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第41話

「この反応はやっぱり知らなかったな」


「公式くらい見てほしいんだけど・・・」


俺とカイ君は溜息を吐く。

情報収集しないことが多いのは知ってたけど公式すら見てないのは驚きだ。

イベント情報とか見逃したらどうするつもりなんだ?


「いや、公式はなんかいっぱい書いてあったからスルーした」


「あ、それ分かる。自分で調べろって書いてあるくせにめっちゃ情報載ってるよな」


「アルカナとかは読んだ」


おや?

思っていた以上に読んでるな。

これならそこまで説明はしなくていいな。


「そのアルカナがストーリーに関わってるんだよ」


「そうなん?アルカナってあれだろ?当然正位置のあれ」


「ある意味間違ってないね。正確にはタロットカードの用語で詳しくは検索しろ」


「あれは説明めんどいからな・・・時代や人によって若干違うし」


「違う?改定されたとか?」


「そんな感じ。んで、小アルカナには区分?種類?トランプで言うスペードやクラブとかがあるんだよ。ALはそれに因んだ国が存在してて、火のワンド、水のカップ、風のソード、地のコインの計4つの国がある訳よ」


「俺らがいる街・・・あれ?あの街の名前なんだっけ?」


「俺も覚えてない。今いる街を含めて、3つ目まではどこにも属してない中立国なんだよ。3つ目の街に行き、どこの国に所属するかを選び、ようやくストーリーが始まるのよ」


「え?めっちゃ時間掛かるじゃん」


「そうだよ?だから今はチュートリアルなんだよ」


「うへー。で?ストーリーの内容は?」


「4つの国にのいずれかに行き、14個の証を手に入れ、世界の謎に挑め。全てを解き明かした者こそ真の英雄也。だからプレイヤーは冒険者となって冒険するって設定」


「はー・・・証って戦闘で勝つとか?」


「もっと厄介。全てのタロットカードには意味があって、例えばワンドのAには創造力、出発点の意味がある。カップのAには喜びと満足、ソードとコインは忘れた。そんな感じで意味に沿ったクエストが存在して、それをクリアする必要があるんだよ。戦闘で勝つだけじゃなく、知識を見せたり財産を見せつけたり、ただ会話するだけでよかったりと証によって全部違う訳よ」


「うっわめんどくさ・・・」


「小アルカナの14個の証を手に入れたらようやく大アルカナのボスに挑めるんだけど・・・」


「けど?」


「めっちゃめんどくさい。正位置と逆位置でまったく別の意味を持ってるからボスは実質2パターン確定。公式でも正ボスである正位置の効果を持ったのと逆位置の効果を持った裏ボスを用意しました宣言してる」


「めんどくさ・・・え?ボス何体いるの?」


「22体。ただ、0番に位置する愚者が一番やっかい」


「え?能力知ってるの?なんで?」


「公式に書いてある。愚者との戦闘は強制ソロでアイテム禁止、タイマンでのPSを試すボスなんだよ」


「あ、うん。無理だわ」


その反応はよくわかる。

俺だってソロでボスに挑めなんて言われても困る。

それ以上にやっかいでめんどくさい能力を持ってるんだけどね。


「因みに、愚者がいるのは俺達が今いる街だから」


「「「は?」」」


俺とよっしーの会話を聞いているだけだったミッチーとろー君も驚きの声を出す。

公式で見た時も同じように声出したから気持ちはよくわかる。


「旅とか出発、可能性って意味があるんだよ。だから、最初の街に存在する。ただ、証を持ってないから挑めない。そして、こいつがいるからこそチュートリアルって言われるようになった」


「意味が分からん。や、最初の街にいる意味は分かったけどさ、チュートリアルの意味が分からん」


「逆位置の意味に、愚行、軽率、乱れた私生活とかがあるんだよ。3つ目の街まではずっと昼で固定されてるってのはこいつが原因。軽率な判断で昼に固定した為、乱れた私生活になった・・・だったかな?」


「あ、だからずっと昼だったのか。へー・・・あ?昼で固定?夜限定の敵は?」


「出ない。夜に活性化する能力を持った敵や夜にノンアクからアクティブに変わる敵も無意味になる。だから、戦闘に慣れる為のチュートリアルって呼ばれるようになった」


ずっと昼なのはゲームだからって最初は思ってた。

現実とゲーム内で時間が違うと混乱する原因になるから固定なのかって考察した。

けど、理由は違った。

ボスが悪さしてるだけだった。


「3つ目の街を超えて4つの内いずれかの国に行くと夜が訪れるようになる。ストーリーもフィールドもようやく本番になるんだよ。それも合わせてチュートリアル扱いってこと」


「俺らチュートリアルに苦戦しすぎじゃない・・・?」


「それは違うな。4つの国に行くまでに準備を終わらせなきゃいけない。今苦戦してでも戦い方やクラン、PTだとかをきちんとした物にしないといけないんだよ」


「すげぇな・・・結構気楽に考えてたけど設定とか世界観ちゃんと作られてるんだな」


「因みに公式曰く、謎を解き明かそうとしないで自由気ままに遊んでもいい。それこそ、愚者のいる街に住むに相応しい素質だ・・・だってさ」


「正位置の意味に自由とか型にはまらない、純粋に可能性とかもあるらしい。冒険しないで別の遊び方を、可能性を模索するのは何も問題ないってさ」


「俺の作ったクラン、【獣亜人愛好同好会】こそ最も愚者に相応しいクランだぞ。自由で、無邪気に振る舞える場所、どこよりも運営の言葉に従ってるとも言えるけどな」


「その結果、軽率な行動に出て無意味にでかいホームになり、一部の人が自分勝手に改造してるけどな」


「ちゃんと逆位置の意味も網羅する俺ら優秀とか言ってたらサブマスに怒られました」


「当然だろ。てか、アッキーは早く食えよ」


「え?俺待ち?」


「お前以外は食い終わったぞ」


「やっべ味わってゆっくり食べなきゃ」


「おい」


「他人の金で食う飯は美味いっ。カイ君残りの説明や疑問解消よろしく」


「はいはい。んで?聞きたいことは残ってる?」


カイ君に残りの説明を任せて俺は飯を食う。

湯気が出ていたトン汁は少し冷め、飲みやすくはなったけどやや寂しい。

やっぱり熱いのを熱いって言いながら食べるのがおいしいよね。


「あ、チーズが固まってる・・・とろけない・・・・・・」


時間が経って一度溶けたチーズが固まった。

こうなってしまうと味の濃さにバラつきが出てしまう。

これはこれでいいものだけど、やっぱりチーズは熱々でとろけてた方が好きだ。


熱い・・・ではなく、やや熱い程度にまで冷めてしまった肉を口に入れる。

そのまままだ湯気が出ている米を掻っ込む。

肉汁や特性のタレがしみ込んでいて、米だけでもおいしい。

口の中がある程度無くなった所にねぎキムチ。

この安物っぽい雑な辛さって言えばいいのか?

これが口の中の油といい感じに絡まる。

少しだけさっぱりし、少しだけ辛さが収まる。

キムチも食べ終わったところにトン汁だ。

油っぽさや僅かに残っていた辛み、それらを流し込みつつ具を堪能する。

トン汁はこの具沢山な所が好き。

身体の芯から温まるのもいいよね、今夏だけど。

そしてホッと一息ついた所にポテトサラダを食べ始める。

今回はやらなかったがここに七味を掛けてもいい。

あのピリッとする辛さもいいが、今回は目的が違う。

トン汁とポテトサラダによって口の中をリフレッシュする。

そして、そしてだ。

ポテトサラダで口の中を冷やす。

これは絶対に外せない重要な要素だ、

これによって、次のループがより楽しめる。

口の中が冷えたからこそ、熱々に感じる牛丼。

より美味しく感じるこのループこそ我がジャスティス!

あ、でも一番重要なのは他人の金で食うことだよな。

懐が痛まないってのは重要だ。


じゃあ、2週目と行こうか。

今回はどこからどう見てもチーズが固まっている部分を―


「アッキー」


食べれなかった。

こっちは食事中なんですけど?


「なに?」


「ホーム拡張の優先順位の確認」


「料理錬金術家の順番。鍛冶は話聞いてる限りじゃモチベ湧かない」


「そうなの?」


「よっしーは知らないか。俺らの身長と同じくらいの大きさのハンマーを扱えて一人前らしいんだよ。ちょっと騙された」


「あれがスタートラインかと思ったら違ったて言うね。片手で持てる程度の大きさも普通に使うとか言えよ」


「マジでそれ。まぁ、掲示板にあった情報なんだけど、鍛冶ってめっちゃ大変なんだよ。まず、鉱石の目利きを覚える。その後炉の温度を見極めれるようになる。更に叩く速度、場所、強さとかを学ぶ。師匠によっては砥ぎを先に覚えさせるとか武器の目利きも出来るようにさせるとか」


「え?マジで現実と同じレベルでやるの?」


「そうだよ?生産はスキルで雑に作るか、現実と同じ作業をやるかの2択。まぁ、現実と同じって言っても時間や手間はある程度減らされてるけどね」


「俺らは鉱石の目利きからスタートって聞いて完全に心が折れた。他のも材料の目利きとか必要だけど鍛冶だけ異常なまでにレベルが高いんだよ」


カイ君が説明をし始めた。

よし、俺は食事の続きだ。

何か言われても待たせてるからって言えば許されるだろ。


時折、相槌をうったり、会話に混ざりつつも食事は終了。

最終的には皆が食べ終わってから5分ちょっとは待たせたな。

こいつらなら待たせても大丈夫って思ってるからのんびり楽しめたぜ。


「ようやく食べ終わったか・・・」


「ごっm「黙れ」・・・チッ。チャンスだと思ったのに」


「そんなチャンスはいらないです。お金下さい」


「何?ミッチー金欠なの?AL買ったから?」


「お前の飯代だよ」


「ふひひ、サーセン。因みに俺はまた雑誌に色々書くことになったから金あるぞ」


「は?奢れよ」


「全部終わったらな?」


「っしゃ!今回何やるの?」


「持ち込み企画なんだけど、色々な視点から○○を見ようってやつ。例えば、貧乳好きがっつり見る派はこの水着を着てもらいたい。とか、うなじ好きチラ見派はこの水着で!とかだね。攻略対象の好みを探って、似た意見を取り入れ憧れのあの人にアピールだ!・・・って企画」


「貧乳好きがっつり見る派ってお前だろ?」


「うん。一応コネで出来た繋がりだけどさ、色々考えて送ったりしてるんだよ。じゃないと変に恨まれたりするからね」


「大変だな。んじゃ、そろそろ帰ってゲームだ」


「アッキー頼むぞ」


「任せろ。速攻で100体倒すぞ」




夜の描写が無いのはサボってた訳じゃなく、夜が来ないからです。

ちゃんといずれかの国まで行けば夜(暗闇で)の戦闘をやります。


あと、どこの牛丼屋が一番美味しいとか興味無いです。

そんな違いが分かるほど舌は肥えてないので・・・。

ただ、強いて言うなら、多少味が落ちても家から近い所が好きです。




次の更新予定日は 11/27 0:00です

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