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第32話

「まず、連携が必要な理由って知ってる?」


「自分よりも上の相手と戦う為?」


「自分に足りない物を補う為?」


「他にもたくさんあるけど、どちらも正解だね。じゃあ、連携に一番必要なものは何?」


「信頼関係?」


「互いの能力を正確に把握する?」


「それらも正解だと思う。これは俺個人の考え方だけど、共通の目的を持っていること、つまりは利害が一致していることが一番必要なことだと思っている。どれだけ信頼関係があったとしても、君達は自分の好きな動物を殺そうとしてる仲間と協力出来るかい?」


「無理です」


「速攻で裏切る自信があります」


「期待通りの答えをありがとう。どれだけ信頼関係があろうとも、利害が一致しなければ簡単に裏切られる。そして、共通の目的が無ければモチベーションの、向上心の差が生まれ、結果失敗に終わる可能性が出てきてしまう。確かに、信頼関係や力量把握は大事だと思う。けど、それ以上に連携を、PTを組んで一緒に何かをする理由が大事なんだよ」


なるほど、確かにそうだ。

黒猫を含む、あいつら全員のことは信頼している。

幼稚園の頃から一緒で、ずっとこの5人で遊んできた。

家族以外じゃ、あいつら以上に信頼してる人はいないって断言すら出来る。

けど、あいつらが狐を殺そうとするなら、迷うことなく敵になる自信がある。

信頼関係が大事だと思ってたけど、ダメだね。

簡単に裏切ったり、足を引っ張ったりする自分が見える。


「二人はお互いの事を信頼してるよね?更に言えば実力や考え方、癖に好みも知っているはずだ。けど、ここで猫との戦闘をすることになった時、いつも通り戦える?」


「無理ですね。間違いなく白やんを斬る」


「銃を向けただけで睨まれてますからね、猫と戦うことすら難しいです」


「そう言うこと。信頼関係やら力量把握だとかは、メンバー全員が共通の目的があって、協力する意思がある前提なんだよ。だから、最初にすべきは目的又は目標設定。何をしたいからPTを組むのか、そしてそれを達成するのにどれだけの実力が必要なのかを決めておくんだよ」


「何をしたいからPTを組むのか・・・」


「どれだけの実力が必要なのか・・・」


「そこまで難しく考える必要は無いんだけどね・・・。攻略組に入りたいのか、中堅くらいのPTになりたいのか、最低限の連携があればいいのかくらいでいいんだよ」


初めてのVRを楽しむ為にアホ共隔離なんて行動を取ったんだ、攻略組はないな。

今まで通り5人で楽しむのに、最低限の連携しか取れないってのも寂しい。

そうすると━━━


「「中堅・・・」」


俺と黒猫が同時に呟く。

やっぱり、同じ結論になったか。

ずっと一緒だったからこそ、思考回路が似たんだろうな・・・。


「答えが出たかな?中堅くらいでいいなら、そこまで深く考える必要はないね。攻略組や最前線なんかは、昔から少しでも違う動きをしたら怒られちゃうからね」


「意味不明な行動取る人間が5人ですからね、上なんて目指せないですよ」


「え?ちょっと待って白やん。5人って俺も入ってるの?俺常識人枠じゃないの?」


「耳と尻尾を外してから言ってくれる?俺らは常識人って猫を被ってるだけだから」


「一緒にすんな!」


「猫に銃を構えます」


「そっと剣を抜きます」


「ほら!その時点で常識捨ててるから!」


「うるせぇ!好きなものを守る為なら常識程度捨てるわ!」


「はははっ、君達は見てて飽きないね・・・。さて、お勉強はお終い。ここからは実戦だよ」


「「はーい」」


「切り替えが早いねぇ・・・じゃあ、まずはだけど、陣形から行こうか。今までどんな陣形で戦ってきた?」


俺と黒猫は顔を見合わせ、そっと移動を開始する。

基本通りの剣士である黒猫が前衛、銃使いである俺が中・後衛。


「基本はこうです」


「ふむふむ、最低限は知ってるね。じゃあ、黒猫さんは敵をどうする?受け止める?それとも左右のどちらかに受け流す?それとも敵を倒す為に突撃する?」


「え?あー・・・敵次第・・・ですかね?」


「それを伝えてる?伝えてるならどのタイミングで?」


「・・・・・・伝えてないです」


「大抵キャパオーバーで溢れてこっちに来てから一言くれます」


「連携での基本は報告・相談・連絡の報相連だよ。危なそうなら事前に連絡しておく。必要なら対処方法を相談しておく。そして、抜かれたらすぐに報告する。これだけでもかなり変わるよ」


「なるほど・・・」


「・・・・・・黒やん。狼相手なら何匹まで無援護状態で捌ける?」


「・・・MPが満タンで自由にしていいなら5匹。同条件で後ろに逸らすなと言われたら3匹が限度」


「これが連絡だね。自分は○○が相手なら何匹まで対応出来ますって事前に伝えてあることは重要だ。突然敵が自分の所に来るのとこっちに来るかもしれないって思ってて来るのは全然違うからね」


「心構えってそんなに重要ですかね?」


「突然猫に襲いかかられるのと今から猫襲うって言われてから襲いかかるの、どっちが早く対応できる?」


「言われてからですね・・・」


午前中の時点で軽い座学+実技って流れは分かってたけど、ちゃんと俺達に合わせた座学をしてくれてる。

これがただ単純に連携の取り方を教えて貰うだけなら、モチベの差でアホ共と衝突してたかもしれない。

零さんに頼んで正解だったな・・・。

あ、やべ。

他事考えてて話聞いてなかった。

適当に話をねつ造して誤魔化すか。


「ところで白やん聞いてた?」


「俺はどれくらいなら捌けるかを考えてて聞いてなかった・・・ごめんなさい」


「正直に言うね・・・。まぁ、特に聞いてなきゃいけないようなこと話してなかったし大丈夫だよ。それで?どれくらいなら捌けそう?」


「最終的な結論としては、どこまで集中力が持つかで変わりそうですね。ゲーム内身体能力を考えると、1匹でも集中切れたら負けそうだなーって」


「集中力か・・・それ考慮してなかった・・・」


「ふふっ、結構大事だからね。他のゲームの話だけど、30分くらい連続で戦闘してたとかよく聞く話だったよ。適度な緊張感を持ち、無駄に力が入ってない状態を維持するのも必要な能力だよ」


「出来る?」


「はっ!無理に決まってんだろ」


「いや白やん?それ威張ることじゃないからね?」


見下す感じで威張ってみたけど怒られた。

エンジョイ勢にそんな能力は必要ないでしょ?

だから出来なくても問題ありません!


「見てて飽きないね・・・。さて、そろそろ実技に入ろうか。目標は狼の集団、3匹以上を同時に相手し倒すこと。ただし、行動の全てを口頭で宣言してから行うこと。それと、相手を格上と想定して動いてね?」


「FPSをボイチャしながらやってたんですけど、似たような感じでいいですか?」


「格上?・・・慣れで適当な動きをしない為ですか?」


「ああ、それで問題ないよ。本来は宣言してはいけないけど・・・お互いがどう動きたいのか、どう動かれると邪魔なのかを把握するのが先決だ。まずは声に出して教えつつ、徐々にアイコンタクトやハンドサインに切り替えていくこと。格上を想定する理由はそれで合ってるよ」


「了解です。行くぞ黒やん!」


「任せろ白やん!」


気合い充分、いざ戦闘へ!

若干の探索をする必要があって勢いが減ったけど戦闘開始だ。




「他ゲーと同じく指示出し!敵は狼で数4、見晴らしが良い為増援は現段階では未確認。敵レベルは不明、格上を相手する意識でいきます」


「こちらも同内容を確認!格上意識で行動、了解です!」


「2匹はこちらで受け持つ、短期決戦で仕留め応援を頼む」


「了解、左2匹に行きます!」


「了解!右2匹の足止めを行います!【狐火】」


敵を確認後、別ゲームでやっていた指示出しを行う。

FPSでチーム全員ボイチャで繋がってるのはかなり有利で快適だったな。

まぁ、猪と芋砂がいるから作戦なんてほぼ無かったけどな!


黒猫が左の2匹に走って移動する。

俺が受け持った2匹が黒猫の方に行かないように狐火を扇状に展開する。

これで無理矢理だけどこっちに来るしかなくなった。


分断された狼がチラッと残りの2匹の方を向くが、すぐに合流を諦めこちらに向いた。

短く吠えた後、攻撃する為に突っ込んでくる。


「1匹討伐完了!残る1匹を討伐次第、合流する!」


「了解!」


これで残る狼は3匹だ。

相手が格上と想定するならば、俺の身体能力じゃ攻撃を避けれない。

そうなれば打てる手は一つ、時間稼ぎだ。

追加の狐火を展開したいが、操作出来ない以上邪魔になる。

今あるものを動かそうにも分断用に展開している以上、動かすのはまずい。

残された手から考えるに通常弾での威嚇射撃を行い、無駄にヘイトを溜めないのが正解か?


「威嚇射撃による時間稼ぎを行う!回避及び時間稼ぎ優先します」


「了解!」


狼の進路上に弾を撃つ。

自分のやや前に攻撃が来たんだ、多少はスピードが落ちる。

若干の警戒でスピードを緩め、こちらを見ている。

その間にもう1匹にも同じように撃ち、警戒させる。


警戒しているが、こちらに向かうのは止めない。

今度は当たる位置に、けど、簡単に避けれるように撃つ。

ばればれの攻撃をしている以上、相手も普通に避ける。

が、連携を取る知能がある故にこちらを警戒し、足を止める。

1匹が足を止めるともう1匹も釣られて足を止める。

これで時間稼ぎは成功かな?

さっきの討伐時間を考えるとそろそ━━


「討伐完了!応援に向かう」


「了解!展開している狐火は解除します」


こちらへの合流を邪魔している狐火をすぐさま消す。

これがあるせいで合流が遅れたら危ないからね。


黒猫が自分達に迫っているのが分かったのだろう、完全に余所見をしている。

これは誰がどう見てもチャンスだ。


「こちらが攻撃し、隙を作ります。その間に1匹処理してください」


「了解」


声を張らなくても聞こえる範囲に黒猫が戻ってきた。

もう少し近付いて欲しいが、これ以上は危険だ。

安全を考え、やや早めに攻撃をする。


黒猫に近い方の狼のお腹に撃ちこむ。

お高い弾を使えばこのまま倒せるが、今回は一番安い弾だ。

致命傷所か3割削れればいい方なダメージだな。

けど、これで意識は完全に俺に向いた。

それは悪手ですよ?


「スラッシュ!・・・討伐完了、次に向かいます」


「了解。同じように攻撃して隙を作ります」


目の前で仲間を撃たれ、俺に意識を向ける。

その隙に今度は斬られ、死ぬ。

また、俺の事を忘れたな?

さっきそれで仲間が死んだんだぜ?


「討伐完了・・・周辺に敵影無し」


「・・・敵影なし。お疲れ」


「FPSやってた頃を思い出す・・・てか、キーボードなら普通に出来たけどVRだと辛いな」


「もう少し細かく伝えるべきか?でも、これ以上だと伝えることに意識を割きすぎてる気がするんだよな・・・」


「二人ともお疲れ様。うん、FPSでの指示出しっぽかったね。じゃあ、感想を言い合おうか」




次の更新予定日は 10/30 0:00です

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