私は完璧な姉で女で
※義姉サイドのお話です※
私は、麗香。私の可愛い弟、圭太は結婚は失敗してる。
年下の女と聞いていたのに、圭太の妻、美玖は、とにかく自分の意見を押し通す女だ。
(気が使えないうえに自分だけが偉いと思ってるタイプの嫌な女!)
だから圭太が悩むたびに、姉である私が話を聞いてあげている。
「姉ちゃんだけだよ。そういってくれるのはさ。美玖は何言っても『私が正しいのに、なに?』って方向に持っていかれるから」
「かわいそ~。全部あんたが丸く収めてあげてるのもわかんないんだ!」
「そうそう!ほんとにそうなんだよ!俺なりに頑張ってるのに全然認めてくれないわけ。そんなんじゃ、俺に捨てられても知らないぞって感じだわ」
弟の圭太は見た目も若いし、清潔感もあるし、顔が良い。
(きっと美玖さんよりも、いい子と結婚できたはずなのに……)
人当たりの良い母を通じて、知り合ったいいお嬢さんと聞いていたのに、こんなの詐欺だ。
「ねえ……美玖さんと離婚したら?」
「え?」
「だってどう考えても釣り合わないじゃない?あんたは仕事もできるし
顔もいけてるんだから。もっと他に探せばいいのよ!バツイチなんて
珍しくないんだし」
すぐに賛成すると思ったのに、圭太は困ったようにこう言った。
「で、でもマンションも新しく買ったとこだし」
「名義はあんたなんでしょ?それなら別に気にしなくていいじゃん!マンションのローンは1人で払っていけばいいしぃ。美玖さんを追い出した後は
アンタはその家に住み続けられるし!」
「確かにそうだけど、でもお金がさ」
「あんたバカ?お金を理由に息が詰まりそうな女と、一生一緒にいるわけ?
そんなの人生棒に振ってるよ!」
この一言に圭太は、ようやく気付いたみたいだった。
「そう……だよな……」
野心がキラキラ光る輝きをともした目、これでこそ圭太だ。
「でしょ⁉お金なら稼げばいい!今は副業でもなんでもあるよ!私も今いろいろ調べててさ」
【月◎万】【人生激変】系の副業をあさっていた私は、圭太にSNSでアカウントを作ることをすすめた。
稼げるようになれば、結婚相手だって生活だって。
自分で好きなように選べる。
そうしたいのは私も同じだったから。
(最近、旦那はうざいしお金を稼いで黙らせないとね)
順調にアカウントを伸ばしている圭太を見て、私は間違ってない。
そう、強く確信した。
でも離婚を切り出すより前に、弟の浮気が美玖さんにバレた。
浮気を許したのはいいけど、生活が厳しくなったらしい。
(こっちが捨ててあげてないだけなのに最低…!)
私が、叱ってもあの態度。
本当にあり得ない…!
イライラして1人で飲んで帰った日、旦那の航平は鬱陶しそうに私を見下ろした。
「なあ……今何時だと思ってんだよ」
「はぁ?別に何時でもいいじゃん。子どもじゃないんだから」
帰るなり説教?
ほんとうざい。
まだ23時にもなってないのに、何が気に食わないんだろう。
「どうせ外でごはん食べてくるんでしょ?」
「君が作らないからだろ」
私の旦那の航平は、残業が多い。
わざわざその時間に作っていたら、何時に食べられるかわからない。
私は出来立てのごはんを食べさせたいこだわりがあるから、作り置きなんて論外だ。
「毎日作ってられないし、私にも付き合いがあるの。それくらい察したら?」
この前、掃除した部屋がもう汚い。
新しい家事代行を探した方がいいかもしれないなと、考えながら上着を脱ぐ。
いつもなら「ああ、そう」と、だけで終わる航平が深いため息と一緒に、嫌味を返してきた。
「仕事は決まったのか」
「今見つけてるわよ」
私も弟の圭太と同じように、少しずつネットビジネスを頑張っている。
でもアカウントがなかなか伸びないから、今度はインフルエンサーのいる
スクールにでも入るつもりだ。
「今って……。辞めたらすぐに仕事探すって話だったよな」
「もう3か月だぞ…!仕事を選ばなければなんだってあるだろ!せめてつなぎの時間にバイトするとかさ!」
「私じゃなくてもいい、仕事なんてしたくない!」
「じゃあ家事しろよ!なんにもしてない状態で、家にいる時間も長いのに
部屋は片付いてないし、飯も作らないじゃんか」
「バイトするわけないし、別にお金に困ってないでしょ!私は!前を向いてもっと大きいチャンスを待ってるの!」
航平が立ち尽くしてる。言ってやる、今だ。
結婚すれば女が言うことを聞くと思わないでほしい。
「ご飯だって大人だから自分で用意すればいいのに…!私はね!今、やりたいことを仕事にしようとしてるの!自分とちがうからってひがまないで!」
言ってやった!
私1人養えないくらいの、航平が悪いんだ。
「………もういい。俺たち離婚するぞ」
「は?」
「いっつも言い訳ばっかで。おまえといるとしんどいんだよ」
「はぁぁぁぁぁ…⁉」
「今日だってどこほっつき歩いてたんだか」
腫れ物を見るような目だった。
「⁉何勘ぐってんの…⁉別に遊んでたんじゃないわよ!圭太が困ってるから話聞いてあげてたのよ!!」
「また、圭太くんのとこか……。夫婦の問題に首突っ込むなよ」
「またってなに⁉あの嫁が偉そうだから私が注意してきたの!」
「お前が間に入ると迷惑でしかないだろう!……美玖さんは仕事も家事も
ちゃんとしてて偉いよ」
航平の言い方は【お前とは違う】と、比較されているように感じた。
何も知らないくせに。私を余計なおせっかいもの扱い…!
航平と無言の冷戦がはじまった翌日。
圭太からホームパーティをするとお誘いがあった。
「せっかくだから仲良くなったインフルエンサー呼んどくわ!姉ちゃんも来なよ」
「いいよー品定めしたげる!」
これはチャンスだ!
ちょっと数字の持ってるインフルエンサーが集まって私の話を聞いてくれる!
「マネージャーとか秘書とか、どうですか?私、そう言うの得意なんです!コンサルだってできちゃいますよ」
「へえ、いいですね。いろいろ話聞かせて下さい」
ああ、楽しい!私の居場所はここなんだ!
「いいですよ、えーっと……。あれ?圭太、まだ玄関で挨拶してるのかな
私、見てきますねー!」
今度は私が選んであげよう。圭太にぴったりの可愛い女の子を。
そう思って、玄関に行ったの。
話す内容がなかったんじゃなくて。ただそれだけ。
「けーいた!……え?え…………お、お母さん……?えっ………なんで?」
……どうしてここに、お母さんと美玖さんがいるんだろう?




