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第21話

現在の所持金は100万円超えだ。

現実でも持ったことない大金である。

今更だけど、このゲーム内での通貨は円だ。

開発秘話によると、本来は別の呼称だったらしいが、開発メンバーほぼ全員が円で話していたこと、日本人が使い慣れていること、どうせプレイヤーも円で話すだろって理由で円に変えたらしい。

それでいいのか運営よ・・・。


ちなみに、このゲームにはデスペナは存在するけど存在しない。

死んだらお金やアイテム、装備なんかがなくなったりしないからデスペナは存在しないと言える。

だからゾンビアタックが可能だ。

ただし、死ぬ度に痛覚設定がやばくなる。

どれくらいやばいかと言えば、一回死ぬと痛覚設定値が200%になる。

そう、通常の2倍の痛みが発生することになる。

これが死ぬ度に+100%されていくため、ゾンビアタックは精神に異常なまでにダメージを負わせる。

痛いの嫌なので死んだら即ログアウトします。


・・・・・・いやさ、なんでこんなことを確認してるのかって言うとね?

暇なんだよ、すっごく。

森の中に入って、罠をしかけて一定距離を離れ待機する。

これが罠の使い方らしい。

臭いだとか気配だとかはゲームだから心配しなくてもいいらしいけどさ、動くのはだめらしい。

だからすっごい暇。

あまりに暇だからって仕様の確認作業をしてるくらい暇。

視線だけでメニューウインドウを動かして独自魔法を思いつく限り作ったけどまだ暇。

雑談掲示板を見たりしたいけど、もしも笑ったりして声が漏れたり動いたりしたらばれるから自制してる。

だからすっごい暇。

早く終わらないかな・・・。



そんなこんなで動物狩りは終了した。

待機中はずっと

時間効率を考えるとこれ稼げるか微妙じゃないか・・・?

とか

罠の数をもう少し増やすべきなのか・・・?

とか

今後もこの苦痛が続くなら対策を考えなければいけないなとか考えていた。

が、それらを無視するレベルで戦果がやばかった。


まず、動物とモンスター・・・魔物の違いは魔力、つまりはMPを持っているかどうからしい。

スキルや魔法を使うかどうかは別として、魔力を持っていれば魔物、なければ動物になるらしい。

らしいって言うのは全部役所にいるNPCから聞いただけでそこまでしっかりと聞いてなかったからだ。

で、ここからが重要。

魔物は倒すと自動的に素材がインベントリに入る。

ただし、これは種類も数もランダムになる。

狼1匹倒したとしても、毛皮と牙と爪と肉と内臓その他諸々の全てが手に入る訳ではない。

動物は違い、倒した後に死体が残る。

その死体に専用のはぎ取りナイフを突き刺すことにより全ての素材がインベントリに入る。

一つ一つが高価な素材が全て手に入るのだ。

血抜きとか解体作業なんて出来ないからな、そこまでリアルじゃなくてよかったよ・・・。

以下今回の戦果である。


猪の皮 8000円

猪の牙 10000円×2

猪の毛 3000円

猪の爪 2000円×4

猪の肉 45000円


鹿の皮 10000円

鹿の角 30000円×2

鹿の爪 8000円×4

鹿の肉 60000円


合計 24万6000円


やべぇ。

この商売美味しすぎる。

罠を5つ設置して1時間近くじっと待機してるだけで24万だろ?

これは変な笑い声が出ますよ。

倒し方で値段が変動するってのは聞いていたからな。

頭に1発ズドンで倒した。

その結果が高品質に繋がり、今回の値段になったらしい。

罠代などを差し引いても20万ちょっとの黒字とか・・・ニヤニヤが止まりませんなぁ。


さて、これで必要最低限の費用は溜まった。

130万近く持っていても必要最低限と言えるのはクランと工房に大量の費用がかかるからだ。

現在、リア友達と作ろうとしているクランとは別に、俺がクランマスターになる予定のクランがある。

そこに大量のお金を注ぎ込む予定だからな、金はどれだけあっても困らない。


そもそもの始まりは掲示板だ。

俺の見た目が理由でかなり掲示板で騒がれた。

そこから同じ趣味や似たような趣味を持った人が集まり、クランを作ろうと言う話が出てきたわけだ。

一言で言えば掲示板じゃなくて直接語り合いたい、語り合う場所が欲しいってことだ。

そして、クランを作る際に誰が代表になるのか、誰がクランマスターになるのかって話になった。

立候補した人はいたけども、ほぼ満場一致で俺になった。

理由は俺の見た目が7割であり、3割は愛を貫く姿勢とのことだ。

俺の愛が認められ、受け入れられた時は嬉しくて涙が出たよ・・・。


そして何故こんな話をしているかと言えば、暇だからだ。

そう、また森の中に罠をしかけて待機中なんだ。

1度目の換金が終わった時点で、サブマスターとなる予定の人達に声を掛けた。

クランを作る為のお金を用意する手立てを見つけた、早急に集まって欲しい・・・と。

その結果、今動けるサブマス候補二人が来てくれた。

その二人に方法とかかる時間、収入を伝え、今回の狩りが終了するまでは掲示板に情報を上げないことを相談した結果で決めた。

見知らぬ他人よりも同好の友優先だよな。


サブマス候補についてもう少し説明しよう。

暇だからね・・・少しでも何か考えてなければ苦痛でしかないもん。

俺から見える位置にいるのがケモンさん、生粋のケモナーだ。

なんでも、獣率90%以上じゃないと抜けないらしい。

あと、鱗系もいけるとか・・・上級者過ぎて大半の人が理解できなかった。

今いる位置からは見えない位置にいるエゴムメさん、ドワーフっぽい見た目をしてる。

ロールプレイでドワーフっぽいしゃべり方や考え方を実践している。

ただそのエゴムメさんは俺を見た時に凄く後悔していた。

デメリットが大きいからとドワーフっぽい背の高さにするのを諦めた自分がバカだったと。

自分にはそこまで想いを貫けなかったと。

まぁ、キャラデリ出来ないからね、その後悔はよくわかるよ。


さてさて、俺も含めてかなり個性が濃い面子だ。

そのメンバーで作るクランが【獣亜人愛好同好会】。

うん、まず一般人は入らないね。

そもそも幹部勢が色物過ぎて一般人は避けるレベルだし?

トップに立つ俺も普通じゃないからね、一般受けしないことくらい理解してる。

まぁ、だからこそ、同じ趣味の人達で集まりましょうってことになったんだけどな。


そんなこんなで、色々なことを思い出したり自分に説明したりして約1時間。

うん、俺頑張ったよ。

合計2時間以上一ヶ所でじっとしてたわけだからな。

肉体的疲労じゃなくて精神的疲労がやばい。

そのおかげもあってクランを作るのに必要なお金はほぼほぼ集まった。

最終的な目標には遠く届かないけど、初期費用と考えれば余裕で足りる。

これなら工房の方に回すお金にも余裕ができるかな?


「さて・・・と。これ精神的な疲労がやばい」


「ですね・・・。いやぁ・・・妄想だけで1時間以上耐えろとか上級者である俺でもキツい」


「キツいだけで耐えれるとかやばい。やばい以外の語録がない俺もやばい」


「ふむ・・・だが、武器や防具の消耗を考えればこれは良い稼ぎだ。それに、戦いが怖い者でも一応の稼ぎが出来るのも評価できる」


「代償として虫がいるかもしれない森の中で長時間待機か・・・。まぁ、あれもこれも嫌だは通じないしこれでいいのかもしれませんね」


「流石の俺も虫はちょっとな・・・。うん、流石に厳しい」


「「・・・・・・」」


俺とエゴムメさんが顔を見合わせる。

言葉を交わさなくてもわかる。

厳しいだけで無理ではないのか・・・。


「ま、まぁ?好みは人それぞれですし?そこは置いといて・・・。もう少し稼ぐかクランを作り、情報公開するか・・・ですね」


「ふぅむ・・・儂としてはもう少し稼ぎたいのぅ・・・」


「俺としては初期投資だからこれで辞めていいと思うぞ?ここから先は個人の好みを反映させる必要があるからな」

何を悩んでいるかと言うと、クランを作った後の空間についてだ。

この空間、なんと畑や山、森に海なんかも作れる優れ物だ。

そんな物が作れる以上、自分達が愛して止まない動物達の楽園を作りたいと思うのは当然だ。

あの子が好む森はこんな感じ、この子が好む森はこんな感じ、その子が好む森は・・・などなど、言い出したらキリがないレベルで要望が出てくる。

俺も狐の為に色々と考えていて、特にウサギ好きのことを考えている。

狐はウサギを食べるからな、うん。

きちんと考えて住み分けをしないとかなりやばいことになる。

なお、ウサギ好きと猫好きが草原で発狂してるのはよく見る光景だ。


「んー・・・家、山、海、森、湖、川、沼地・・・最初はこれくらいにして、随時必要な人が追加でどうです?」


「各場所の配置やどんな風にするかとかはどうする?」


「そこは出した金額が多い順に決定権を与えるでいいだろ」


「空間内専用転移陣とかもありますし、距離はそこまで考慮しなくていいですからね。近場は早い者勝ちでいいと思ってます」


「ちょっと荒れそうだけど・・・まぁ、文句があるなら金を出せ。出せないなら出ていくか諦めろでいいか」


「それでいいじゃろ。口だけの奴なんぞ居ても邪魔なだけだ」


「そうすると・・・俺はどうしようか・・・」


「ん~?白狐さんは狐の為でしょ?悩む必要あるの?」


「狐ってどこに住んでるかと言うと、穴の中なですよ。普段人間が住んでる平地だろうと標高2000m近い山の上だろうと関係なく、穴や縁の下があれば問題ないんです」


「・・・それは悩むね」


「一応、山地に住んでることが多いのでそれに近付けることを考えてるんですが・・・」


「ですが?」


「ウサギや鳥は美味しい餌なんですよ。まぁ、主食は野ネズミ、特にハタネズミ、ヤチネズミ類なんですけどね」


「・・・・・・荒れる原因だね」


「間違いなく荒れるな」


「ですよね?だから早めにそこら辺を決めないと危ないかなーって。まぁ、テイム関連は存在してないんですけどね。なんで独自魔法で作れないんだろう・・・」


「まぁそこは何かしらの考えがあると思うよ?でもいつかは実装されるだろうし、されたら間違いなく放し飼いをする人が出てくるし、何かしらの対策は今のうちからやっておいて損はないね」


普段は自分と仲のいい連中だけのことを考えればいいんだけど、今回はクラン全体のことを考えなきゃいけない。

学生にこんな重い内容任せるなよな・・・めんどくさい。


「あー・・・めんどくさっ。とーりあえず、俺は餌候補になる動物名を掲示板に書いて、該当する人達と話し合いをしますね。お二人は?」


「俺は・・・特定の動物が好きって訳じゃないからなぁ・・・。今回は家を担当しようかな?家っつうかクランの本拠地なんだけどな」


「触れ合いと語り合い用の場所だから家で問題ないかと」


「だな。なるべく広く、座れる場所を多めに作るか」


「うむ、では儂はドワーフらしく、山・・・鉱山っぽい山を作ろうかの」


「あー・・・こっちは木々が生い茂る山なんで別になりますね」


「あとはあれだな。どでかい炉を作らねば。未だあの槌を扱えぬが、必ず物にする為にも炉は必要だな」


「俺は若干諦めてますからね・・・頑張ってください。じゃあ、とりあえずの方向が決まったので掲示板への記入をエゴムメさん、各種調整をケモンさんにお願いします。俺はクラン申請してきます」


「うむ、任せるがよい」


「おおう、人使い荒いな。まぁ、そこら辺は任せろ」


二人と別れ、役所・・・冒険者ギルドにてクランの申請をする。

問題なく申請が通り、クランの作成が完了した。

忙しいのはここからだけど、自分のクランができたってのは嬉しいね。

アホ共は・・・まぁ、その内話せばいいか。




次の更新予定日は 09/27 0:00です

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