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坂本さんの異世界飯処  作者: とま坊


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14/20

【第14話】賄いの親子丼

異世界に何故か飛ばさせてしまった料理人「坂本」は腹を空かせたお客に温かい普通のごはんを振る舞うハートフルストーリー…

夜の営業を終え、シャルロットと賄いを食べる事に…

王都の街並みが夕暮れに染まる頃坂本、シャルロットは最後の客を見送った。

坂本は店先の看板を裏返し、戸締まりを済ませると厨房へと戻って来た。


「――ふぅ、今日も終わったな…

疲れた疲れた!」


「お疲れ様でした、坂本さん!

私も疲れましたー!」


シャルロットは椅子に腰を下ろし、

ぐいっと背伸びをした。


今日も接客に洗い物など沢山働いてくれている。そんな彼女のお腹がぐぅぅぅぅ、と小さな音を立てた。


「……き、聞こえました…?」


「うん、聞こえた。

そういやぁ、まだ俺たちも食べていなかったなぁ。」


「はい…もう腹ヘリですぅ!」


「それじゃあ、賄いを作ろうか。

――うーんぱっぱと食いたいしなぁ…

よし!今日は親子丼だな!」


「オ、オヤコドン…?

聞いたことない料理ですね…?」


シャルロットが興味津々に厨房をのぞき込む。

坂本は冷蔵庫から鶏肉と卵、タマネギ、三つ葉を取り出し調理台に並べた。


「親子丼は、鶏肉と卵を使った丼物だ。

アツアツご飯の上に乗せて食うとうめぇんだ。」


「鶏肉と卵って…どっちもよく使う食材ですよね…?

へぇー、どんな味なんですか…?」


「まぁ、もうちょっと待っててな!」


坂本は鶏肉をひと口大に切り、玉ねぎを薄くスライスする。

続いて小さな鍋に出汁、醤油、みりん、砂糖を入れ火にかける。

温まった煮汁から、食欲をそそる甘辛い香りが立ち上った。


「――くんくん…なんか良い匂いがします!

美味しそうな匂いを嗅ぐとお腹がより減っちゃうんですよね…」


「そうだろぉ?

この香りも美味い料理の調味料の一つだよ。」


玉ねぎ、鶏肉を軽く焼く。

こうすると少しの焦げも美味さに変わっていくのだ。

更にだし汁を入れ火を通していく。

玉ねぎの甘み、鶏肉の旨味がだし汁に移り、鍋の中はさらに豊かな香りに包まれていく…


坂本は鶏肉に火が通ったのを確認すると、

溶き卵を回し入れた。


「えっ!この中に卵を入れるんですか?」


「あぁ、卵は火を通しすぎないのがポイントだ。」


鍋の中で卵がゆっくりと固まり始める。

坂本は火加減を調整し、ふんわり…とした半熟状態に仕上げた。

白身はほどよく固まり、黄身はとろりとしたまま鶏肉とタマネギを優しく包み込んでいる。

ご飯を丼によそい、その上に具材をたっぷりと乗せる。

最後にだし汁を少しかけ、三つ葉をトッピングする。


「お待たせさん。親子丼だ!」


「わぁ!!すっごく美味しそう!」


目の前に置かれた丼を見て、シャルロットの顔がぱっと明るくなった。黄金色の卵に包まれた鶏肉。甘辛い出汁の香りと、炊きたてのご飯の湯気が食欲を刺激する。


「それじゃあ、いただきまーす!」


シャルロットはスプーンで鶏肉と卵、ご飯を一緒にすくい口へ運んだ。


「――んっ!」


彼女の目が大きく見開かれた。


「坂本さん!これすっごく美味しいです!」


「だろだろ?簡単だけど美味いだろ?」


「うん!

鶏肉も凄く柔らかいし、玉ねぎが甘い!

それに、このだし汁がご飯に染み込んでるのが最高!」


シャルロットは夢中になってスプーンを動かしている。

卵のまろやかさと鶏肉の旨味、タマネギの甘み。

それらをまとめる出汁が、ご飯の甘み、美味しさを引き立てている。

一口ごとに違った味わいが広がるのに、

全体としては見事に調和している。


「坂本さん、これ定食で出さないんですか?」


「親子丼は手軽に作れるからなぁ…

出しても良いんだがもう少し凝ったもんを出したいような気がするんだよなぁ…」


「なるほどですね…。

でも、こんな美味しいご飯食べれたなんて贅沢な気分です!」


シャルロットは嬉しそうに笑い、

残りの親子丼を食べ進めていった。


坂本も自分の丼を手に取り、ゆっくりと味わう。

出汁が染み込んだご飯に、柔らかな鶏肉と半熟の卵。シンプルな料理だからこそ何度食べても飽きのこない味だ。


「――ふぅ…ごちそうさまでした!

美味しかったぁー!お腹いっぱいです!」


やがてシャルロットは丼を空にし、満足そうに手を合わせた。


「おう、そりゃ良かった!」


「坂本さんの料理ってどうしてこう食べてるとワクワクするんですか?」


「口が達者なやつだなぁー。相変わらず。」


「本気でそう思ってるんですよ!」


シャルロットはほっぺを膨らまし、

空になった丼を持って立ち上がった。


「よし、明日からもお手伝い頑張んないとですね!

美味しい賄いをご馳走になったんですから!」


「おう、頼んだぞ!」


食器を洗い終え、二人は厨房をきれいに片付け店内の明かりを落とした。


こうして小さな食事処の一日は終わる…

お客さんに料理を振る舞う時間も、

営業を終えて二人で賄いを食べる時間も、

坂本にとっては大切な日常の一時だった…

読んでくださりありがとうございました。

今回、親子丼と言うことで作り方は私がよくしている作り方で書いてみました。

そして三つ葉は必須!!!

(出汁の中で煮て作る方法も美味しいですよね!)

少しでも『お腹が空いた』『おもしろい』と思ったら、下にある【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で応援していただけると、執筆の励みになります!

ではまた次の営業でお会いしましょう…

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