第26話
「あ、連携練習の前にさ、俺の想定してる戦い方を聞いてもらっていい?」
「いいぞ?」
「アサシンタイプで行こうかなーって考えてる」
「アサシン?中衛になるの?」
「いや、前衛。こう・・・気配を少し減らして?・・・でいいのか?うん、そんな感じで相手の隙を突く戦いをしようかなって。ほら、猪とロマンバカが目立つだろ?それを利用して不意打ちメインとかいい感じじゃない?」
ふむ・・・確かにな。
虹鳥は間違いなく猪突猛進で防御無視の特攻だ、必ず目立つ。
後衛の灰虎もロマン狙いで大技を使うからな、必ず目立つ。
後は・・・うん、見た目で俺が、発言で赤象が目立つ。
このPT自己主張激しいな。
「今思ったけどお前以外全員・・・いや、お前も見た目が目立つな。アサシンプレイきつくね?」
「俺以上に他の奴らが目立つから成り立つだろ」
「・・・反論できない。VRでアサシンか・・・忍者じゃないの?」
「ござる口調は無理。恥ずかしい」
「その見た目で恥ずかしいとかアホかよ」
「俺はお前と違ってそこまで目立ってない!」
「充分目立ってると思うけどなぁ・・・右から狼3、その後ろから4の合計7匹」
のんびり会話しながら移動していたけど、敵が現れる。
普通に敵がいるフィールドで呑気に会話出来るわけないからな。
「了解・・・っ!おいっ!今掠ったぞ!」
「・・・・・・今のはガチミス。ごめん、もう少し集中するわ」
「あー・・・しゃべりながらはまだ厳しいか。ならしかたない」
しゃべりながら敵を処理してたら黒猫に攻撃が掠った。
久しぶりの戦闘に加え、前衛がかなり強くなったからな、油断してた。
理想は魔法を制御しつつ、指示出しつつ、移動して銃を撃つことだけど・・・先は長いな。
「ラストー!・・・ふぅ。しゅーりょー」
「・・・・・・・・・うん、問題なし。てか、黒やん?倒し終わった瞬間に油断するの辞めない?危ないよ?」
「・・・ごめん」
「完全に気が抜けてたからね。おかわりが来てたら被弾してたよ」
「別ゲーだと痛みとかないから簡単に対処できるけどVRだからなー・・・癖になる前に治さないと」
「そこは個人の課題かなーって。話戻すけどさ、黒やんのアサシンプレイ、いいこと思い付いた」
「なに?」
「俺の魔法に【朧火】ってのがあるんだよ。白い火の玉を飛ばし、発動者の幻影を映し続けるって魔法。相手にダメージを与えれないけど使い方次第じゃ便利・・・なはず」
「幻影か・・・あーそういうことか。姿を消す系は消費が大きいけど幻影を映すだけなら軽いもんな」
「そうそう、あとはあれだ。陽炎だっけ?あの火とか高温で空間が歪んで見えるっての。それをまとえばPSの低さを補えるんじゃない?」
「お?なんかそれいいな・・・あーでも猫っぽくないのはなー・・・どうしよう・・・」
「猫の眼光で相手に呪いを掛ける的なのはどうよ?」
「それ採用。いいね、普段は黒眼だけど発動時に金色に変わって・・・いけるいける」
黒猫のテンションが上がり、独り言を呟きながらメニュー操作をしている。
独自魔法を作ってるんだろう、違うとか消費がーって言葉が聞こえる。
別にいいんだけどさ、ここ、敵が普通に出るんだけど大丈夫か?
「黒やん、ここ危ないからとりあえず移動しよ?」
「えっ?あっ・・・だな。釣りする?しないなら薬草系の採取地に向かうけど」
「もう何もしないで待機は嫌です」
「・・・・・・そう言えばそうだな。じゃー採取地に移動だ」
「ういー」
会話しつつ、戦闘しつつ、誤射しつつ、特に問題なく採取地に到着した。
誰が何と言おうと問題はなかった。
・・・まだ一桁レベルだからしかたないんだよ。
「誤射は8回か・・・何を要求しよっかなー」
「でもその倍以上猫との触れ合いを見逃してますよね?本来の倍近く時間掛かってますよ?」
「うっ・・・」
「無罪・・・とは言わない。お互い様でどうでしょうか?」
「・・・いいでしょう。こちらにも非がありますからね・・・致し方ありません」
「っしゃ!引き分けに持ち込んだぜ」
「くっそー・・・何かしら要求出来るチャンスだったのになぁ・・・チッ」
「露骨な舌打ちやめろ。俺は採取するけど黒やんは?」
「魔法作り」
「了解。あ、鑑定魔法作った?」
「あー・・・テンプレ完成したんだっけ?」
「完成したらしい。作り方は掲示板に書いてあるからすぐ作れるよ」
「先にそっち作るかー。戦闘練習と装備作りやってて掲示板見てなかったわ」
「ゲームやってるのに暇だったからなぁ・・・あれ?おかしいな・・・」
「心中お察しいたします」
「察するだけで何もしてくれない」
「いつものことだろ」
「せやな・・・あ、採取前は採取ポイント見れるだけなんだ・・・へー便利だな」
「知らんかったけどそれは便利だな」
鑑定魔法、何も知らずに作るとかなりやばい魔法。
鑑定するだけの魔法を作った人がいた。
その人は対象を選ぶことをしなかった為、視界にある全てが反応しウインドウで前が見えなくなった。
反省を活かし、対象を選択して鑑定できるように改良した。
その結果は、多すぎる情報によってバカみたいにでかいウインドウが登場、前が見えなくなった。
上記の内容は、ゲーム開始初日に掲示板に書き込まれた。
そして、多くの人がそんなバカなことあるかと言い、実際に試した。
細かい結果は違うが、ほぼ似たような結果になり、軽い祭りにまで発展した。
その後、多くの人がどの情報は残し、どの情報は消すなど話し合い、誰もが使いやすいテンプレートが作られた。
ただ、かなりやばそうな問題を抱えている。
「【アイテム鑑定】・・・これ本当に大丈夫なのか?」
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名前:アイ
種類:薬草
説明:薬草の1種、様々な効果がある
開発者メモ:
現実にあるアイと言う植物のコピー植物。
虫さされ、解毒、解熱効果があるらしい。
見た目が若干違うけど気にしたら負け。
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そう、鑑定で見れる情報に開発者メモが入っている。
有志が運営に問い合わせた結果、
『開発者メモが見えていることは把握しています。現状、攻略に関係するものはある程度隠しています。つまりは、見えてまずいものは見えないようにしていると言うことです。見えてるものは全て利用するくらいの意気込みで頑張ってください。』
と、返ってきたらしい。
ここの運営は大丈夫なのか?
これ個人メモだろ?
最後の行なんて個人の感想じゃん。
この他にもたくさんのお遊びが入っているらしく、それを探すのも一つの遊び方とのこと。
採取を始めてから30分くらい経っただろうか。
ある程度は材料を集めることができた。
滋養効果を持つ薬草はそこそこで、強壮のおまけ付きは結構手に入った。
精力を含め元気にする強壮か・・・MP回復らしいけどなんか嫌な響きだな。
「こっちは終わったよー。どうする?」
「もう少しで調整が終わるからちょい待って」
「あいよ」
黒猫はもう少し掛かるらしいから、掲示板を見て待機する。
雑談掲示板では定期的に運営は頭おかしい(称賛)が発生するから見てて楽しい。
特にレアモンスターの登場は一気にスレが加速する。
次の街へ行くために結界を超えると、モンスターがゴブリン、コボルト、オークに変わる。
この3種のレアモンスターの鳴き声が異常だった。
ゴブリンは似非関西弁で喚く、この時点でおかしい。
コボルトはコバルト鉱物についての解説をし続ける、誰が見てもおかしい。
そして、本命のオークさんは、
「くっ、殺せ!」
お前が言うな!!
それはお前に襲われる姫騎士のセリフだろ。
なお、上記の3匹に関して運営に問い合わせを送った猛者がいた。
返ってきた返答は、
『人型だからしゃべっても問題ないと思います』
いや、うん。
問題しかないぞ?
面白いからいいけどさ・・・世界観ぶっ壊すなよとはちょっと思う。
今では新モンスターの情報が出ると、即レア探しに奔走する人がいる。
しかも攻略組に匹敵するレベル帯の人が・・・だ。
まぁ・・・うん。
本人が楽しんでるなら外野が何を言っても無意味なんだけどね?
「できたー」
「お?お疲れ。ここで見せてくれるの?」
「あー・・・どうしよ。あんまりMPに余裕無さそうなんだよな・・・」
「なら採掘地への移動中に見せてもらおうかな?」
「それが無難かな?じゃあ、移動しますか」
Q.なんで似非関西弁?
A.運営「煽り性能が高そうだからです」
Q.なんでコボルトがコバルト鉱石について解説するの?
A.運営「コバルト鉱石の名はコボルトに由来するからです」
Q・なんでオークがくっころなんだよ
A.運営「オークと言えばくっころ。姫騎士居なくてもくっころ見れるようにと言う優しさ(笑)です」
次の更新予定日は 10/12 0:00です




