予感
東京のある大学。
彼は講義中にも関わらず意識は窓の外にあった。
窓の外には桜の花びらが風に乗って綺麗に舞っている、それだけならただ綺麗な景色なのだがその花びらに混じって奇妙な物が漂っている。
彼はそれが何なのか一目で分かった。小さい頃からずっと身近にいたものだから。
だが本来それはここにはいるはずがない。少し考えて彼は嫌な予感がした。
あれがここにいると言う事は村の住人が近くのいる、いやこの大学に来ていると証拠だ。
あれが村の外に出るには村の住人にくっついてくるしかないからだ。
偶然だろうかとも思ったがまずあり得ない。
村の人間はあまり外に出たがらない。
仕事か観光ぐらいだ。
観光でこの大学に来るはずがないのでまず仕事、しかも目的は大学ではなく自分だろう。
やはり嫌な予感しかしない。
授業のベルがなりなんとか逃げようかと考えていると近くの友人たちが寄ってきた。
「小林、飯食いに行かね?」
「いや、今日はもう帰るわ」
すぐにここから離れたいから適当な事を言って断る。
「なにいってんだ?まだ昼だぞ。珍しいな、早引けなんて。なんかあんのか?」
何もない。ここから離れなければその何かが起こるのだ。
「まさか女か?」
後ろから別の友人が話しかけてくる。
「何!そうなのか?小林はもてそうだからな。」
そうだろうか?
「違う。俺は今まで女がいたことはない。」
「そんなわかりきった嘘はいいよ。女なんだな。」
「だから・・・」
違うと言おうとしたが教室に事務員が入ってきて室内を見回し俺を見つけるとこっちに寄って来る。
しまった、おしゃべりをしていて間に合わなかった。
「小林正樹くん?」
違いますと言いたいが無理だろう。
「そうです」と素直に答えた。
「あなたにお客様がきているそうです。学長室まで来るようにとのことです。」
「わかりました」
そういって事務員は帰っていった。
「お前なにやったの?学長に呼ばれるなんて」
「呼んでるのは学長でなくて客だろ。心当たりはあんの?」
「ないな」
心当たりはないこともない。だが説明が面倒くさくなりそうなので嘘をつく。
「とにかく飯には行けなくなった。悪いな。」
そして俺は席を立ち学長室に向かう。嫌な予感は当たりようだと思いつつ覚悟を決めた。




