法研究科、そして魔道具開発科。俺が受けようとしているのは、魔道具開発科である。


 戦闘科は文字の通り、戦闘を教えるところだ。冒険者になり、派手に活躍したいものが受けることが多い。近接武器をメインに使うやつがほとんどだ。たまに魔法使いもいるが、こちらは実践的な動きを見たい、という理由で入ることが多いらしい。それに、そこそこ近接戦闘ができるやつだそうだ。器用なことで。うちのメンバーからは、アカネが受けに行く。ちなみに、この科は筆記が3割、実技が7割だから、実技が良ければ受かる試験でもある。だからと言って、万が一がないとも限らないので、ちゃんと準備はさせておいた。一応、半分は取れると思う。


 次に、魔法研究科。ここは魔法を研究するところだ。魔法をメインで使うやつは、ほとんどここに入る。自身の魔法の威力がどのようにすれば上がるか。いかに効率よく魔法を使えるか。そんなことを日々研究しているらしい。ここに行くのは、ニーナ、エレナ、そしてリースだ。ここは頭がそれなりに良くなければいけないため、筆記5割に実技5割となっている。エレナは心配いらないだろうが、あの様子だとニーナが心配だ。大丈夫なのかと、自分のことよりも不安になる。リース?やつは知らん。


 最後に、俺が受けようとしている魔道具開発科。略して、開発科である。ここは自分の手で魔道具を作ろう、というところだ。既存のものを作ってもよし、新しいものを作ってもよしの、割と自由なところである。そんな自由さが気に入って、この科にすることに決めた。また、他の2つは属性差別のことが色濃く邪魔をするだろう。ここは発想があれば、普通に入れてくれそうだったし、そういう意味でもここにしようと思ったのだ。ここも筆記が5割、実技が5割である。


 ここまでが、各科ごとの説明。次に、試験のことだ。

 戦闘科では、筆記は過去の傾向から、冒険者になるために必須の知識を求めていた。薬草の区別の仕方や応急処置の仕方、さらには魔物の特徴に至るまで。マニアックな問題は少ないようだし、暗記するだけなのだ。

 で、実技の方は教官役と戦うこと。これは別に勝たなくてもいい。光るものを見せれば、それでOKなのだ。まあ、アカネなら大丈夫だとは思う。


 魔法研究科は魔法についての知識が問われる。数学や物理も入るので、そこそこ難しい。マニアックな問題もちらほら程度には出る。が、範囲はそこまで広くない。というのも、魔法は奥が深いため、範囲を取り過ぎてしまうと、とてもじゃないがカバーしきれないような量になる。なので、数学、物理、ほんのちょっとした歴史に、公式くらいが範囲だろう。

 実技の方は、得意な魔法を見せること。攻撃系でもいいし、補助系の魔法でもいい。実技ならニーナは何もしなくても、高い点数を叩き出せる。聖属性魔法の研究など、むこうからすれば喉から手が出るくらいにしたいだろう。ほぼ満点で違いない。そして、エレナの方も問題ない。ダブルはやはり少ない方だし、一応秘策のようなものを教えておいた。点数は高いはずだ。リース?やつは知らん。


 そして、魔道具開発科。これは普通の試験とほとんど同じだ。国語、数学、物理に歴史、地理に至るまで。幅広い範囲から出る上に、マニアックなものも多い。まあ、基礎知識としちゃあ、当然なのかもしれない。

 で、実技の方は自身の力で作った魔道具を持ってくること。これには裏技もあり、貴族なら金で雇ったやつが作ったものを自分のものと言い張ることもできるのだ。金を払っているのは自分なわけだし。あとはコネを利用する、といったこともある。俺はやんなかったけどね。


 そんなこんなで、別々の試験会場に入り、適当に受け始めたのだが……


 「だから、さっきから言ってるだろ?何も不正はしちゃいねえよ。お前らが作った試験が簡単すぎたんだよ」

 「ふざけるな!不正をせずに、どうやってこんな点数を取ったというのだ!」

 「荷物の確認くらい、入ったときにやったろ?魔道具使えるわけもねえだろが。それともなんだ?お前らはそんくらいのこともやってなかったのか?だとしたら、なかなか笑えて来るな」


 唾を飛ばして俺を責め立ててくるジジイを軽くあしらう。つーか、きたねえ。俺の言葉に反論もできないようで、怒りで顔を赤くしたまま声が継げなくなった。かと思うと、別のジジイが俺を責めてくる。


 「ならばこれはどうしたというのだ!盗んだとしか思えないだろうが!」

 「自分で一から作ったんだよ。発想は別のやつから貰ったもんだがな」

 「ならば!」

 「別に、模造品を作っちゃいけねえとも言ってねえだろ?なんで責められにゃならんのだ」


 俺からすれば、そこからして謎である。そもそも、貴族が金で買ったものの方がよっぽど責められるべきである。


 「貴様、いい加減に………!」

 「いい加減にするのは貴殿らの方じゃな。見苦しいことをするのはよせ」


 突然部屋に現れたのは、一人の老人だった。白い髪と髭を長々と伸ばし、穏やかに笑っている。が、その瞳は決して笑っていなかった。背筋はまだまだピンとしているし、感じられる魔力もかなりのものだ。加えて、高級そうなローブを着ていることから、この人物が誰であるか、すぐに気付くことができた。


 「なんとまあ、学園長自らが現れるとは。驚きだな」

 「貴様、なんという口の利き方を………!」

 「よい。それだけ疑われることをしたのだという自覚を持て。それに、私情で将来有望な生徒を落とすなどやってはならんことじゃ。わかっておるだろう?」


 そこで、その場にいる全員が気付いたらしい。学園長は怒っているということに。そして、俺を合格させようとしていることに。何人かは口を開こうとしたものの、鋭い眼光に呑まれ、何も言えずに終わってしまった。学園長は俺の方に向き直り、頭を下げた。


 「すまんの、若いやつらが暴走してしまったようじゃ。ここは成績で見るところであるというのに、何ともまあ情けないことじゃ」

 「いや、別にいいさ。この程度は予測済みだ。属性差別で反対されるだろうってことはな。俺からしたら、あんたみたいなやつがいる方が意外だったよ」

 「わしはこの学園をより良いものにしたいと思っておるのじゃよ。貴賤や属性、国のしがらみにとらわれることなく、な」

 「……なるほど。あんたは信用できそうだ」


 《嘘看破》には引っ掛からず、確固たる意志を持っている。この人は本当に変えたいと願っているのだろう。肩にいるシルフィ共々、少し感心してしまった。


 「ところで、この魔道具は?どういった用途で使うのかな?」

 

 学園長は俺の作った魔道具を興味津々といった様子で指している。その指の先には、箱状の物体があった。


 「物を冷やすのに使うんだよ。飲み物とか、食い物とかだな」


 そう、俺が作ったのは冷蔵庫だった。参考にしたのは前々世からだ。こっちで同じことを考えているやつがいるのかは知らない。俺の答えに、学園長は首を傾げた。


 「冷やす?はて、何故そんなことを?」

 「そりゃ、夏場にぬるい飲み物飲みたくねえだろ?飲むなら、冷たい方がよくないか?」

 「ふむ?そういうものかのう?」

 「んじゃ、試してみてくれよ」


 俺は冷蔵庫に近づき、中からあるものを取り出す。それは、昨日のうちに買っておいたジュースだった。冷蔵庫の良さがわからないかもしれないと、実物を用意しておいたのだ。ちなみに、最初にニーナ、後にアカネ、エレナ、リース、公爵家で振る舞ってみたが、かなりの好評だった。コップを取り出して、学園長に渡し、注ぎ込んでいく。一応、他のやつらにも渡しておいた。最初は皆訝し気だったが、一口飲むと様子が変わった。


 「な、なんだこれは!?」

 「普段のものとはまるで違うもののようだ!」


 ああ、あいつらもそう言ってたっけ?俺からしたら、これが普通だったんだがな……あの頃の日本って、まじに裕福だったんだなとしみじみ思う。


 「ううむ、これはもう認めるしかないのう。間違いなく、合格じゃて」

 「そうか。んじゃ、俺はこの辺で」

 「ん?もう行くのか?」

 「だって合格したんだろ?妹待たせてるから、早く行かなきゃいけねえんだよ」

 「そうか。それでは仕方ない。早く行ってあげなさい」


 俺はひらひらと手を振って、部屋を出た。話が通じるやつがいたことにホッとしながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ