第37話
「えー・・・それでは反省会の議長を務めさせていただきます、虹鳥です。よろしくお願いします」
反省会、本来の意味で言えば先ほどの戦いを振り返るのだろう。
だが、俺達の反省会は違う。
まずは、戦犯を探し、罪を償わせる。
反省会と言う名の裁判だ。
因みに俺以外の全員が被告人だ。
なお弁護人は存在しない。
「さて・・・えー・・・裁判長である白狐さん、お願いします」
「まずは全体に一言。敗因は一瞬の油断とアホの短絡的な行動、戦犯は俺以外の全員ですね。お前ら許されると思ってるの?死ねよ」
「いやっ・・・えっと・・・その・・・」
「今回の戦闘について言いたいことがたくさんあるので、ご覚悟をお願いします」
丁寧に、それでいて怒ってますアピールをしつつ話す。
意識して平坦で抑揚のないしゃべり方してるけど、結構疲れるな・・・。
「まず、準備不足。なぜ前衛である虹鳥はポーションを持っていないのか。ヒーラーが存在しないPTで回復手段を持たないとか自殺行為レベルです。負ける前提で挑むのと死ぬために挑むのは別物ですよ?」
「すみません・・・」
「次に戦闘開始直後の行動、これは絶対に許せないですね。確かに、ノ―ダメを崩したいと言う気持ちは分かります。それでもあのやり方はありえない。現実で殴られても文句言えないレベルです」
「はい・・・」
「てか殴らせろ」
「それは無理」
「PKにならないなら今ここで殴ってもいいんじゃ・・・?」
「はっはっはっ、お戯れを」
「お前月曜覚悟しておけよ?」
「あやっべ、ごめんなさい」
調子に乗った虹鳥が頭を下げる。
いじめと言っていいレベルのなすりつけを言い出した奴だからな、許さん。
「この前の件も合わせて謝罪を要求します」
「この前・・・あっ・・・はい・・・」
「冷凍ピザでも許そうと思ってましたが、ダメです。宅配ピザ飲み物付きで手を打ちましょう」
「うおっ!・・・・・・飲み物はちょっと勘弁してほしいのですが・・・」
「は?」
「いや・・・AL買ったから金ないんですよ・・・」
「は?」
「我が家は小遣い少ないんですよ・・・」
「で?」
「・・・いつ?」
「来週の土曜の昼な」
「うっす・・・反省してます」
「まぁ、アホの被害者でもあるからな・・・サイズは一番小さいので許してやろう」
「あざっす」
「じゃ、次」
これで虹鳥への断罪は終了だ。
空振りしての被弾はまぁ・・・うん、まだ慣れてないってことで許そう。
次までに練習して使いこなしてくれればいいや。
「黒やん」
「はい」
「・・・・・・中立を装って見殺しにしようとしたことは許せないです」
「はい」
「仕返しで熊包囲の時手を抜いてかなり苦労させたのでそれで許しましょう」
「やっぱりかー。なんか援護少ない気がしたんだよね」
「一緒に狩りすること多いから多分ばれてると思ってた。あれ一応仕返しだからね、辛かったでしょ?」
「辛かった。何つーの?緊張感がやばいでいいのか?精神的疲労がやばい」
「めっちゃわかる。先読み練習してた時も似たような疲労感あったもん」
「VRだと全然違うなって改めて思ったよ」
「所詮中ボスだろって舐めてたけど普通にしんどいな。じゃ、次」
黒猫は・・・まぁ、うん。
直接的な行動は無かったし仕返しもした。
それにすぐに謝ってきたことも考慮して特になしでいいだろう。
「灰虎さんや」
「寿司・・・まだ奢ってない」
「せやね。コンビニとかスーパーにあるので許そうって思ってたよ」
「だ、だよね・・・」
「回らない?」
「いやっあのっ・・・それは普通に考えて無理だと・・・」
「知ってる。スーパーに売ってる稲荷寿司と牛丼特盛りトッピング有な」
「特盛りか・・・大盛りとかは・・・?」
「ん?なんて?君もアホの被害者でロマン砲撃てなかった不完全燃焼感を考慮してかなり減らしてあげたんだよ?それなのに?もう一回言ってごらん?お前の隠してるエロ画像をお前の端末で家族に送るぞ」
「それだけはダメ!マジでダメ!俺の性癖ばれちゃう」
「お前の性癖じゃなければいいの?例えば男どう「それは自殺案件」・・・俺も集めるの嫌だわ」
「まぁ・・・うん。俺も攻撃出来たら絶対にしてただろうしやり過ぎたかなって思ってる部分もある。それで手を打ってくれるなら支払います」
「素直でよろしい」
「別ゲーのご褒美でペナルティ1回免除券貰ったじゃん?それ今使っていい?」
「いいけどどっち消すの?寿司?牛丼?」
「牛丼で。俺も普通に牛丼食いたいから一緒に行こうぜ。明日の昼とかどうよ?」
「おk。明日の昼は・・・特に問題ないな。集合場所とかは明日決めるか」
「あ、俺も行きたい。いい?」
「ダメって言う理由がないし、そもそもお前ら勝手に来るだろ」
「それな」
一応確認してくれる黒猫に対し、虹鳥は毎回連絡無しで合流しようとする。
人数予約とかする必要がある場所に行かないからいいけど、一言くらい言えよって毎回思う。
「んー・・・とりあえず、ペナ免除券使用で牛丼はなし。罰は稲荷寿司のみ」
「問題なーし」
「ん。ならこれで灰虎も終わりだな。で、そこの人」
「・・・・・・はい」
「自分が何したか理解してる?」
「・・・・・・・・・はい。メインの勝ち筋を潰しました」
「理解してるね。で、黒やんの努力を無駄にした感想は?」
「いや・・・そのー・・・えー・・・ああなるとは思ってなくてですね・・・大変申し訳なく思ってます・・・」
んー・・・これは本当に反省してるな。
声や態度もそうだけど、顔色が若干悪い。
VRって顔色まで再現出来るんだ、凄いな。
赤象の監察を止め、黒猫の方を見て、話しかける。
「・・・・・・こうやってちゃんと毎回反省するから見捨てれないんだよなぁ・・・」
「しかも言われたことはちゃんと直そうとする」
「それ。ま、いっか。ちゃんと反省してるしもっとやばい状況でやらかされるよりはマシだって考えるか」
「まぁ、確かに。あの熊程度ならある程度動きは覚えたし再戦も簡単に出来るからな。失ったのは信用くらい?」
「黒やんはどうする?俺的には充分反省させたしいいかなって思ってる」
「しんどい思いしたけど所詮はゲームだしそこまで重くしなくていいでしょ。明日の昼飯代とおやつで」
「んじゃ、俺も同じく昼飯代とおやつで。そっちの二人は?」
「俺は特に被害を被ってないから無しでいいぞ」
「んー・・・魔法を邪魔されたのはちょっとって思うけど、前回俺は吹っ飛ばしたからなぁ・・・。うん、俺も無しでいいぞ」
「お前ら・・・あざ~っす!」
「速攻で復活したし反省してないんじゃね?」
「うっ・・・いや、反省してます・・・」
「おー?怪しくなってきたぞー?まぁ、いいや。そろそろ裁判もやめて真面目な反省会するか」
「必要?」
「虹鳥の役立たず感をどうするかだよね」
「え?いやいやいや俺リーダーだから」
「前回も今回もダメ与えてなくね?寧ろ邪魔にしかなってないよね?」
前回の戦い・・・草原での適当な連携練習は盛大な空振りによる黒猫への妨害。
今回の戦いでは空振りからの射線を防ぎ、敵の攻撃で死にかける。
足しか引っ張ってないですね。
「待て待て待て待て。わかった、落ち着こう。標的が俺になってる」
「あれ?これもしかして俺が最後にやらかしてなかったら戦犯こいつだったんじゃね?」
「ん?うん、そうだよ?赤象はちょこちょこ外してたけどちゃんと黒やんのサポートしてたし貢献してたね。え?虹鳥?あぁ、うん。背後取ることに必死で攻撃しなかったし、唯一の攻撃も外したしで居る必要なかったね」
「おーけー。今の俺が足手まといで邪魔だと言うことを認めよう。だが、明日まで待ってくれ。頑張って練習して使いこなす。明日の熊戦で役立たずだったら大剣は諦める」
「お~?言ったな?じゃあ明日楽しみにしておくよ」
「作戦考案指示出し連携の要・・・白やんが本来リーダーに着くべきだよね」
「俺は出来る人に質問し続けたからな。他ゲームでの経験が大きいね」
「そこなんだよなぁ・・・俺と白やんの差は。俺ももう少し積極的に教えてもらおうとすればよかった」
「これから頑張ればいいんじゃな?先は長いんだし・・・さて、時間もあれだから俺は先に落ちるわ」
「おつかれ~。俺は大剣練習で徹夜コースだな。明日は早めに落ちれば学校は問題ないだろ」
それはフラグって言うんだぞ虹鳥。
「おっつ~。俺はあれだ、デスペナあるし矢の補充とかしてから落ちるわ」
そう言えば赤象はデスペナ中だったな。
今殴ったらめっちゃ痛いのかな?
その内試そう。
「俺MP無いし一人でやることも特にないから落ちるわ。おっつおっつ~」
全魔法がMP全部使う以上継続戦闘能力低いもんな。
ソロでってなると無謀としか言えない以上落ちるのが正解か。
「ん~・・・猫と戯れてから落ちるかな?おつかれ」
・・・なんでお前は死にに行くの?
この後は寝るだけだから別に問題無いけどさ。
俺が気にすることじゃないけど装備の耐久力とか大丈夫なのか?
実はこっそりとノクターン(R-18)側に短編を投稿しました。
グロとかではなく、普通にエッチな短編小説です。
また、この作品とはまったく違う雰囲気を出せるかの挑戦で書いてますので、かなり違う作風になってます。
あちらでも同じ「かふぇおれ」という名前で投稿してますので興味がある方は検索してみてください。
あと、ブックマークに入れて作品を評価してください。
そうすれば「なんでそっちを評価してこっちを評価してくれないの!?」と、作者が発狂します。
次の更新予定日は 11/15 0:00です




