毎度毎度のことながら
タイトル未定の方が落ち着いてきたので、4章再開します。更新頻度が遅くなるのは、ご容赦ください。また、今回はブックマーク登録をしたままにしてくれた方が多かったです。本当にありがとうございます。
君を守ろう。すべての理不尽から。
君を守ろう。それが君との約束だから。
君を守ろう。それが己の胸のうちから現れたものでなかったとしても。
俺は君を守り続けよう。この身が傷つき、ボロボロになろうとも。
それで自身が死ぬことになったとしても構わない。
どんなことをしてでも、守り抜いてみせよう。
そう、それが例え………
※ ※ ※
シングルアクション、という言葉について話そうと思う。聞いてるやつの中でも、もしかして?と思う人がいるかもしれない。そう、コルト・シングルアクション・アーミー。俺の愛銃、ピースメーカーにゆかりのある言葉だ。
シングルアクションというのは、銃を発射する際の作動機構のことだ。あらかじめ撃鉄(銃のパーツの一つ。弾丸を発射するために、雷管を強打する部分のこと。ハンマーとも言う)などを通常位置から、撃発準備位置まで手動で移動させる。そして、トリガー(引き金)の操作によって撃発する機構のことを指す。
勿論、シングルアクションがあるからには、ダブルアクションという言葉もある。こちらはトリガーを引くことにより、ハンマーが通常位置から撃発準備位置まで後退し、そのまま撃発される機構のことを指す。要は何の操作をしなくても、そのまま撃てるということである。
これだけ聞くと、ダブルアクションの方が優れているように聞こえる。実際、シングルアクションの銃は撃鉄を起こしたまま携行しようとすれば、暴発の可能性がかなり高い。かと言って、ハンマーを起こさないまま携帯すれば、すぐに発射することはできない。しかも、ダブルアクションの方が後から作られたのだから、どちらの方が優れているのかなど比べるべくもないのかもしれない。
が、ダブルアクションにも弱点は存在する。ダブルアクションでは、トリガートリップ(トリガーの移動距離のこと)が長く、重いものになる。そのため、トリガーを引くときに大変である。その上、力を入れる必要があるので、手ブレも大きいのだ。シングルアクションは短く、軽い。そのため、すぐに次の弾を撃て、命中精度も高くなりやすい。一概にどちらが上だとは言えないのだ。
速射力・安全性のダブルアクションか、命中力・連射力のシングルアクションか。これを解決するために作られた機構が、いわゆる「SA/DA」だ。和訳すればそのまま、シングルアクション/ダブルアクション両方可、という意味である。最近の銃は……とは言っても、あの時代の銃では遅いものだったが。まあ、この方式のものが多い。俺のピースメーカーのようなやつの方が珍しいのである。使い心地はいいし、慣れているのだから、ピースメーカーで十分なのだが。
SA/DAにも、欠点はある。シングルアクション、ダブルアクション。どちらの使い方も心得ておかなければならないので、どちらか一方だけのときと比べ、時間を掛けなければいけないのだ。それだけと言ってしまえば、それだけなのだが。
さて、何故ここまでこんな話をしてきたのか。勘のいい人なら、もう気付いているのではないだろうか?そう、その理由は……
「どういうことだ!何故こんな点数が取れた!?」
「あり得ない……こんなことがあり得るはずもない!たかが無属性如きが、こんな発明をするなどと………!」
「どんな魔道具を使った!?吐け!貴様のようなやつが、こんな点数を取れるわけがないだろう!」
「いや、この魔道具もだ!恐らく、どこかから盗んできたのだろう!」
「なんと!そんなことを仕出かす者に、ここにはいる資格はない!」
「そうだ!」
目の前には騒ぎ立てる男たち。全員が口を揃えて、俺を責め立てているのだ。現実逃避をしたくなるのも当然である。
『レオンー、これ、想像以上にひどくない?』
『そうだわなー、どうすっかね………?』
天井を見上げて、ため息をつく。そして、どうしてこうなったのか。過去に思いを馳せるのだった。
※ ※ ※
「ど、どどどどうしましょう、レオン君……?わ、私、落ちたりしませんかね………?」
「そりゃ、実力次第じゃね?そんなことはないはずではあるが」
一応、これでもかなり勉強を見てきたのだ。これで落ちでもしたら、俺の方が困るというものである。ガチガチに緊張して、左手と左足が一緒に出ているニーナを見ながら、全国の受験生ってこんなもんなのか?と疑問に思った。……いや、ないわな。俺、大学受験のときはもっと楽そうにしてたし。まあ、滑り止めにすぐに受かったのもあったんだろうが。
目の前を見れば、とても大きな建物があった。そう、今日は学園の入るための試験がある日なのだ。まさかこの歳になって、テストを受けるとは思わなかった。思考加速からの瞬間記憶コンボで余裕ではあるのだが。それに、最悪精霊を使ってのカンニングも可能だ。普通にやれば落ちるわけもないのだ。普通なら。
『それにしてもさー、どうして開発科なの?レオンなら、戦闘科でいいじゃん』
『そりゃ、受かりそうもねえからさ。なんたって、学園は属性差別の最たるところだからな』
学園は今言った通り、属性差別の総本山のようなところだ。ちなみに、悪魔憑きの伝承はヘカルトンで一番ひどく、王都ではどちらも均等にある。つまり、俺が派手に活動したいのなら、ここら辺は避けた方がいいのである。その気はないから、適当にふらふら生きているのであるが。
『あー、そっか。それがあるのかあ………』
『それに、だ。今さら俺が学ぶことがあるとは思えねえからな……どうもこの世界のことを見てると、レベルが低いように思えるし』
『それもそっか!レオンは最強だからね!』
『おいおい、調子のいいこと言うなよ。俺だって勝てねえやつくらいいるさ』
パッと頭に浮かんだのは、二人の人物。一方はもう会うこともないが、もう一方は可能性としてあり得る。次に会うときにまでは、やつを越えなければいけないのだ。
『んー、そうかなあ?あたしは一番強いと思うけど……って言うかさー、どうしてそこまで自分の評価低いの?元の世界でも強かったんでしょ?』
『確かに強い方ではあったが、死にかけたことがなかったわけじゃない。俺を超えるようなやつがいなかったわけでもねえのさ』
『どゆこと?』
『ぎりぎりで勝つようなこともあった。今やれば、もうちょいいい勝負ができるとは思うが』
俺の言葉にシルフィは驚いたようだ。目をぱちくりとさせている。俺は構わず歩き続ける。もうそろそろ建物の中に入れそうだ。人も多くなってきた。
『ええー!あり得ないあり得ない!だって、あのレオンだよ?負けることある?』
『お前は俺をなんだと思ってるんだ……俺より体格のいいやつもいたわけだし、腕がいいやつもいた。俺が勝てたのは、単に悪運が強いからと罠に嵌めて、真っ正面から戦わなかったからだ』
『そんなもんかなあ?』
『そんなもんだよ。俺からすれば、こっちの戦い方は綺麗すぎる。俺の知ってる戦い方は、もっとえぐいもんばっかだよ』
自嘲気味に笑う。目を閉じれば、容易に俺はここにいるやつらを殺す映像を思い描ける。それくらいに、いい言い方をすればがむしゃらさ。悪い言い方をすれば、狡猾さが足りない。
『例えば、だ。俺があそこにいる女を殺すとしよう。俺はあいつにとって、理想的な男になる。変装を使ったり、甘い言葉を囁いたりしてな。で、二人きりになったところで、グサリとやれば達成できる。勝ち負けなんて、そんなもんさ』
『うわあ、くっろい……でもさ、そんなことしなくてもレオンは強いと思うけど?』
『はあ、お前も頑固だな………』
シルフィと話をしながら、学園の扉をくぐるのだった。




